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商品説明
摩天楼の下を軽快に闊歩するニューヨーカーのイメージは、如何にして成立したのか。都市計画から食事・ファッションまで、アメリカン・ドリームを真に誕生させた瞬間を大胆に描く、異色の文化史。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
奥出 直人
- 略歴
- 〈奥出直人〉1954年生まれ。ジョージ・ワシントン大学大学院アメリカ研究学科博士課程修了。現在、慶応義塾大学環境情報学部メディア環境コース教授。著書に「アメリカンホームの文化史」など。
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紙の本
ニューヨーカーのイメージはいかにして成立したのか、を丹念に読み解く「スマートさ」の文化史
2002/05/29 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:杉田宏樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題に「<スマートさ>の文化史」と記された本書は、寛容で包容力のあるアメリカのビジョンである“トランスナショナル・アメリカ”を追い求めた人たち(ビル・クリントン元大統領に象徴される)の話であり、アメリカ的な美学を求めて、寛容性のある社会を模索した人々の軌跡をたどる文化史である。ここで著者が貫いている視点/姿勢は、「カウンターディスコース」という手法だ。これは、社会や時代を支配しているものの見方(=ディスコース)に対して、同じ方法、同一のコンセプトを用いることで、別のものの見方を提示する活動であり、現在では多くの文化研究で採用されている。アメリカ大衆の質朴な欲望が、スマートで“良い趣味”へと変貌し、都市計画から食事・ファッションまで、アメリカン・ドリームを真に誕生させたプロセスを探っているのだ。採り上げられたテーマは、「ル・コルビュジェ」「マクドナルド」「ダコタ・アパートメント」「ビル・コスビー」「アメリカン・ビューティ」等々。
まず個人的に興味を喚起させられたのは、「1935年にアメリカを訪れたル・コルビュジェは『マンハッタンの摩天楼は石とスチールで演奏されたホット・ジャズだ』と述べた」の一文で始まる第1章。20世紀を代表するフランスの建築家は、渡米以前からルイ・アームストロングに親しみ、ニューヨークという都市を目の当たりにして、古いもの(=石)と新しいもの(=スチール)との融合が、ダイナミックな魅力を生み出すことを直感した。その後ジャズがスウィング全盛時代となり、ベニー・グッドマンらが活躍する……といったあたりのジャズの流れを絡めた著者の論述は、初めて目にすることもあって、興味深く読み進められる。
また黒人に対する著述にも多くの紙数が充てられており、シンガー・ソングライターのライ・クーダーによって新たな光りを当てられた古いナンバーを例に挙げて、黒人に対するステレオタイプ的な見方に新説を提示するくだりは説得力大。音楽ファンにも多くの知的刺激を与えてやまない、ユニークな論文集である。 (bk1ブックナビゲーター:杉田宏樹/音楽評論家 2002.05.30)