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- カテゴリ:一般
- 発売日:2002/10/30
- 出版社: 小学館
- サイズ:19cm/398p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-09-394242-0
読割 50
紙の本
日本の近代猪瀬直樹著作集 12 黒船の世紀
著者 猪瀬 直樹 (著)
日本人は外圧(ガイアツ)の中で何を考えてきたか 日露戦争の勝利は日米開戦の序章でもあった。太平洋を挟んでの対抗意識が芽生え、両国で数々の「日米未来戦記」が発表されている...
日本の近代猪瀬直樹著作集 12 黒船の世紀
猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第12巻 黒船の世紀 ガイアツと日米未来戦記
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:17,160円(156pt)
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商品説明
日本人は外圧(ガイアツ)の中で何を考えてきたか
日露戦争の勝利は日米開戦の序章でもあった。太平洋を挟んでの対抗意識が芽生え、両国で数々の「日米未来戦記」が発表されている。現実的な戦力分析によるシミュレーション、自国の堕落を憂いながら奮起を促す精神論からSF的発想のドラマティックなものまで、日本人の精神に多大な影響を与えている。中でもヨーロッパまで出向き、第一次世界大戦の戦禍を目の当たりにした水野広徳の『次の一戦』は、きわめて的確な内容で、開戦の無謀さを警告するものであったが、開戦=勝利への期待から、重視されなかった。軍部の独走だけがクローズアップされるが、国民の間にこそ、戦争を望む気運があったのではとの示唆は、日本人の精神史を辿る上でも興味深い。【商品解説】
収録作品一覧
黒船の世紀 | 8-334 | |
---|---|---|
二十世紀を越えて続く『物語』 | 伊藤隆 著 | 335-340 |
この国を蝕む安心という病 | アレックス・カー 対談 | 341-348 |
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紙の本
「日本の近代」を締めくくる必読の良書!
2002/11/18 03:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ノミの心臓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日米戦争は太平洋上の海戦が勝敗を左右する。これは当時の未来戦記のなかで精密に予測されていた。現実の戦争が、SF小説の想像の通りに展開するということは、実際にありうる。『黒船の世紀』は、日米戦争にその痕跡を浮かび上がらせる猪瀬直樹らしい力作だといえる。読み進めるうちに、未来戦記が近代日本人の心象を深いところで表現していたことが明らかにされていく。
本書は、日露戦争から太平洋戦争の間に日米英で書かれた日米未来戦記がテーマで、その背後に、日本の精神史を読もうというのが著者の企図である。主人公は、海軍軍人水野広徳。日露戦争後から『此の一戦』や『次の一戦』などの未来戦記を上梓していった人物である。一方米国のホーマ・リーや英国のスパイ、バイウォーターらは逆に日本の脅威をこそ小説に記していたのであるが。
本書で照明があてられていく未来戦記が興味ぶかいのは、時代を経るに従って相手国が過小評価され、自国に安易に軍配をあげる作品が大衆に受けていく経過である。太平洋戦争は軍部が始めたのは事実だが、世論も積極的にこれを受け入れていった。近代の日本人に独特の精神構造だったと筆者はみる。日本は黒船の来航以来の近代ヨーロッパ文明に無理やりに組み込まれてきた。仕掛けなければ仕掛けられるという強迫観念があった。「ガイアツ」との緊張関係は、日本国と日本人を根底から突き動かす動因としていまもその行動原理を規定している。
本書で最終巻となる著作集は「日本の近代」と銘打たれている。近代という視野からという日本人の自画像に迫ってきたのが、猪瀬直樹である。この国はなぜ勝ち目のない戦争をしたか、という近代日本の最大の謎に挑戦した「黒船の世紀」が著作集の締めくくりというのは、いかにも収まりがよい。日本国がこれからどこへ向かうか、ということを考えるべき今こそ、必読である。
紙の本
近現代における日本と国際社会
2004/10/16 11:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤタガラス - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀半ば、極東の島国は無理矢理に国際社会に組み込まれた。日本は大急ぎで新しい甲羅に着替えるよりほとんど手立てがなかった(著者あとがき)とある。日本はアジアの中でいち早く近代化に成功し、欧米の草刈場になることを免れたのであるが、「欧米中心の世界秩序は日本の介入を許さなかった」(黄文雄:捏造された日本史)ことから、日本は大東亜戦争に至らざるを得なかったのである。
アメリカは、日本が日露戦争に勝った直後から日本を仮想敵国として、オレンジプランを作成したことが述べられている。ドイツに対するものはブラックプラン、イギリスはレッドプラン等々、世界戦略の研究を開始し、研究が継続されたのはオレンジプランだけであったことが述べられているが、やらなければやられるという帝国主義の時代背景を思い知るのである。
日米未来戦記が流行し、バイウォーターのものは、日本がパナマ運河にて大型船を爆破、運河を航行不能とし、アメリカのアジア艦隊を孤立化させ奇襲によって戦端を開いたとする作戦であったことが紹介されている。ここらは、日露戦争における旅順ロシア艦隊を撃滅し、バルチック艦隊を迎え撃った歴史を思わせて興味深いのである。
1年半かけて著者のこのシリーズを全て読んでみたが、一つよくわからないのは、著者の歴史観であった。日本は戦争に巻き込まれざるを得なかったことが歴史の必然であると私は思うし、冒頭著者あとがきは、これと同じ認識であるように思えるのであるが、同シリーズ8「日本人はなぜ戦争をしたか」を読んでみるとそうでもないように思えるのである。