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考古学の入門書かと思うような面白い考古学の話題から、終盤突然の殺人事件ミステリーへの展開。
2022/01/29 11:03
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
考古学の入門書かと思うような面白い考古学の話題から、終盤突然の殺人事件ミステリーへの展開。しかも全体として論理に隙が無い。特に、密室で死んでいた縄文人の謎解きと、現代の殺人との謎解きは良く考えられており隙の無さが際立つ。デビュー作として申し分なし。この著者、余程の考古学マニアかと思ったら全くの素人だという。何と4年間もかけて考古学の本を読み勉強した結果だという。デザイン専門学校卒からフリーターという経歴からかなり侮ってたのが申し訳ない。俄然注目の一人に昇格。
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ダイナミックな密室
2002/11/01 00:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アシェ - この投稿者のレビュー一覧を見る
3000年前の縄文人の密室殺人の謎を現代において解こうという、いわゆる歴史推理の範疇に入るこの作品は、その謎の魅力もさることながら、発掘・考古学的考察・様々な論争など、古代に関する興味をかき立てる話題に満ちて、面白い作品です。さらに現代において起きた事件の謎も絡んで、学術的興味を持てない読者にも充分楽しめる作りになっています。
一般に現代において過去の事件を解くタイプの歴史推理は、様々な資料や記録、時には当時のことを知る人たちからの伝聞なども交えて解いていくというパターンが多いのですが、この作品のように、文書などの資料のない時代の謎を解くためには、やはり発掘や科学的分析などに頼ることになるわけで、ともすれば地味な内容になる可能性が大きいのですが、そこを飽きさせないように興味を引き続けた物語の展開の仕方は上手いです。
最後に明かされる密室の謎もダイナミックで驚かされます。現代の事件の方が後味が悪いだけに、この最後の謎解きがよけい鮮やかに見えます。
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文時代の密室殺人と現代の誘導殺人。それはそれで非常に興味がわくのだけど推理小説というよりは考古学小説の色合いが強いと思う。まあ詳しい人が少ないだろう読者に説明する度合いは強いだろうけど。俺はこういうの大好きだからかなり楽しく読めた。縄文時代の密室は考えてみればなるほど、と膝を打つ謎だったけど現代のほうはなんとなくすっきりしない感じ。人間の心はそんなに簡単に解析されてしまうものなのかな?確かにそういう行動はとるかもだけどさ。
それにしてもなんか読みにくい小説だった。
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3000年前と現在、二つの殺人。”サイモン”に辿る時間はあまり他のミステリーでは味わえない感覚を呼び起こしてくれる。ただ、現在の殺人に関するトリック、動機がピンとこない。少し、残念に思った。
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歴史ミステリ。高田崇史だと現実の事件+歴史の謎の解明で終わっていたが、彼のはさらに三千年前の殺人事件の解明もプラスされている。縄文人、弥生人像への理解も深まった。現実のトリックが簡単に見破れるのは仕方がない。後森博嗣の如くバーチャル至上主義的主張も盛り込んでいるが、その点ではスケールが小さいのが残念。最も面白い点はタイトルにもあるとおり、三千年前の事件の密室の作られ方。三千年前ではなく三千年となっているのがみそ。
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これほど壮大な時間の流れの中で行われた犯罪があっただろうか。考古学の知識に関して読んでいるだけでもとても面白い。現代の犯罪部分にはしっくりこない部分もある。
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2008/5/20 Amazonにて購入
2008/11/14〜11/30
初の柄刀作品。
内側からの石積みで密閉された洞窟から右腕が切断された縄文人”サイモン”の凍結死体が見つかる。その発見者が姿を消し、不審死体として発見される。過去の殺人と現代の殺人を結ぶものは何か?どちらも調査を開始した弓岡真理子であったが...
