「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
ライン (幻冬舎文庫)
著者 村上 龍 (著)
半殺しにされたSM嬢、男の暴力から逃れられない看護婦、IQ170のウエイター、恋人を殺したキャリアウーマン。男女の性とプライドとトラウマが、次々に現代日本の光と闇に溶けて...
ライン (幻冬舎文庫)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
半殺しにされたSM嬢、男の暴力から逃れられない看護婦、IQ170のウエイター、恋人を殺したキャリアウーマン。男女の性とプライドとトラウマが、次々に現代日本の光と闇に溶けていく。圧倒的な筆力で現在のコミュニケーションを描いたベストセラー。【商品解説】
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
自分の輪郭
2016/09/28 15:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポージー - この投稿者のレビュー一覧を見る
20人近い登場人物が出てきて、彼らが出会う度視点が順番に移動して主人公が移り変わっていくという小説。その中で唯一2回登場するのがユウコという電話のコードやテレビのケーブルを見るだけでそれらの音声や画像を読み取れるという能力を持った若い女。そんな彼女にとって街は雑多な電気信号の海であり、それらによって脳内に無理矢理作られる音や映像は乱れて、彼女は吐き気に苦しむ。その苦痛に対抗できるただ1つの方法はセックスかオナニーという。
これは一見突飛な話にも見えるが、考えてみればユウコはただの現代人だともいえる。なぜなら私たちの街には今や4G回線やらWi-Fiやらが飛び交って、ネットやメールやSNSなどの様々な情報が無数の人間たちによって一瞬にして消費されていく。これは逆に言えば人間たちが情報に消費されているということでもある。
現代では寂しさから逃れるために人は自分の輪郭をぼやけさせて社会に溶け込む。すると自己の存在の脆さに耐えられなくなり、過剰な性行為や暴力などに走る。これらは自分以外の相手を必要とする行為であり、自分を確かめることとは自分と自分でないものの間に境界線を引くこと。ラインはそういう現代のコミュニケーションを描いた小説。