紙の本
現代の浮世絵師山本タカトの画も素敵だけれど、子供の本で山田風太郎の小説を紹介するなんて、空前
2002/12/03 21:00
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
やっと全4巻を、家族全員が読み終わったので、まとめて紹介する。といっても筋は書かない。それでなくともダイジェストされている話を、さらに要約するまでもないだろう。ともかく面白い。それを支えるのは矢張り山本タカトのと画いう印象。髪の毛一筋一筋が見えてくるような挿絵。しかも、各頁にはその頁に登場する主要人物の姿が、悪役脇役に関係なく小さく描かれるのも、親切である。
実はこの本を友人に紹介した所、彼女から「八犬伝は原典を読むに限る、ダイジェストなどもってのほか」と叱られた。無論、私の考えは違う。原典主義を叫びながら、結局それを言い訳に読まずに終わるよりは、どんな形でも読む。傑作なら、必ず原典を読みたくなるだろうし、それで興が殺がれるくらいなら、それは傑作ではないと思うからだ。
少なくとも、山本タカトの画には思わず本を手にしたくなる魅力、この人物は一体誰だろうと胸をときめかさせる魔力がある。編著といえども全四巻、1000頁になろうという大作なのだ。しかし、読んでいて違和感がないわけではない。妙に話が飛ぶところがかなりある。原典にあたって調べるしかないが、そういう気を起こさせるさせる本だ。
実は四巻の巻末に、編著者の浜たかやの長い八犬伝の紹介がある。勿論、馬琴のことも必要十分に要領よく紹介されているが、その後の現れた八犬伝に発想を得た作品が細かく紹介されている。古くは『仮名読八犬伝』『英名八犬伝』から浄瑠璃本『花魁莟八房』、常磐津本『八犬義士誉勇猛』、私の大好きな評論家小谷野敦『八犬伝綺想』、本宮ひろ志『群竜伝』、遠崎史朗『アストロ球団』、日渡早紀『ぼくの地球を守って』、山田風太郎『八犬伝』『忍法八犬伝』、鎌田敏夫『新・里見八犬伝』などまで。これは子供向けの本として珍しい。なんといっても山田風太郎である。
しかも、原作を約6分の一に割愛したこと、特に後半をスピーディにしたことや、400人も出てくる人物を削ってしまったこと、逆に原典ではラストで活躍しなかった犬江親兵衛を、この本では会戦に参加させたことなどもきちっと書く。削ってしまったことが今でも気になる音音にも触れている。親切なことに岩波文庫の原作の一部に、読みやすいようにルビを振って引用までしてくれている。当時の利根川の様子や、着物についても触れている。原典の挿絵も小さいながら載っている。これで原典じゃあないから駄目だ、では罰が当たる。巻末にはこの版に登場する人物事典が、山本タカトの手になる挿絵とともについている。あの美少年は、あの美少女は、あの悪人はなどと気になれば、全てを確認できる。
これをきっかけに全十巻に及ぶ岩波文庫の原典版に挑むのもよし、ゲームの裏事情に想いをはせるのもよし、とりあえず子供の持っているコミックスに目を向けるもよし。読者の様々な行動が予想される。因みに私は、現代の浮世絵師と呼ばれる山本タカトの原画を見る機会を探す。玉梓の呪いにかかったのかもしれない。このシリーズは面白い。
紙の本
ついに集うのか?
2003/09/11 14:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:江川あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
これほどまでに挿絵と本のイメージが合っている本があっただろうか?
いよいよクライマックスなのだが、なかなか話が進まず、やきもきさせられる。親兵衛の活躍が目覚しい。今までの話の流れからすると、この結末はちょっとあっけない。玉梓は何処に消えたのか?? そういうことが気になるのは私だけであろうか?
投稿元:
レビューを見る
最後の戦はとても読み応えがあった。
八犬士の能力全てが生かされていて、迫力があった。
正月ドラマもよかったぁ!滝沢くんかっこよすぎですぅーーー!!
