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商品説明
妄想力があれば高齢化社会を楽しく生きることができる−。「妄想」は老人期を生き抜くための大切な「糧」なのだ。美女、バイアグラ、酒…。妄想と現実の狭間で楽しく生きる老人の日々。『新潮45』掲載に加筆訂正。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
1970年代の野坂昭如の「天才作家」ぶりに感嘆したが、昨今の脳軟化爺野坂には何の興味もない
2001/02/28 15:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『野坂昭如コレクション』(全3巻・国書刊行会)が完結した。すべてではないが再読し、改めて1970年代の野坂昭如の「天才作家」ぶりに感嘆したが、昨今の脳軟化爺野坂には何の興味もない。とはいえ本書は、書名にある「妄想」の二文字に釣られ、読んでみたが、やっぱりクソつまらなかった。ここで言う「妄想」とは、以下のようなレヴェルのものだからだ。3月12日の文に、こんな記述がある。<特殊個室風呂は二ケ月ぶりか、かつては何はともあれ風呂へ入ったものだが、当節、部屋へ籠るとたちまちお互い全裸、うつぶせにさせられ、女、背中に舌を這いずらせる。五体不潔、カイカイもある。睾丸周辺インキンの薬、サルチル酸は毒じゃないだろうが気がひけて、入浴所望。この店のシステムは時間百十分、何度抱いてもいい、飲み物フリー。来るとそのまま一発ヤッテ、その後泡踊り、フェラチオ、二度目の仕儀が定法らしい。酔っていたせいもあるが、終始ままならず、女が「ごめんなさい、もう時間があんまり」というから、つて自分の手でしごくと、あっさり半立ちのまま射精、性的右手依存症>。
野坂は1930年生まれだから、69歳、9歳年下のぼくは還暦になった年だ。この年になってくると、肉体精神ともに個人差が激しいが、ぼく自身、雑誌『ステレオ』に「乱聴日記」を連載している関係上、日記を付け始めたので、ワープロのハードディスクから、「3月12日」ではないが、同年「3月16日」の「日記」を呼び出してみると、下記のような日だったようだ。「午前9時前、『ステレオ』誌の田中モトヒロ、「サエク」のオーディオ・ケーブルを送ってくれる。早速、プリアンプと繋げる。試しに以前繋げていたケーブルをパワーアンプに繋げると、クリアーさがまるで違う。これは凄い! FAXで礼を。モトヒロより電話来る。マガジンハウスより『決定版「編集者」の仕事』の見本、8冊届く。お礼のFAX。みすず書房にFAXして『グレン・グールド書簡』『レイモン・アロン回想録』をタカりたいと頼む。尾方氏よりokとの電話。同じく朝日新聞の黒須氏に言って『エリア・カザン自伝』をタカる。『東京新聞』より電話、自著について4枚書けとのこと。『FMfan』の小林俊彦編集長より電話、連載の打ち合わせのため会うことに。徳間ジャパンの福井さんよライナー・ノートのゲラ、FAX。午後、渋谷のディスク・ユニオンでCDを6枚、タワー・レコードで4枚買って、NHK「ラジオ深夜便」の慰労会へ。これは妄想ではない。