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紙の本
官僚の縦組織を超える災害
2005/08/22 23:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさぴゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて、アニメの『機動警察パトレイバー』、映画『踊る大捜査線TheMovie2』と消防士の災害救助活動を描いた曽田正人さんの傑作マンガ『め組の大吾』を強く連想させられた。まじで感動した。まぁ、終わり方は小川さんらしく青臭くもあるが、そこがまたいいんだよなぁ。
小川一水さんのテーマには、
1)因習にとらわれた組織を超えるほどの大惨事に対抗する
2)登場人物が組織・官僚制度の壁に絶望しながらも、なぜか希望を捨てない青臭さ
が大きな軸になっていることが多い。ほんとは、ここに
3)原初的な意味での、泥臭い足に地がついた「技術」というものが入るが、そこはこの作品では重視されていないので、カット。この技術に対する視点は、彼のHPを見ると非常によく分かる。
等身大の視点で、熱心な取材が繰り広げられているからだ。
この作品では、1)と2)がクローズアップされている。ある意味、この作品は、イカロス〜と復活の地の結合であり、前哨戦であったのだと思う。
この話、ぜったいドラマ化するか映画化してほしいなぁ。躍る〜と似たテーマで、できるはずなんだけどなぁ。ぜひ、ドラマで見てみたいと思いませんか?。
再度、1)に戻ると、踊る〜を連想させられたのは、日本社会の縦割り組織の現実。
レインボーブリッジを封鎖するには、警察庁の権限だけではだめで、様々な外郭団体や他省庁との折衝が必要でした。実は、これがパート3への伏線ではないかと、夢想しているのだが(笑)。
大規模災害は、現場が大混乱する上に、様々な縦割り組織が横に情報を共有してしかも、指揮系統がそろわないと対応できない。
そして、それができないことこそが日本社会の最大の欠点であり、日本民族が伝統的に形成する組織の欠点なんですよね。そこで右往左往する現場の人間の苦渋と誇りを描いていて、いやーえがった。この作品でも建設省の技官と民間の航空会社と警察庁、消防部隊、自衛隊が連携しないとあの大災害には、対処できないですよね。←この考え方が、『復活の地』の伏線となっているのはいうまでもない。成長する作家の面目躍如です。ちなみにパイロットや消防士などの守るべき規則と目の前にある緊急の現実のとの葛藤は、め組の大吾を連想させられた。
紙の本
久々にいい航空SFを読んだ
2000/11/21 17:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:横田順彌 - この投稿者のレビュー一覧を見る
黎明期の飛行機が好きだ。腹の立つ時は、いつも大正五年刊の『快飛行家スミス』を読む。明治末期から大正時代にかけて、自ら設計、製作した飛行機で曲乗り飛行をし天才飛行家といわれた青年の半世記だ。日本にも二度やってきた。この本を読むと、腹立ちがおさまる。いま、ぼくは某事情で腹が立っている。そこで『快飛行家スミス』を読もうと思ったら、若い友人が飛行機ではなくヘリコプター小説だが『回転翼の天使』を、ぜひ読んでみてください、といった。
読んだ。おもしろい。ストーリーは、若い女性が弱小ヘリ会社で、あこがれの空を飛ぶ。それだけだ。明るさに惹かれる。明るい小説は気分がいい。しかし、この作品が、ぼくをより楽しませてくれたのは、細部の技術的な描写や、航空法などに関する部分がいいかげんでない点。ついつい、ごまかしてしまえと思いたくなる箇所を、きちんと調べて描いていることに著者の誠意を感じる。カバー画と本文中のイラストが、少々気に入らないが、久々にいい航空SFを読んだ。立腹がおさまった。