投稿元:
レビューを見る
原作に比較的忠実で挿絵もきれい。八犬伝の外形掴むにはベストではないでしょうか。ルビや登場人物紹介も多く親切。全4巻。
投稿元:
レビューを見る
謎の尼僧妙椿の妖術で、またたくまに上総館山城主となった悪党源金太改め蟇田素藤。妙椿の目的は、里見家の滅亡。そこにあらわれたのが、犬江親兵衛、房八の息子である。少年とは思えぬ強さで活躍、里見家の危機を救う。八犬士たちは、里見家を守り、足利成氏、上杉定正、千葉自胤、箙御前等からなる宿敵連合軍をむかえうつ…ここに、玉梓の怨念に端を発した宿命と絆の物語が、大団円をむかえる。
投稿元:
レビューを見る
いや~、あっという間でした。 ホント、呆気ないほどサクサクと読めちゃってちょっと唖然としているぐらい・・・・。 もっとも、この第4巻はかなりバタバタと駆け足で纏め上げちゃったという雰囲気もあって、前の3冊と比較すると何かと不満も多いんですけどね。 それとね、これはこの最終巻に限った話ではないんだけど何とな~く記憶に残っている物語とところどころ違うのがちょっと気になります。 もっとも KiKi の場合、八犬伝と言えば「例の人形劇」と「この偕成社版全4巻」と「ぶつぎれのシーンごとの人伝伝聞」しかないわけで、本家本元の原本には未だ手を出していないわけだから、「何が正か?」は知らないのです。 つまり、KiKi の記憶にある物語の断片が正しいとは言い切れないのですから、偉そうにあげつらうわけにはいきません。 ^^;
でもね、この本の編者である浜たかやさんの「あとがき」によれば、
原作を六分の一から、七分の一に縮めるのですから、原作の後半部分はおもいきって割愛し、ストーリーもかなり単純に整理しました。 約400人と言われる登場人物も、大幅に整理しました。 たとえば、籠山逸東太(こみやまいっとうた)は原作にも登場する敵役ですが、数多い敵役を整理し、籠山逸東太に兼ねさせたので、原作よりはるかに多い出番をもつことになりました。 又、安西土佐、山下小助のように、原作にはない登場人物もいます。 話の都合上、エピソードをかえた部分の多々あることもおことわりしておきます。
とのこと。 う~ん、そう言われちゃうと何だか「原本を読みたい気分」がかきたてられちゃいますねぇ。 でもね、滝沢馬琴のこの作品、言ってみれば現代のマンガのような、もしくは韓ドラのような書かれ方をしていて、要は熱狂的なファンの期待に合わせて、馬琴先生が当初考えていたストーリーからあっちへはずれ、こっちへはずれ、ある意味では連載を長引かせるために余計な挿話なんかも増えちゃっていて、特に後半にいけばいくほどその影響を受けている・・・・・と以前に聞いたことがあるんですよね~。 そうなると、やっぱり全10巻な~んていう作品を読み通せる自信はないし・・・・ ^^; もっともあの文語調の何とも言えないリズムの文章には興味があったりもするわけですが。
(全文はブログにて)
投稿元:
レビューを見る
やっぱりぱぱぱっと読める。
後半かなり駆け足な感じ。4冊にまとめる上では仕方ないか。
しかし、くじ引きで結婚するとは(笑)。
投稿元:
レビューを見る
最終巻。里見家を守る八犬士が、安房に攻め寄せる敵軍を打ち破り、物語は大団円を迎えます。表題の八百比丘尼は、玉梓の化身の妙椿という名の尼さんのことです。山賊上がりの悪漢に入れ知恵をし、里見家を襲います。ただ、この尼さんは悪漢の死とともに物語から途中退場してしまいます。最後は関東管領・関東公方の大連合軍と里見軍との海上戦となり、こちらの方がクライマックスのように思います。個人的には最後まで玉梓に頑張ってほしかったなぁ。憎たらしいほど&ぞっとするほど執念深くあってこその仇役だと思うので。巻末にかなり突っ込んだ(子ども向けだからと手を抜いた感がない)解説があり、おもしろく読めました。原文からの抜粋もありました。なかなか調子がよく、流れるような文章です。江戸の人々は、あるいは、声に出して読んだり聞いたりして楽しんでいたのかもしれないなぁなどと思ったりしました。さて、いつかは原作に挑戦・・・?
