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商品説明
米国政治を背後で揺さぶるキリスト教・ユダヤ教。これら宗教と政治との関係を正しく認識しないかぎり米国を理解したことにはならない。9・11同時多発テロ後の米国の動きを読む上でも不可欠なこの論点を深く掘り下げる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
蓮見 博昭
- 略歴
- 〈蓮見博昭〉東京外国語大学(欧米第一課程)卒業後、時事通信社を経て、恵泉女学園大学英米文化学科教授(アメリカ政治担当)、日本国際問題研究所研究委員。共著に「日米情報摩擦」など。
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著者/著名人のレビュー
アメリカという国を...
ジュンク堂
アメリカという国をひとことで形容せよと言われたら、どのような答が返ってくるだろうか? 自由の国、民主主義の国、軍事大国……。しかし、対テロ戦争を現代の十字軍だと口走ってしまう国から見えてくるものは、「危ない」宗教大国アメリカである。
本書は9・11後、急速に台頭したキリスト教原理主義についても第III部「戦争と宗教」でふれている。このパートでは、聖書の戦争解釈が詳説されており、興味深い。だが本書の真骨頂は、アメリカ建国以降、政治と宗教とがさまざまな論争を経ながらどう折り合いを付けてきたのかを過去から現在にいたるまで系統的に考察している点にこそある。各宗派と宗教政治団体の動きにも詳しい。
イラク政情、米大統領選挙の行方を読み解くためにも、アメリカの宗教勢力に関する知識は欠かせない。本書はそれらを丸ごと提供する。著者は時事通信ニューヨーク特派員、解説委員の経験をもち、キング牧師『汝の敵を愛せよ』の訳者でもある。アメリカ政治と宗教、そして日本との関係を語らせるうえで、最適任者である。
出版ダイジェスト:2004年9月
テーマ『未知の帝国アメリカ』より
紙の本
アメリカの宗教性
2003/06/16 02:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカと国家の性格を宗教の面を切り口として解説した良書であった。建国の思想から始り、政教関係、憲法への宗教の関与、政治への宗教の関与、宗教の戦争への関与、妊娠中絶、同性愛、教育、大統領不祥事の捕らえ方等を宗教の面から解説している。
アメリカ大統領の就任式の時、掌を聖書の上の置き新大統領は宣誓する。これが、アメリカの宗教に対する姿勢を象徴していると思う。すなわち、政教分離を憲法で謳っておりながら、その内実は政治に大きく宗教が関与しているのである。憲法における政教分離の規定は日米で大きく記述が異なっているらしい。日本では、宗教教育への国の関与等具体的な禁止事項が明記されているにもかかわらず、米国のそれには、具体的記述は無いのである。そういう意味で米国の方が宗教と政治の関係禁止は、緩いと言えるのではないだろうか? それにしても、米国における政治への宗教の関与と言えば、そんなに罪悪感が生じないのに、我が国において、宗教が政治へ関与したという事は、罪悪感が伴うのは何故であろうか? 本書を読みながらそんな事を感じた。やはり、先の大戦への罪悪感が関与しているのであろうか? 私は、それだけでは無いと思った。日米の人間の相違、米国には「個」が存在し、善悪を「個」が判断出来るが、我が国では、そうでなく誰かの思想に自分の思想が左右される。それならまだ理解出来るが、大勢の方へ意見が流れるという危険な面を我が国は有しているという事に根拠を置くのではないかと思った。
米国における歴史は、正に宗教感の歴史である事を改めて理解した。まず、建国がヨーロッパにおいて迫害されたピューリタンによるものである。プロテスタントの国であったアメリカは、その後移民が進むにつれ、カトリックも多くなる。また、米国で発生した諸キリスト教派も多く発生する。ムスリムも増えて行くと正に民族モザイクと同様、宗教モザイク化していくのである。一貫しているのは、アメリカ選民思想である。旧約聖書で言う所の「ユダヤ選民思想」とアメリカを重ね合わせているのである。こういう根底思想からアメリカのイスラム政策をおぼろげながらも理解出来たような気がする。
宗教意識を持つという事は、素晴らしい事だと私は思っている。しかし、それが、政治への圧力団体となったり、大勢の思想の方向性を付けたり(これは、宗教の持つ本質的な事だから私の意図する事の表現は難しいが)する事は私の思う宗教の尊厳に反する。本書は、アメリカが、この私の思う宗教の尊厳を破棄しながら、又は尊重しながら発展、超大国となった事を理解させてくれた。大変興味深く、面白く読めた一冊である。