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紙の本
新米ホームヘルパーが覗いた<介護>の現実を軽快に描く
2002/05/28 01:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タカザワケンジ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご注意いただきたい。この本は、福祉に目覚めた心優しいホームヘルパーのハート・ウォーミングなノンフィクションでは「ない」。ホームヘルパーの仕事に興味がある方にはぜひおすすめしたいが、本書を読み終えた後でも「ホームヘルパーになって困った人の役に立ちたい!」と思えるかどうかは保証できない。
しかし、現実を念頭においてから、自分のやりたいことを探すべきだという職探しの原則に立ち返れば、ヘルパー志望の方はまず本書を読んでこれから直面する現実への心構えをすべきだと思う。
著者は三十代前半の主婦。家事が得意で、お年寄りの世話をするのも苦にならないから、ホームヘルパーは天職かも、とヘルパー1級の資格を取得する。時は平成十二年。介護保険スタートの年で、ホームヘルパー不足が問題になっていた。
意気揚々と現場に乗り込んだ著者は、そこで介護制度のでたらめさに唖然とする。
介護保険の運用はいいかげんで、とても要介護とは思えない老人がホームヘルパーをお手伝いさん扱いしていたり、老人の家族がヘルパーを使おうとしたりと厚かましい輩がわんさかいる。
介護サービスの内容も、「家事援助」と「身体介護」「複合型」の3種類があり、ヘルパーの賃金は「身体介護」「複合型」「家事援助」の順。ところが、現場でヘルパーがふうふう言っているのは「家事援助」。生活全般のこまごまとしたことをやらされるからだ。しかし、一番お金は安い。これってなんだ? そう、例の「事件は会議室で起こってるんじゃない!」ってやつだ。現場を知らないお役所仕事の弊害が、ここにも起こっている。しかも、介護サービスは介護サービス提供事業者に委託されていて、そこでヘルパーがピンはねされる時給はも最大8割というすさまじさ。
それでも、現場のホームヘルパーは福祉の仕事=人の役に立つ仕事と信じて働いていられるものだろうか? 少なくとも、本書の著者はプロのヘルパーとして、現状を「NO!」だと書く。
介護されている老人たちも、一般にイメージされているような弱々しい人たちばかりではない。身体の自由が利かなければ、それだけイライラも募るし、そのストレスを誰かにぶつけたくなるのは当然。そのはけ口がヘルパーに向かうことだってある。優しくして愛されればいいかというと、そこからセクハラ事件が発生したり……。いやはや、ホームヘルパーはタフでなければ生きていけない。
しかし、著者はすべての老人たちにうんざりしていたわけではない。「ボケたってラブリー&キュートな人々」という章では、著者の目から「こんなふうに歳を取りたい!」と思わせてくれた老人たちへのオマージュが捧げられている。ヘルパーだって人間。この人に喜んでもらえるなら、と腕まくりをしたくなるような人たちだって、もちろん、いるに違いないのだ。
本書は著者の処女作だが、テンポがよく歯切れのいい文章はユーモアが効いていて、老人介護という重くて暗いテーマにも関わらず読みやすい。世間の常識を身につけた「普通の人」が介護の現場に入ったら、どんな世界だったのか? ぜひご一読いただきたい。
紙の本
著者メッセージ&内容紹介
2002/05/08 23:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「お仕事ナニしてらっしゃるの?」
「ホームヘルパーです」
「ンまあ! エライわねえ、お若いのに!」
一度や二度じゃない、このようなやりとりに、
辟易しているヘルパーさんって、少なくないと思うのです。
お年寄りのオムツを換えたり、
入浴介助でおチンコの先っちょまで洗ったり、
お口の中から入れ歯をとりだして洗ったりする代わりに、
お金を頂く、という「仕事」をしているだけで、
私は別にボランティア精神に溢れているワケでも、
博愛原理主義者なワケでもありません。
「イヤ、別に私は"お給料を頂くための仕事"してるだけですんで、
人が見ていないところで公園の掃除をしたり、
河原の空き缶を拾っている人のほうが
よっぽどエライと思いますけど」という言葉をグッと飲み込み、
建前を通すことが美徳とされるこの日本では、
「そんなことないですぅ」とヘラヘラ笑うのが関の山。
仕事をする過程で腹の底に積もり積もった本音は
「エラいエラい、って一体ナニがどうエライんだよ。説明してくれよ」
「お年寄りを大切にしよう、だあ?」
「ホームヘルパーって、素晴らしいお仕事! だあ?」
という身も蓋もないモノであり、それを吐き出したのが本書です。
性の話題に一切触れていない乙武洋匡氏の『五体不満足』よりも、ホーキング青山氏の『笑え!五体不満足』のほうにリアリティを感じた私が、介護のリアリティ、エロ・グロ・ナンセンスを一挙に公開。
同業のホームヘルパーや、福祉業界の関係者はもちろん、介護とは無縁の方にも、
「己の未来(=己の老後)」
を考えていただくきっかけとして、
読んでもらえたら、と思います。
速水喬子(はやみ・きょうこ)
1969年東京都生まれ。お茶の水大学家政学部卒業後、刑事をめざして警視庁に入庁するも一週間で挫折。編集プロダクション、ホームヘルパーを経て主婦兼ライターに。今後の活躍が期待される「潜入系」ライター。
【内容紹介】
私は30代の主婦。お年寄り大好き! で始めたホームヘルパーの仕事だったが、老人介護の現場に出て驚愕! 介護保険のデタラメ運用、家族のご都合主義、福祉のプロの勘違い、そして、お年寄りのゴーマン。「おじいさま、おばあさまが『弱者』だなんて誰が決めたの?」性の話題もノーカット。お年寄りだって人間、ヘルパーだって人間。介護する者とされる者の関係を問い直す赤裸々な体験の数々!