投稿元:
レビューを見る
八犬士そろって戦う。もっとドラマチックかと思いきや結構普通な感じ。それまでバッサバッサと人を切っていたのに、最後はみな慈悲深く敵の大将も逃がしてやる。未来の和平への道を進むスタートとなる感じで話がまとまる。作者が「あとがき」で八犬伝や滝沢馬琴について解説してくれる。また、本書は原作になるだけ忠実に、でもおよそ7分の1の分量にするために、ストーリーを単純化させたり、エピソードを変えているところがあると。原作には約400もの人が登場するそうで、むー、原作を読んでみたいと思ったけど、なかなか手ごわそう。あとね、やっぱりルビがずうううっとふってあって、本当に読みやすかった。特に人物名、フと気付くと違う読み方しちゃってたりしたので。まぁ自分だけで楽しむ分には(人前で音読、または登場人物について誰かと意見交換などしない分には)、問題ないんですけどね。
投稿元:
レビューを見る
無事完結。
おもしろかった。
が、ちょっとあっけなかったか?
妙椿はどこに?
あの合戦のあと、玉梓の怨霊との直接対決があるとおもいきや、
なんか四天王埋めて一件落着。
しかも八剣士に八人のお姫様って・・・・。
まあ、画面としてはめでたしめでたしでいいんだが、
なんとゆーか物足りん感じもあり。
後書きがおもしろかった。
なんと原作の六分の1から七分の1だとは、
とゆーことは原作で読んだらこの6、7倍ってこと?
なんて大長編なんだ・・・・。
しかも完結まで28年って・・・・。
今より物語の種類も少なかったろうし、読者の渇望も強かったんだろうなあ。
キャラクターグッズもいっぱいあったとのこと。
今も昔も物語を楽しむ人の心は同じってことか。
でもってそこに商機を見出す商人も。
超娯楽大作だったってことだな。
それぞれ贔屓の犬剣士がいたりしたんだろうなあ。
そう考えるとなんか楽しい。
投稿元:
レビューを見る
あー終わっちゃった。親兵衛がチートすぎるなぁと…でも原作では最後の戦いには登場しないんですね。そしててっきり玉梓と直接のしのぎを削る対決があるのかと思いきや、割と最後はふんわり終わるんですね。ふむ。最後まで、下段の逐一の人物紹介がありがたかった。山本タカト氏万歳。そして読み終わってすごく『鎧伝サムライトルーパー』観たくなった…あれも純粋に面白いアニメだと思う!
投稿元:
レビューを見る
悪漢・蟇田素藤と八百比丘尼・妙椿によって御曹司・里見義通を人質にとられてしまった里見家。伏姫の神託を得るべく富山を行く義実のもとに現れた刺客を退治したのは、まだ十歳にも満たない少年であるはずの仁の犬士・犬江親兵衛仁だった! 親兵衛が活躍する妙椿戦、そして犬士が集結した管領戦を収録、偕成社八犬伝ここに堂々完結! 著者によるあとがきと八犬伝解説、人物事典も収録。
第四巻もっと長いかな~と思ってたら三分の一があとがきと人物事典だったのでちょっと肩すかしくらったw なんかテンポいい感じ。さくさく進むけどちょっとダイジェストに近い感じの書き方になってるのはしょうがないかな。省略されがちな八姫との婚姻もやってくれたのは嬉しかったです。管領戦あたりは結構オリジナルというかあ、赤岩百中の存在…いえなんでもありませんことよ。それでも管領戦ってあんま書かれないのであってくれるだけ嬉しいですね。これから八犬伝に入る人が多いのですが原作をアレンジしつつも要所要所の大きなエピソードをちゃんと拾ってくれてるのでほんとに最初の八犬伝、入口としてお薦めしたいなあと思います。
あ、親兵衛がけっこうざっくばらんな喋り方なのが山童って感じで可愛いと思いました。今更気付いたけど句読点とか多めでやっぱり子供向け意識してるのかなとちょっと思ったり。
あとがきが八犬伝解説って感じでした、とても面白かったです。ほんとに、八犬伝って今の人気があるから(むりやり)長く続いた少年マンガのはしりみたいなところがあるよね。個人的には某ワンピに近いと思ってるんですけどね。次の子供向けは人形劇のノベライズ読もうかなと思います。
投稿元:
レビューを見る
再読も遂にラスト、四巻目!
