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紙の本
膨大な先行研究をレビューして生理学的メカニズムと心理学的要因について考察
2001/01/26 19:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐倉統 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぼくは軽度ではあるが、よく頭痛をおこす。ちょっと疲れたときや、体調のすぐれないとき、そしてお腹が空いたとき(!)に、こめかみのあたりや頭全体がなんとなく、ズキズキと疼く。だが、この本を読んで、なんとまあ世の中にはひどい頭痛に悩まされる人が多いことかと、我と我が身の幸せをかみしめてしまった。激しい痛みだけではない。冷や汗と悪寒、発熱、鬱状態、嘔吐、下痢……などなどなど。これらに比べたら、ぼくのなんか、頭痛のうちに入らない。
著者は、『妻を帽子とまちがえた男』などの科学エッセイで知られる脳神経科医。片頭痛のさまざまな症例を集めて分類し、膨大な先行研究をレビューして生理学的メカニズムと心理学的要因について考察をすすめていく。初版が1967年出版だから、おそらくオリヴァー・サックス(1933年生)のデビュー作ではなかろうか(日本語版の底本は1992年版)。平易な文体ながら、かなり高度な内容である。片頭痛は副交感神経優位の過程であるという。そこからサックスは、ひとつの進化史的な仮説をたてる。片頭痛は、もともとは動物の「死にまね」のような危機回避戦略のひとつであり、それが人間の中枢神経系が複雑化した副産物として多様な症状を備えるにいたったのではないか。頭痛に苦しむ人は、巨大な脳を獲得した御先祖様を恨むべきなのか……。
翻訳は平明で秀逸。巻末の用語解説と参考文献リストが削除されていないのもうれしい。しかしこの邦題はもう少しなんとかしてほしかった。