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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.8
- 出版社: 青土社
- サイズ:20cm/478p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7917-5825-0
- 国内送料無料
紙の本
マッド・サイエンティストの夢 理性のきしみ
人造人間の製造、狂気の脳移植、人類絶滅計画など、現代科学の悪夢を体現する映画のなかのマッド・サイエンティストたち。歪んだ欲望・邪悪な情熱が表象されるマス・カルチャーに先端...
マッド・サイエンティストの夢 理性のきしみ
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商品説明
人造人間の製造、狂気の脳移植、人類絶滅計画など、現代科学の悪夢を体現する映画のなかのマッド・サイエンティストたち。歪んだ欲望・邪悪な情熱が表象されるマス・カルチャーに先端科学への不安と恐怖を透視する刮目の文化論。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
デイヴィッド・J.スカル
- 略歴
- 〈スカル〉ホラー映画を軸に大衆文化を論ずる。現在、ウェストハリウッドに在住。著書に「モンスター・ショー」「ハリウッド・ゴシック」「「フリークス」を撮った男」。
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紙の本
遺伝子組替え食品じゃないけれど、科学ってやっぱウサン臭いっすよね。
2000/09/13 00:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:服部滋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さて、この厳しい残暑のなか(そう、これを書いてるのは夏の終わりです)、500頁になんなんとする本書を前にクラクラする頭で書評を書きあぐねているうちに、お二人の専門家の懇切で的を得た書評が出てしまい、一瞬このままバックレようかと思ってしまった。
でも、後出しジャンケンは得意技だし、お二人の書かれていないことでも書けば、まあ、屋上に屋を架する意味もなくはないかと思い直し、書きかけの原稿(じゃなかったデータ)をすっぱり消去して、ちょっと搦め手から書くことにした次第。何か読者のお役に立つこともあるかもしんないし・・・。
この著者スカルさんの他の著書については、著者名をクリックして頂ければたちどころに出てくるが、その他の関連本のめぼしいところを挙げてみれば——
(1)『フランケンシュタイン』に焦点を合せた19世紀文化史/怪物の政治学ならばクリス・ボルディックの『フランケンシュタインの影の下に』(国書刊行会)がバツグンに面白い。本邦随一の目利き・高山宏氏の責任編集になる「異貌の19世紀」シリーズの1冊。
(2)小説『フランケンシュタイン』の作者メアリ・シェリーとその夫である詩人パーシー・ビッシュ・シェリー、それに詩人バイロン、医師で作家のポリドリ(『吸血鬼』)といった、ケン・ラッセルの映画『ゴシック』でも描かれた伝説的な交遊についてならモネット・ヴァカンの『メアリ・シェリーとフランケンシュタイン』(パピルス)がおすすめ。著者は精神分析学者だけれど、こちたき議論はないので怯えないように。辻由美さんの訳がとってもリーダブル。
(3)『フランケンシュタイン』の表象論的考究ならスティーヴン・バン編のアンソロジー『怪物の黙示録』(青弓社)。高山さんもお好きな新美術史の精鋭Stephen Bann(『クリオの衣裳』の邦訳はまだかいな)ならではのエッジの利いた論文集。
(4)本書でもちらと触れている『ドラキュラ』のサブテクスト(「ヴィクトリア朝末期の不安」)については、丹治愛『ドラキュラの世紀末』(東大出版会)が好著。(3)及び(4)はカルスタ専攻の学生さん必読。
ところで、上掲本と異なる本書の特長はといえば、「↑」で藤崎康さんも書かれているようにポピュラー・カルチャーを中心とする資料・文献の博捜ぶりにある。映画・TVドラマ・小説・評論etc.ほとんどが米英の作品に限られるとはいえ(『ゴジラ』はもちろん、塚本晋也の映画『鉄男』への言及もあるにはあるけれど)、この引用はただごとではない。フェミニストの議論の紹介までしっかりと目配りが利いて、ジャンルのサーヴェイとしてはすこぶる重宝なので、ぜひ一家に1冊そなえおかれたい。著者のオタク的資質もあるんだろうけど、アメリカのアーカイブの充実ぶりがしのばれますね。日本にいちゃ、こうはいかないもん。
内容も多岐にわたる大部の本なので、翻訳の些細な間違いには(お二人に倣って)目をつぶるけれど、ひとつだけ指摘しておきたい。
本書の結論部、著者の引用によれば、デヴィッド・ガランターは1991年の著書『ミラーワールド』で、1791年の産業革命は2世紀後から見れば「ただ蒸気の頭を築きつつあっただけだった」と書いている。同様に、今から2世紀後の世界から見れば「今日の科学技術社会は、1791年同様、牧歌的なまばらに葉の茂った世界なのだ。(・・)確かにソフトウェアは偉大なことを成し遂げた。しかし、ハリウッドの世界初のトーキー映画で、先見の明のあるアル・ジョルソンが言ったように、われわれはまだ何も聞いてはいないのだ」。
Wait a minute,Wait a minute! You ain’t heard nothin’ yet.——ここはやっぱり「お楽しみはこれからだ」でなくっちゃ、ね? (bk1ブックナビゲーター:服部滋/編集者 2000.09.13)