「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
ヤマネは日本特産種の天然記念物で、リスやネズミと同じ齧歯類の、目がくりっと大きくてかわいい動物。森にすむヤマネのかわいらしさ、不思議さ、たくましさを紹介。98年からWWFJ機関誌に掲載されたものをまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
湊 秋作
- 略歴
- 〈湊秋作〉1953年和歌山県生まれ。京都大学で理学博士の学位を取得。小学校教諭を経て、キープ協会やまねミュージアム館長となる。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
なんともかわいく、不思議な生き物
2001/02/07 11:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岡埜謙一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前からヤマネという生き物にとても関心を持っているので、タイトルとかわいいカバーデザインから、気楽に読める飼育記録かなにかだろうと独り合点して中も見ないで買ってしまった。読み始めると、これが意外だった。とてもまじめな研究記録じゃないか。大学時代から今日まで27年間、ヤマネの行動や生態を研究した成果のダイジェスト版、かつ一般の読者向けにやさしく解説した内容になっている。
ヤマネは国の天然記念物に指定されている動物で、本書によると本州、四国、九州、隠岐に棲息しているというが、その生態もよくわかっていない部分が多い。山の紀行文などを読んでいると、八ヶ岳周辺のヤマネの話がよく出てくる。登山道で冬眠中のヤマネを見つけたとか、山小屋の中で冬眠していたとか。いったいヤマネってどんな生き物なのか、興味津々だった。しかしまだ実際に見たことはない。はじめてヤマネの写真と対面したのは数年前、動物写真家西村豊さんの写真集「ヤマネ—森に遊ぶ」(講談社)だった。まん丸になって落ち葉の下で冬眠しているその姿がなんともかわいく、不思議な生き物だ。
湊さんは、山梨県都留市にある都留文化大学の2年生になる際の専門選択の際、「なにか先が見えへん。見えへんからおもしろい」と、まだ一度も見たことのないヤマネの研究を選んだ。卒業後はヤマネの研究を兼ねて、郷里和歌山県の山奥にある小学校に赴任し、児童たちと一緒に巣箱を仕掛けたり、飼育観察を行い、貴重な繁殖行動の記録を取っている。本書にも出産直後からの成長過程の写真が掲載されている。さらに富士山麓や清里にまで観察の足を延ばし、行動範囲や餌の種類を詳細に調査するなど、まさにヤマネ一筋といえる。本書の後半には海外のヤマネ事情も書かれているが、ヨーロッパの一部ではヤマネを食料にしたり毛皮を採ったりもしているそうだ。
ヤマネの研究がこうじた結果、湊さんは今年3月、とうとう小学校を退職されて清里の「キープ協会 やまねミュージアム」館長になってしまった。そこでの活動の内容も書かれているが、ぜひ訪れてみたい。本書は一般読者向けにやさしく解説されているとはいえ、観察記録という性質上、かなり専門的なことも書かれてはいるが、珍しい写真もたくさん掲載されているので、ヤマネに興味のある人なら必須の本だ。また、本書だけでなく、前にあげた西村豊さんの写真集もぜひ見てもらいたい。こちらはかわいいヤマネの写真が満載だ。
著者略歴;1953年、和歌山生まれ。都留文化大学卒業。兵庫教育大学大学院修士課程修了。京都大学で理学博士号を取得。和歌山県下の小学校教諭を経て、現在山梨県清里にある「キープ協会 やまねミュージアム」館長。本書のほか、「ヤマネ すばらしき動物」(いちい書房、1984)、「ヤマネはねぼすけ たくさんのふしぎ」(福音館書店、1992)の著書がある。