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紙の本
腕時計を極めし者
2017/05/04 15:51
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
腕時計に魅せられ、腕時計にはまる人々。腕時計は魅惑的なものなのだろう。
本書はデザイン、ムーブメント、機能、性能、歴史、素材、象徴性、ブランドという各観点から腕時計を考察していくものである。こららの切り口のいずれかあるいは複数の要素によって腕時計を選ぶと考えられるのである。
印象的なのは後の技術が前の技術を駆逐しないという性質である。その最たる例が、クォーツ式の開発によっても機械式が根強い人気を誇っていることであろう。クォーツ式の方が時を刻むのは正確であるのにも関わらずである。デジタルカメラがフィルムカメラを駆逐したように、他の工業製品では新しい技術が古い技術を廃れたものとしてしまうのに、腕時計はどうもそうではないようだ。その他デザインも昔のものが廃れるというよりは新しいものが追加されていくというものであるらしい。こうして多様性の進化を遂げていくのである。
機能という観点からはクロノグラフ、カレンダー、ムーンフェイズなどが紹介されている。このうちムーンフェイズは、月の満ち欠けに関する情報であるが、現代ではこのような機能を特に必要としている人はあまり多くないだろう。しかしなかなか面白い機能であると感じる。一方カレンダーは、日にちの表示については正直必須であると思う。本書は機械式を中心にしているため、あまり強調されていないが、クォーツ式のカレンダーの中には電波時計として、時刻だけでなく日にちも完璧に合わせてくれるものがあるのだ。これは非常に便利だと思う。またクロノグラフは一般的に知られた機能であり、あると何かと便利なのかもしれない。クロノグラフの中でもクロノグラフ・ラトラパンテという日本のクロノグラフ針で途中経過時間すなわちスプリットタイムを計測することが可能なものもあるようだ。
面白いのパテック・フィリップのスカイムーン・トゥールビヨンだ。これは天球の様子まで腕時計で表現しているようで、こんなことが小さな腕時計で可能であるというところが驚きである。
そんな腕時計であるが、やはりスイスのイメージが強烈である。日本も質の高いクォーツを開発し、電波ソーラーという非常に実用性の高いものを作っているのに、いまいちブランド力に欠けているというのが実際なのではないだろうか。日本メーカーにはそういったブランド力を磨いてもらいたいと切に願う。