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商品説明
365日のうち、周辺海域に情報収集船がいない日を探すのは難しい。日本海で起きていることを、我々は知らなすぎる…。自衛隊機とともに消えた軍事機密。男たちは夢のために泥を被る覚悟を決めた! 『小説宝石』掲載作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
五条 瑛
- 略歴
- 〈五条瑛〉1999年「プラチナ・ビーズ」でデビュー。2001年「スリー・アゲーツ」で第3回大薮春彦賞を受賞。著書に「夢の中の魚」「冬に来た依頼人」「断鎖」がある。
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紙の本
《グッピー》を巡る男たちの攻防。
2002/01/30 23:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
社員と共に消えた機密《グッピー》の捜索を命令された三津谷。秘密を金にしようと三津谷に近づく男、江崎。機密に関する問題の直接の責任者である自衛隊幹部、宇佐見。暗躍する各国の諜報員たち。そして秘密と共に消えた社員、山田。成り行きで江崎と手を組むことになった三津谷は徐々に真相に近づくが…。
派手な銃撃戦もなければアクションシーンもほとんどない、どちらかというと地味なスパイものです。しかし日本の防衛問題に関する著者の視線は鋭く、テーマ的にもタイムリー。何よりキャラクターが魅力的なのが嬉しいです。タイトル「スノウ・グッピー」に隠された意味には単純にびっくり。意外なところでロマンチストな誰かさんの言葉に、思わずニヤリとしてしまいました。
紙の本
夢を実現しようとする男たちの戦い
2002/01/27 17:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自衛隊機が墜落.そこには日本の軍事機密の機材が載っていた.この機材の愛称がグッピーである.そして,同時に機材を開発していた会社の技術者が失踪.同じ会社から調査に派遣された三津谷が調査に乗り出す.
訴えたいことは分かりすぎるほど分かる.丸腰のままPKOに駆り出され,目の前で,撃たれても反撃すらできない自衛隊.自衛隊から普通の軍隊への転換が必須であるという自衛官の願い.
しかし,ストーリーとしてはなっていない.事件がXXによるものだとか,最後まで失踪技術者殺人に対する犯人が分からないなど,物語として許されない展開.
また,『戦争とはファンタスティックな独創力の競い合いに他ならない…戦争は創造だ』というのは技術者としての考えとしてはありえても,自衛官の考え方としてはどうか.また,イマジネーションは,創造ではなく,想像だろう.ただ,これからの戦争は,ソフト+運用法だ,というのは,戦争だけではなく,すべてのビジネスにおいてもあてはまる事実であろう.それにしては,ソフトのバックアップが取られていないかのような記述は,物語の進行上,致命的な嘘っぽさと言っていい.
『男が自分自身をやりなおす方法に二つ』ある,というが,ピンとこない.戦争にでていく,というのならまだしも,戦争を引き起こそう,というのも無茶である.
紙の本
軍事機密「グッピー」をめぐって繰り広げられる、密やかな諜報戦
2002/01/30 22:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:氷川友美子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
五條瑛は、1999年に東アジアの諜報戦を描いた作品『プラチナ・ビーズ』でデビュー。防衛庁に10年近く勤務し、情報・調査専門職として、極東の軍事情報および国内情報の収集を担当した経歴を持つ。続く『スリー・アゲーツ』で第3回大藪春彦賞を受賞。馳星周、福井晴敏に次ぐ三人目の受賞者となった。
北陸沖で訓練中の自衛隊機が墜落した。事故の翌日、三津谷雪人(みつやゆきと)は上司から緊急の呼び出しを受ける。三津谷が勤めるのは、防衛庁納入機器を扱う電子部品専門メーカー。呼び出された先で待っていたのは、航空自衛官である宇佐美二佐であった。今回の事故で「グッピー」が失われ、常勤として自衛隊小松基地に配属されていた技術者の山田も行方不明だという。
事故直後から、日本海に不審船が相次ぐ。どうやら軍事機密であるはずの「グッピー」の存在が、他国に漏れているらしい。漏洩元は失踪した山田である可能性が大きい。三津谷は真相を追って、事件に深く関わっていくことになる。
極東のあらゆる国が欲しがる「グッピー」とは一体何なのか。山田の元婚約者・荒川章子、日本人とアメリカ黒人兵との混血児・江崎洋、中国人諜報員・趙宣明(ちょう・せんめい)、趙と取引する謎の情報提供者・キリュウメイ。様々な国と個人の思惑が絡まり合い、「グッピー」の争奪戦が始まる——。
五條作品の魅力は、語りの巧みさにある。情報戦という、一般人には理解しにくいモチーフも、情報の提示の仕方が適切なため、負担を感じることなく読み進めることができる。物語の奥行きの深さ、構成の緻密さ、展開の鮮やかさ。そして何よりも、登場人物の生き生きとした存在感。各々の正義と志に生きる男たちの生き様が、熱く胸を打つ。世界の情勢と日本の現状を骨太に描きつつ、洗練されたエンターテインメント作品に仕上がっている。各章の扉に引用されている断章は、フランス人作家・ポール・ニザンの小説『陰謀』から。1930年代の代表的なコミュニスト知識人であるニザンは、ドイツ軍との戦いに挑み、戦死した人物。彼もまた己の志を貫いたひとりである。 (bk1ブックナビゲーター:氷川友美子/ライター)