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商品説明
【けんぶち絵本の里大賞(第11回)】お父さんとお母さんはすぐに「おにいちゃんだから」っていう。でもぼくは弟のたかしが大きらいだ。なのに、おふろもいっしょに入らないといけない。それも熱いお湯に…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
福田 岩緒
- 略歴
- 〈福田岩緒〉1950年岡山県生まれ。画家。「がたたんたん」で絵本にっぽん賞受賞。絵本に「おならばんざい」「おとうさんのいなか」「ぼくは一ねんせいだぞ」など多数。
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紙の本
おにいちゃんってしんどいね
2004/09/28 11:44
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投稿者:チャミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
男の子の兄弟のお話。物語はおにいちゃんの語りで綴られている。
公園で自分のランドセルを背負って逃げる弟のたかしを見つけたぼく。弟をつかまえていっぱつ殴って、ランドセルを見ると、あきかんやおかしのふくろがごっそり入っていた。ランドセルはゴミ箱になっていた…。ぼくは弟のたかしが大嫌いだ。「おにいちゃんだから、もっとやさしくしなさい」「おにいちゃんだから、それくらいがまんしなさい」「おにいちゃんだから…」いつでもだ。
弟を持つおにいちゃんの不満がビシビシと伝わってくる。自分自身が兄として成長した人や、兄弟を育てている親ならこういった経験があるのでは?
ところが、物語は後半意外な展開に。弟のたかしが行方不明になって、家でひとりで留守番する主人公が、弟のことについてゆっくり考えられる時間を持つ。作り話のように、主人公の「ぼく」が弟を探すために走り回るのでもなく、ただぼんやりと弟のことについて考える様子が印象的だ。
絵本の最後には、小学生の作文が、小学生の文字で載っている。おそらく、この物語のモデルになった子の作品で、より「ぼく」の心情がリアルに語られていて面白い。行方不明騒動を経て、すこし弟への感情が異なり始めた主人公。弟が嫌いなことには変わりないけど、弟のことが心配だったこと、弟に対してがまんができるようになったことが幼い文章で書かれている。少しだけ成長したお兄ちゃん、その成長したことに、まだ、自覚していないものの、自分の心の変化に気付き素直な文章で綴られている点が好印象だ。絵本は、言わばこの作文に対するエピローグのようなもの。最後の作文が読者の心を打つ内容になっている。今、ちょっとおにいちゃんであることにストレスを感じている子どもに読ませてあげたい一冊である。