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ライシャワーの日本史 (講談社学術文庫)
著者 エドウィン・O.ライシャワー (著),国弘 正雄 (訳)
グローバルな視点で捉えた卓見溢れる注目の日本通史 今日の日本はいかにして形成されたか。日本の気候風土と日本人の創作工夫の気質は、繊細な美意識と逆境から立ち直る精神を培う...
ライシャワーの日本史 (講談社学術文庫)
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商品説明
グローバルな視点で捉えた卓見溢れる注目の日本通史
今日の日本はいかにして形成されたか。日本の気候風土と日本人の創作工夫の気質は、繊細な美意識と逆境から立ち直る精神を培う一方、背後から政治が操られる独自の支配形態を生み出した。日本生まれの著者が、東西世界を見渡す高い視点から、日本史の主流と傍流とを区別し、各時代の危機的局面を日本人がどのように克服していったかを明らかにする。【商品解説】
目次
- 第1部 伝統的な日本
- (1) 国土と民族
- (2) 中国の模倣時代
- (3) 国風文化の発展
- (4) 封建社会の発展
- (5) 封建制度の成長と変遷
- (6) 国内の再統一
- (7) 後期封建制の変容
- 第2部 近代化される日本
- (8) 近代国家への移行
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随所に公正で鋭い指摘
2008/11/02 20:20
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の手許にあるのは、1989年6月第8刷の文藝春秋社刊ハードカバー版(1986年10月第1刷)である。日本版については、1980年代の後半、日本経済がバブル期の全盛を誇っていた頃の刊行ということになる。
最近その本書を読み返してみて、あらためて、本書の簡明な叙述の中に、極めて鋭く重要な指摘を随所に見出せることを感じた。
例えば、「第12章 第二次世界大戦」を見ても、日本の対米開戦について、著者は単なる暴挙だというような表現をとるわけではない。1941年7月の米国政府等による日本に対する全面石油輸出禁止の措置を受けて、当時の日本としては二つの選択肢があったことを冷静客観的に述べる。すなわち、一つは、米国の要求どおり譲歩して日本軍を大陸から撤退させ日中戦争を終らせることであった。こうすれば、日本は当時既に始まっていた欧州での戦争から経済的な利益を手にすることができる。第二は、南進の道を選び、東南アジアの資源を確保することで厳しくなる一方の経済封鎖を打ち破ることであった(p.211)。
結局、日本は、前者のような経済的利害を優位におく考え方をとらず、後者により、「膨大な天然資源と何億という勤勉な人民をかかえた、不死身の経済および軍事帝国を築く」ことを目指したのであるが、著者は、この考え方を馬鹿げた妄想というような切り捨て方をしているわけではない。その叙述は淡々とした客観的なものである。日米開戦についても「1904年の日露戦争と同じ戦術を使って、1941年12月8日未明、日本は真珠湾の奇襲攻撃に大成功を収め、大戦の火ぶたを切った」(p.213)と述べられているだけで、感情的な表現は全く見られない。終戦直前の原爆投下についても「広島に落とされた一発目の原爆は、日本の軍部に降伏止むなしと思わせるために必要であり、また大戦後の世界に核戦争の恐ろしさを認識させる上に貢献したとの議論も成り立たぬかぎりもない。だが長崎に投下された二発目の原爆に関しては、この種の正当化はぜったいに成り立たない」(p.217)というような、極めて客観的、公正な叙述が見られる。
また、読み返してみてあらためて気づいたのだが、連合軍占領下の戦後改革について「不幸にしてアメリカ人は、日本の改革達成はすべて自分たちの力量に負うものであると思いこんだ。それゆえアメリカ人は、その後、世界各地で同じ試みを追及したが、それはときとして惨憺たる結果に終わった。それらの場所では、日本でほしいままにしたような権力をもちあわせていなかったし、その地の国民もまた、日本人のような欲求と経験と手腕に欠けていたのである」(p.247)というような、現在の米国によるイラク占領統治の難航を見通したような指摘がなされている。
本書は、国弘正雄氏が「訳者あとがき」で述べられているように、「大きな流れを骨太に、がっちりと捉え、簡潔に描いて見せてくれ」ており、「禁欲的なまでに簡明にしてすぐれた」日本通史である(p.382)。もともと、外国人に向けて書かれた書物であることからも、日本人による日本通史にしばしば見受けられるような固有名詞の羅列はほとんどない。そして、日本だけを対象としたような観点からではなく、著者の視座は世界的な範囲に及んでおり、ユニークな日本歴史書と言える。
冒頭の「日本の読者に」の日付は1986年8月となっている。この小文の結びにおいて、著者は「日本人はいまや自らの将来の方向を決めるべき重大な局面にある。あと数十年にわたる彼ら自身の運命を決するような大決断に直面している」(p.7)と述べている。
この小文が書かれた当時は、日本経済が絶好調であり、世界(経済)を日本が席巻するかのごとき主張さえも見られた状況であったが、バブル崩壊を経てその後二十数年を経ながら、「自身の運命を決するような大決断」はなされないまま、日本は沈滞期、衰退期に入ってしまったような感がある。しかしながら、今回の世界金融危機の結果、米国の覇権的地位の衰退は明白となった。この金融危機は、経済の問題にとどまることはないだろう。資金面で行き詰まる米国が軍事力を後退させることは容易に推測できる。日米安保条約が残存しうるかどうか、という問題が、これから深刻化していくことになるのではないだろうか。麻生現首相の祖父であり、我が国戦後体制の基礎を構築した吉田茂元首相は、アメリカ軍の駐留について、「頭の悪いやつは占領が続くと思えばいい、頭のいいやつは番兵を頼んだと思えばいい、しかし、番兵はいつか必ず引き揚げるときがくる、その時が日米の智恵比べの始まりだよ」と語っていたという。
我が国は、今後必然的に「自身の運命を決するような大決断」を迫られることは必至である。その場合にあっては、著者が述べるように「賢明な判断を下すにあたっては、過去のすぎゆきと現在の可能性とをできるだけ明確に把握することが欠かせない」(P.7)。そうした意味においても、本書は、 現在、国民の多くが是非とも全体を精読する必要がある書だと考える。
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ライシャワー氏の視点で書かれた日本史、これは面白い
2023/09/05 16:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界で類をみない安定した社会であった江戸時代後期の日本、そこに科学技術という欧米の荒波が突如として襲ってきた、その荒波に日本人はどう抗ったのか、ライシャワー氏の視点で書かれた日本史、これは面白い