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商品説明
かわいいことが絶対の価値をもつ「着ぐるみの町」で生まれ、かわいくないゆえに着ぐるみを着せられた少年トシ。町からの脱出を試みるトシを、希望の地「外」で待ち受けていたものとは? 漫画+小説のモンスター的手法で描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
D
- 略歴
- 〈D〉北海道生まれ。多摩美術大学造形学部油絵科在学中に「ファンタスティックサイレント1」でデビュー。現在、イラストレーター、モデルとして活躍中。
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紙の本
異色。斬新。最先端。
2002/03/07 18:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:smile - この投稿者のレビュー一覧を見る
異色。斬新。最先端。そんな表現がふさわしい「マンガ+小説」の現代ファンタジー。お値段は高目だが、それ以上のすごい読みごたえ。
主人公のトシが生まれ育ったのは、「かわいくなければ価値がない」町。「外」からの観光客たちが落としていく資金に支えられた、「徹底かわいい主義」のこの町では、「かわいくない」ことが最大の罪とみなされる。堂々と素顔をさらして歩けるのは「かわいい」人々だけで、「かわいくない」人々には着ぐるみ着用が義務付けられる。着ぐるみを着てさえいれば、どんな仕種も… 寝ている所も、ケンカしている所も、道ばたで吐いている所だってソレナリに可愛く見えてしまうからだ。
学校内のイジメを和らげようと、安定感のある色・緑の着ぐるみを身につける少年・トシ。そこそこブサイクだが働き者の母、激しくブサイクで仕事すらないロクデナシの父。大酒呑みだがトシを愛してくれている祖母。その祖母を虐待して家中にぶん投げる狂った叔父、トシの肉体に異様な執着を見せる叔母。親戚内で唯一「着ぐるみなし」で外を歩ける、可愛くて優しい初恋の相手・ルミちゃん、そして誰よりも大事な親友、キウイという鳥のマモ…。
少年トシの小さな世界は、ゆっくりと穏やかに、しかし日々確実に狂気を増してゆく。はじめて見つけた親友のママンとバニラが町を出ると聞き、彼らと共に町を出て、おぼろげながら「将来の夢や希望」を語りはじめたトシだったが…。
貧困。差別。暴力。執着。そして家族。
壮絶な紆余曲折を経て、少年トシのたどりついた永住の地とは…?
あまりにも鋭いナイフのように、持っているだけでひんやりと汗を感じる。痛すぎるその内容は決して私の好みではなかったが、その圧倒的なパワーと創造力、そしてビンビンと感じる作者の意志には完全に脱帽。まぎれもない名作だ。
負の表現があまりにも強く、万人にオススメできるような内容ではないが、冒頭に書いたように「異色。斬新。最先端。」といった物に興味のある方には、ぜひご一読いただきたい一冊。
紙の本
現代社会の闇を照らし出すニュータイプの御伽噺。
2002/07/04 19:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:むつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「美しくないものはキグルミを着用のこと!」
観光客を楽しませることが再優先の街は、すべてが美醜で判断され、不細工な者や10人並の容姿のものはきぐるみの着用を義務付けられている。
主人公トシも、きぐるみを来ている一人。
トシはアミューズメントパーク的な街の有り方に疑問を抱き外の世界へと旅立って行くが、そこに待っていたのは決して安らかとは言えない生活だった。
前半の御伽噺的設定とは裏腹に、読み進んで行くとそこには紛れも無い現代社会(特に若者社会)が持っている闇や、問題点がはっきりと描き出されている。
「小説と漫画の融合」という新しい試みが、より切実に「痛み」を伝えてくれ、さまざまなことを考えさせてくれる。
ファンタジーやSFという枠ではくくることの出来ないこの作品。読んで損は無い。
紙の本
何かスゴイと思う!
2002/02/15 13:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る
「不細工は着ぐるみを着なくてはならない町」っていうのも、何かスゴイ設定だ。ここで作者のDは「信じられないかもしれませんが『あの町』のようなところは存在するのです……。」とも言っている。マジ!!
それにこんな設定だと、例えばペルソナ(仮面)論などを持ち出して、『キぐるみ』とは何を象徴しているのかとか、着ぐるみを着た人間の人格は本当の人格か等々、いろいろ論じてみたくなるかも知れない。でも、そんなことはどうでも良い。
はっきり言って、絵も上手くない(同一人物が全く違う人に描かれる)し、文章も秀逸とは言えない(独白タッチの文体は少し食傷気味)。一旦外の世界に出た主人公が、結局元の場所に戻るというプロットも、映画化された『金髪の草原』を思わせるエンディング(のちょっと前)も、ありがちだとは思う。トシくんの町の外での「男娼(ウリ)」暮らしも結構ディープで、つらいものがある。だから、必ずしも読後感は爽快とはいかない。
でも、絵が上手くなくても、ちゃんと人物を同定することができるし、たどたどしい文面から「絵」が浮かび上がってくる。胎内回帰的なプロットにも、必然性というか、強い説得力を感じることができる。きっと、こういうのを「作品が持つ勢い」と言うのだろう。要は、表面的な技巧とは、別の次元の何かなんだ。
諸手でお勧めとはいかない。でも確実に『キぐるみ』には、一読の価値があると思う。
紙の本
著者コメント&内容紹介
2002/01/27 09:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
◎内容紹介
着ぐるみの「き」は危険の危!
着ぐるみの「き」は奇跡の奇!
かわいいことが絶対の価値をもつ『着ぐるみの町』に生まれた、少年トシ。
かわいくないゆえに着ぐるみをきせられて成長した主人公は、やがてディズニーランドのように楽しげで清潔なこの町から、脱出を試みる。
だが希望の地『外』で、トシを待ち受けていたものとは?
友人ママンの裏切り、男娼(るび=ウリ)の仕事、謎の女カツコとの再会──トシの夢が一つ一つ壊されていくのに符合するかのように、心の闇を利用する赤い集団『G地区』の影が、『着ぐるみの町』に忍び寄り……
「みんなどこかでイタい思いをしている」現代を
マンガと小説を合体させた前代未聞のモンスター的手法で描くBRAND-NEW NOVEL COMIC!!
◎著者メッセージ
一皮ムケたいあなたにおくる壮絶なファンタジー
約2年半かかって書き上げたブランニューノベルコミック『キぐるみ』がやっとできました。物語の舞台は「不細工は着ぐるみを着なくてはならない町」。「キぐるみ」はそういう町に住む少年トシの成長と、その町の外の恐ろしい現実を描いた作品です。それは私自身をとりまく現実でもありました。
「キぐるみ」には地方から東京またはその他の都市へ出てきた人々や、弱い立場の人々がそれを乗り越えるためのヒントを多分に含ませたつもりです。この作品を手にとっていただけいた方には是非、(そのままを見てもきっと楽しんでもらえるとは思いますが)その「裏」も感じ取っていただけたら幸いです。信じられないかもしれませんが「あの町」のようなところは存在するのです……。
単行本発売を記念して東京10:45とエメットブラウンのトリプルネームでTシャツも販売されます。ウェブのみの限定です。どうぞよろしく。
http://www.tokyo10-45.com/