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商品説明
この国の危機への処方箋第2弾! 重大な医療ミスはなぜ繰り返されるのか。原発や鉄道の危険を放置したのは誰か。専門化社会のブラックホールを鋭く抉り、「人間の世紀」をめざす注目の提言。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
柳田 邦男
- 略歴
- 〈柳田邦男〉1936年栃木県生まれ。ノンフィクション作家。「マッハの恐怖」で大宅壮一ノンフィクション賞、「犠牲わが息子・脳死の11日」で菊池寛賞受賞。主な作品に「零戦燃ゆ」など。
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紙の本
政治家は腐敗し、官僚は保身と国民無視に走る国、日本。その姿は今も昔も変わらない。相も変らぬお瑣末な事故がなくならないのも、その姿勢にこそ原因がある。
2004/12/22 22:35
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《最近頻発する医療事故。中でも衝撃的だった都立広尾病院の薬剤誤注入事件と横浜市大付属病院の患者取り違え事件の分析から、そのあり方を提言する》
読み終わって直ぐ、わたしは夫に、この本を渡した。命を預かるものが絶対に忘れてはいけないものが、書かれているからだ。今、改めて、身近なところでの安全が問われている。
繰り返される医療事故。密室の中で、隠蔽され改竄される真実。刑事告発を恐れ、保障問題から逃れるための嘘。ミスを犯したものを裁くだけで終わり、医学界や医療が抱える根本問題に目を向けようとしてこなかった日本医学の実態がこれでもかというばかりに示される。しかし、それは決してわが国だけが置かれている状況ではない。
しかし彼我の差は確実に存在する。欧米はすでにその状態を脱し、患者の心を大切にする医療に向かっているからである。しかも官民をあげてだ。それに対し、日本では医学界自体にそういった姿勢が殆ど見られないばかりか、その上に立つ官僚は、現実に目を向けようともしない。
国会では医療費の問題ばかりが取りざたされ、看護婦の労働の実態や、医者の患者に対する眼差しには全く目が向けられない。事故がおきる度に設けられる、中立性を欠いた調査委員会。裁かれる者が、平然と裁く側に名を連ねることの矛盾が放置される国、日本。
事故を起こした担当者の刑事罰だけを追い求め、その事故が二度と繰り返されないようにという視点からの、組織全体に対する調査がなおざりにされてきたのは医学界だけではない。航空や鉄道などの運輸、そして原発も同じである。
事故が起きる度に、近代国家としての鍍金が剥げていく日本。私たちをこの苦境から救うのは、残念ながら非営利団体の地道な活動であり、被害者たちの心の底からの告発しかない、それが哀しい。
国民に目隠しをすることで、全てを良しとしてきた警察や行政の非人道的な応対。それが犯罪を助長し、事故を続発させてきた。新しい世紀を迎えた今、私たちが目を向けなければならないのは、一部の効率ではない。社会全体にとって本当に必要なものは何か、本当の豊かさとは何かを見つけたとき、新しい世界、組織のありかたが見えてくる。