わがままな恋の勝利

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：kaede　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　報われない恋の相手に、お金で変われる形になり、複雑な気持ちで仕えることになった御陵。
　同級生とも敬語で話すような御陵の尽くしっぷりは、主従関係LOVEがスキな人にはたまらなさそうなキャラながら、一恵の方はあらすじによると、美人で女王様のように気が強いはずなのに、読んでみれば、気の強さの内側に隠れた寂しさのような感情を先にバラしすぎたために、あまり女王然としては見えず、ただ、意地っ張りな子猫ちゃん風に感じた。
　そんな二人のやりとりと並行に、もう一組のカップル未満の二人の話も共に進められていくお話し。

　一番最初に感じたのは、さすが夜月さんはお上手だなぁということ。
　話しの流れがスムーズで読みやすい。
　ただ、登場人物のみんなが、どこかエスパーのごとく、それぞれが隠しているはずの気持ちを、それぞれに都合のいい人物たちが、いつも先回りしてその感情を汲み取っている、というのはあまりに不自然というか、都合がよすぎ、という気がしてちょっと苦笑いしてしまいましたが、まあ許せないほどでもない。

　ただ途中までは結構気に入っていたのだけれど、想いが通じ合うシーンで、あそこまで好きだった二人が、やっと気持ちが通じ合ったのに、あの程度のリアクションなの？　というのが引っ掛かったのと、最後、トランプの話しはあまりにも唐突で、途中、少しでも一恵がそのトランプの存在を気にするシーンが少しでもあればよかったのに、というのが気になった。