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商品説明
日本には古代、どのような地名があったのか。どこにあったのか。はじめて書かれているのはどの史料なのか。その地名はどういう意味なのか。2459の古代地名を解読。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
吉田 茂樹
- 略歴
- 〈吉田茂樹〉1932年広島県生まれ。広島大学文学部史学科卒業。地名研究家。元・六甲高等学校教頭。著書に「日本歴史地名事典」「日本地名語源事典」ほか多数。
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紙の本
地名が呼びかけてくる想像力の旅
2002/03/05 22:15
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投稿者:海野弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
土地の名前には想像力をかきたてるものがある。旅をしていて珍らしい地名を見ると、心をひかれる。先日、金沢に出かけた。金沢から能美郡寺井町にある九谷陶芸村を訪ねたのだが、途中に「四十万」という地名があった。なんと読むのだろう。四国に「四万十川」がある。こちらはシマントガワである。「四十万」の方はシジマと読むのだそうだ。寺井の手前には「鶴来」という町があった。ツルキか、きっと鶴が来るんだろうな、と思っていたら、ツルギと読むという。すると剣なのかなと想像したりする。
『日本古代地名事典』は、古い地名の由来を教えてくれる。事典ではあるが、知っている地名をたどったりして、読んでいて面白い。たとえば石川県は昔は加賀の国であるが、カガはカゲ(蔭)からきているのだそうだ。
地名は、地形をあらわしていることが多い。もっとも、漢字は当て字が多いので、意味を示しているとは限らない。たとえば日野は、日の当る野原かと思うと、実は桧野で、桧の多い土地だったりする。星川というと、星の川、天の河のようでロマンティックだが、由来によると乾川で、乾期には水がなくなる川のことだという。
この本の著者は地名の面白さにとりつかれた人のようで、すでに『日本地名語源事典』を出している。今度は、古代地名にしぼって、その場所と地名の由来を訊ねている。古い地名であるから、語源がわからないものも多く、いろいろな説が立てられている。それだけにかえって、私たちも推理を楽しむ余地があり、地名さがしがやみつきになってくるのである。
ことばとか地名というのは単なる記号であり、対象になるものをそのまま示しているわけではないといわれる。だがそれでも、名前、特に土地の名前は、その土地の精霊をあらわしているように思え、地名は生きているように思えるのだ。地名から古代の夢が立ちのぼってくるかのようだ。 (bk1ブックナビゲーター:海野弘/評論家 2002.03.06)