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紙の本
今はタマタマ流通していない本のようですが、埋もれさせるには惜しい作家であり作品です。日本ではともかく、英国でレンデルといえば、P・D・Jに並び賞されるんじゃないでしょうか
2005/12/29 17:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《キングズマーカムで、黒人医師の娘が消えた。人種差別に気を使うウェクスフォードだが、森の際に埋められた遺体が発見され、本格的捜査が始まる》
私がレンデルを最初に読んだのは、わざわざイギリスから取り寄せた洋書のハードカバーでした。タイトルは忘れましたが、underground、っていう文字があった気がします。そのとき、イギリスには凄い作家がいるなあ、って思いました。角川書店の尽力もあって、この人の実力のほどは日本人のあいだでも認識されたようですが、その後、イギリスの警察小説全盛の流れの中で、ちょっと影が薄くなった気もします。
でも、この人は明らかに、クリスティー、P・D・ジェイムイズに次ぐ重要な存在です。作品もレベルが高い。こういう作家の本が、発売四年で流通していない、これは由々しき問題ですね。古本屋さんを探さなくても、今なら図書館に眠っていることでしょう。これを機会に、一読されることをお勧めします。閑話休題。
白人の医師より腕が確かなカラードのレイモンド・アカンデ。そして美貌の妻ローレッタ。娘メラニーは職業センターに出かけたまま、既に二日間連絡がありません。体調不良で診察を受けていたウェックスフォード主任警部は、アカンデから娘の件で相談を受けることになります。翌日も連絡の無いメラニーは失踪人とされ、警察が捜査を始めるのですが、最後に少女が姿を見せたとされる職業センターの担当者アネット・バイストックが自宅で遺体となって発見され事件は予想外の展開を。彼女の家など、近所のことを窓から見守るハモンド老人の証言から、怪しい人物が浮かび上がってきます。
バイストックのものと見られる家電がマーケットに姿を見せ、郊外の森の近くから若い黒人の女性の遺体が発見され、事件はさらに複雑な様相を見せ始めます。職業センターにたむろする勤労意欲もない人々の姿。そこには、ウェックスフォードの長女の夫も、職を求めて姿を見せるのです。ウェックスフォードの前に様々な女性が現れるのですが、それが実に魅力的です。結婚している娘もいる警部の心の動きが面白い。
アフリカのシエラレオーネの出身であるローレッタに初めて出会ったときの驚きと動揺。アネットと同じ職業センターで働く、美しい瞳と媚を見せるイングリッド、女豹のような鍛えられた肢体と華やかさ、そして富の臭いを振りまきウェックスフォードの親しげに語りかける富豪で市議会議員に立候補しているミセス・クーリ、職場の同僚で有能なカレン。
こんなにも魅力的な女性たちに囲まれて、よく仕事が出来るものだと感心します。最近のイギリスの推理小説らしく人種差別や、失業、選挙など様々な問題が取り入れられ、話の裾野は大変広いもの。
日本では、アメリカのサラ・パレツキーやパトリシア・コーンウェルに押されて今ひとつ人気が出ないレンデルですが、その実力はP・D・ジェイムズ同様推理ファンの間では有名。もっと評価されていい作家の代表格です。