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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.10
- 出版社: 創元社
- サイズ:21cm/295p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-422-23017-4
紙の本
サルタヒコの旅
著者 鎌田 東二 (編著),クロード・レヴィ=ストロース (ほか著)
河合隼雄・鎌田東二による対談「日本神話とサルタヒコ」はじめ、伊勢や九州など各地域でのサルタヒコ信仰の研究、豊饒にして多層なサルタヒコの世界を探る。クロード・レヴィ=ストロ...
サルタヒコの旅
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商品説明
河合隼雄・鎌田東二による対談「日本神話とサルタヒコ」はじめ、伊勢や九州など各地域でのサルタヒコ信仰の研究、豊饒にして多層なサルタヒコの世界を探る。クロード・レヴィ=ストロース、荒俣宏らも寄稿。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
サルタヒコ神についての若干の考察 | クロード・レヴィ=ストロース 著 | 1-7 |
---|---|---|
日本神話とサルタヒコ | 河合隼雄 対談 | 8-35 |
サルタヒコとディオニュソス、そしてエジプトの猿神 | 篠田知和基 著 | 36-57 |
著者紹介
鎌田 東二
- 略歴
- 〈鎌田〉1951年徳島県生まれ。国学院大学大学院神道学専攻博士課程修了。武蔵丘短期大学助教授。専門は宗教哲学、日本思想史。猿田彦大神フォーラム世話人代表。著書に「翁童論」など。
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紙の本
読めば読むほど、その存在の不思議さが増すサルタヒコって誰?
2003/01/30 18:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上野昂志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
サルタヒコというのは、日本の神様のなかでも格別の人気者らしい。なにしろ手塚治虫の『火の鳥』などでも、姿を変えながら、ほぼ全編にわたって繰り返し登場してくるくらいで、他のキャラクターとは別扱いだからだ。では、そのサルタヒコの魅力というのは、どこにあるのだろう。
まず、その姿は、「鼻の長さ七咫(あた)、背(そびら)の長さ七尺余り」というから、天狗のような長い鼻が垂れ下がった巨人で、眼は鏡のようにピカピカし、顔とお尻が赤く輝いているという。まあ、妖怪じみた姿をしていたわけだ。それが「天の八衢(やちまた)」にいて、上は「高天原(たかまがはら)」を照らし、下は「葦原中国(あしはらなかつくに)」を照らしていた。「天の八衢」というのは、国境のようなところだが、サルタヒコはそこで天孫ニニギノミコトを迎えて道案内をする。それによって天孫降臨が果たされたというのが、『古事記』や『日本書紀』に描かれたサルタヒコ神話というわけである。
サルタヒコの魅力とは、その妖怪じみた姿や名前、また彼が国境にいて道案内をしたというその役割り、さらにはそれが国譲りという政治的な意味をも担っているという、その存在の多義的なありかたからきているといえよう。そこから神話学、民俗学、歴史学といったさまざまな角度からの研究や考察を促し、物語やマンガに転生させられていくことになるのだ。
たとえばサルタヒコの「サル」を、そのまま漢字の「猿」に当てるのは鎌田東二がいうように問題だとしても、赤い顔と尻ということや、シャーマニズム的な思考を重ね合わせてみれば、サルタヒコに猿神のような性格があったと見ることはできる。すると、連想はごく自然に、サルタヒコと孫悟空の関係はどうかというところに導かれるであろう。その点を、中国文学者で『西遊記』の研究家でもある入谷仙介は子細に検討しながら、両者が太陽神であったという可能性を示し、そこからさらに孫悟空とギリシア神のディオニュソスとの関連に言及する。一方、比較神話学の篠田知和基は、サルタヒコとディオニュソスとの関係を考察するという具合に、世界はどんどん拡がっていくのである。
もっとも、こういう点だけを強調すると、本書がなにかお固い学術書のように受け取られかもしれないが、決してそんなものではない。吉本ばなな、細野晴臣、美内すずえ、田口ランディ、岡野玲子といったさまざまなジャンルの人たちを交えた対談や座談会が、ごく身近なところから、この神話的な存在に対する興味をかき立ててくれるし、なによりもサルタヒコという存在そのものが、こちらを時空を超えた多様な世界へと導いてくれるのである。 (bk1ブックナビゲーター:上野昂志/評論家)
紙の本
2002/01/28夕刊
2002/01/31 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本神話で太陽神ニニギノミコトを導く「サルタヒコ」の神は、ユニークな「旅する神」として知られる。謎の多いサルタヒコ伝説の本質にレヴィ=ストロース、河合隼雄、吉本ばなならが迫った。時空を自在に超えるサルタヒコの感性に、時代の閉塞感をうち破るヒントを探っている。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001