二つの謎を絡めた魅力的な舞台設定ではあるが、私としては何かイマイチ乗り切れなかった。面白くないわけではないのだが。
ということで、柄刀作品に対する評価は次作以降に持ち越すことにする。
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密室状態の洞窟で、背中に石斧を突き立てられ、右腕を切断された3000年前の縄文人のミイラが発見された。サイモンと名づけられたそのミイラは出身地、農耕文化、結核菌保有など様々な論点から学界に論争を巻き起こす。そんな折、サイモンの第一発見者である館川民夫が行方不明になった。
これは……読んでて辛かった。幾度途中で放棄しようかと。
結まで読むと事件の解明はされるが(当然)、事件発端に辿りつくまでがたまらなく辛くて遠い。
まぁ、考古学に興味のある人にとっては興味深いとは思うが……私は駄目だった。
途中で何度「これは推理小説か?」と思ったことか。
佐々木晶(←個人的に好みなキャラ)が出てこなければとうの昔に捨ててるよ。
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縄文時代のミイラが洞窟から発見され、どうやらそれが
殺されたもので、しかも洞窟は内側から閉じた形跡があり
洞窟の中にはミイラ以外に人間の居た形跡が無かった様子。
また、考古学の常識を覆しかねない事実も分かってきます。
その騒動の最中、発見者の男性が行方不明になってしまいます。
3000年前の密室殺人のトリックや、現代の事件も私は
面白いなぁと思いました。
でも、途中の、主人公達が話している考古学の講釈が
長ったらしくて少し退屈してしまいました。
ただ「事件がありました〜トリックを解きました〜犯人
見つかりました〜」的な流れだけではつまらないので、
そういう付加価値もある方が好きなのですが
もう脱線しすぎなような気がしてしまって。
それと、文章が上手いのだか下手なのだか分からなかったです。
特に地形の説明とか、私が想像力欠陥しているのでしょうが
ちょっと分かりづらかった…。
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☆あらすじ
長野県下、訪れる人もない山中の洞窟から発見された縄文人のミイラは、右腕を失っていた上に他殺体、しかも密室状況で発見された!
日本中の考古学者がこぞって調査を行う中、第一発見者が山中で転落死する。事故か、他殺か?
学会内部での勢力争いや、大学を舞台にした詐欺事件が絡み、事件は思わぬ一面を見せる。
そして、ミイラ「サイモン」の死の謎が明らかに……
☆感想
ミイラ「サイモン」の殺人事件と、現代で起きた転落死とが絡みあい、ほぼ同時に解き明かされた時のカタルシスがたまらん(;´Д`)'`ァ'`ァ
「3000年」というキーワードの使われ方が美しい。
トラウマを持つヒロイン、しかもインテリ(博物学者)で、居酒屋の看板娘、という設定もたまらん(笑)
ちょいと古い本ではありますが、考古学・博物学のうんちくもたっぷりなので、そちら方面がお好きな方も楽しめるかと思います。
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妙に集中できずになかなか読み進めることができませんでした。
なんでこんなに読み進めれないのかと考えたところ、どうやら自分にはこの文章の書き方が合わなかったようです。
ちょっとした書き方が気になり、こう言う書き方のほうがすんなり読めるのになーなんでこんな書き方なんだろうなーとか余計なことを考えながら読んでいたので、物語になかなか入り込めませんでした。
ミステリーよりも考古学に重きを置いていたように思いました。
そして、考古学関係以外の事柄の描写は妙に軽く感じてしまい、特にサイモンを巡るごたごた(利権やら何やら)はもっともっと深く描いてた方がより面白くなっていたんじゃないかなと思いました。
洞窟の密室と転落事件のトリック(と言う言葉が合うのかどうか微妙ですが)は結構単純で、自分でもなんとなくそうじゃないかなーと思ってたことが当たってしまっていたほどでした。
満足度は★★★☆☆。
サイモンがどんな人物でどんな生活をしていたのかを解き明かす過程はミステリーを解き明かすのに通じる部分があるのかもしれないなと思いました。
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歴史ミステリ、というのかな。鯨さんとか高田さんとかをイメージするとちょっと違いますが。これと同じく、柄刀さんの作品にはいくつか「××年の~」とタイトルにつく作品があるけど、この「××年モノ」はこの方の硬い感じの文章に合ってる気がする。この硬い文章が読みにくいので、なかなか進まず、読後も時間がかかったわりにはなぁという感じで評価が下がりがち。悪くないけどもう少し読み口がライトな方が。
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縄文時代の生活様式を知る上で参考になる。こちら表紙に長編推理小説と申し訳程度に記載されていのだが、作者の意図として成功しているか失敗しているかは微妙なところである。この小説を読み、あとがきの参考文献に興味をもつだけでも価値はある。
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サスペンス?
3000年前の殺人事件!?密室状態で発見された縄文人ミイラは背中に石斧をうたれ右腕を切断されていた。ミイラはサイモンと名付けられ学会の新たな論争の焦点となっていくが、発見者がある日行方不明となる。
発見者は事故か事件か?
またサイモンが示す3000年前の密室の謎は?
というストーリー
うーん、微妙。考古学ものなのか、サスペンスなのかどっちつかず。ラストでうまくまとめた感じです(=´∀`)人(´∀`=)
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3000年前の密室殺人⁈そんな謳い文句に惹かれ手に取った作品。しかも、柄刀一のデビュー作。
歴史ミステリーというジャンルになるのか。仕事柄多少馴染みがあるけれど、考古学の専門用語が多くてちょっととっつきにくいかも。でも、3000年前の密室の謎は、「そう来たか〜」という感じで素晴らしい。過去、現在、未来と、“3000年”というキーワードの使い方が見事で、きれいにまとまってる。