なんだか、駆け足で物語が進んだ気がする・・・
敵のやられ方も基本的にあっさりしすぎてて、なんだか拍子抜けしないでもない
それでも躍動感はあって、夫々目的や仇討ちに成功してるし、最後もハッピーエンドだけど・・・
縁結びをくじ引きで決めるってどうなの (親兵衛とか一の姫とくっついて、一番下の犬士と一番上の姫って・・・とか思わなくもない)
全体を通すと、善側の女性陣が可哀想な最期を遂げる人ばっかりだし
結局妙椿/玉梓が最後どうなったのか不明なままだし、あとがきを今回初めて読んだんだけど、原作を1/7に縮めてあって、その分読みやすくはあったけど、登場人物も少ないらしいし、籠山逸東太が別の人の役割も果たしたり、原作に出ない人が居たり、しまいには最後の戦いに親兵衛は出ないから原作書き換えたとか・・・
編集はいい点も悪い点もあるわけで・・・だからこそ原作を読んでみたいんだけど、原作はとても長いし、引用を見ると読みにくそうでもあって悩む
どこかに原作に本当に忠実で、それを現代風に読みやすくしたものはないんだろうか
あったら絶対読むんだけどな
☆5つあげたいとこだけど、初めて読んだあとがきで知った事実が残念だったので−1で
投稿元:
レビューを見る
読みやすくて、最後の八犬士たちが力を出し合って戦うところがかっこよかった!!
親兵衛くんのキャラがとても好き!!
また絵が話に合っていて雰囲気もとても好き✨
投稿元:
レビューを見る
江戸時代後期の作品。
1814年~1842年までかかって完結の伝奇小生。
里見八犬伝。
作者 滝沢馬琴。
室町時代末期の史実を背景にしている。
以前からタイトルだけは知っていたけど
内容が全く知らなくて
まずは児童書から読んでみた。
年末年始で
里見八犬伝七冊。
児童書 南総里見八犬伝 四巻/浜たかや
新・里見八犬伝/鎌田敏夫
伏・贋作里見八犬伝/桜庭一樹
伏姫と八房の子供達の八犬士八人。
信乃、現八、小文吾、壮助、毛野、道節、大角
どの作品でも
信乃が一番好き。
浜路は作品によって
いろんな風に描かれていて
八犬伝になくてはならない存在なのだな。
妖女玉梓も名前が好き。
怖いけど、恐ろしいほどの執念だけど、船虫と名乗っている時より玉梓の方がいい。
新・里見八犬伝は
ちょっと奇抜な発想
でも楽しめた。
伏・贋作里見八犬伝は
本家ベースの作品で
本家を読んでなくても楽しめると思う。
むしろこちらを先にした方が良かったかも。
それぞれのキャラが生かしきれてないというか
本家からの配役にイマイチ納得がいかない。
作中作「贋作里見八犬伝」は
とても面白かった。
キャラ全てに掴みどころがなく
特に滝沢冥土(滝沢馬琴の息子の設定)は本作においてキーパーソンになってるはずだが影が薄い。
里見八犬伝全体としては
とても面白く
現代語訳里見八犬伝も読む予定。
古典はいろんな風にリメイクできて楽しい。
いい作品は何年立っても良いんだな。
本家は登場人物400人以上。すげぇ!