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  • みんなの評価 5つ星のうち 4 1件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2002.7
  • 出版社: 双葉社
  • サイズ:19cm/420p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-575-23443-5

紙の本

螺子者の血統

著者 横溝 美晶 (著)

領田我意は5年前に南米コロンビアから帰国、中古車販売会社を開いた。が、実はコロンビアの麻薬カルテルから派遣された、日本における密売組織のボスだった。警察の追及をかわし、ヤ...

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螺子者の血統

税込 1,870 17pt

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商品説明

領田我意は5年前に南米コロンビアから帰国、中古車販売会社を開いた。が、実はコロンビアの麻薬カルテルから派遣された、日本における密売組織のボスだった。警察の追及をかわし、ヤクザや外国人の闇組織を非情に叩き潰す。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

横溝 美晶

略歴
〈横溝美晶〉1963年横浜市生まれ。青山学院大学法学部卒業。87年「湾岸バッド・ボーイ・ブルー」で小説推理新人賞受賞。著書に「スピード」「狙われた女学園」「天狐の珠」など。

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みんなのレビュー1件

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評価内訳

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紙の本

ディテールは案外いい加減かもしれません。でも、男たちに魅力があって、ワルが単にそれだけで斥けられないよさがあります。読んでいて大藪春彦を連想しました

2006/10/25 20:57

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

《日系のコロンビア人我意、中古車販売会社の社長だが裏のビジネスはコカインの密輸。夢は100億円を溜めたら引退して海外でのんびり過ごすこと。彼が犯した殺人を見ていた男がいた》ピカレスク小説。
いいことかどうかは分かりませんが、犯罪が身近に起きるようになったせいでしょう、犯罪小説もリアルになって、実際はこうだったのか、あるいは次はこんな事件が起きるのかと思わせるようなものが増えてきました。逆に、読み終わって思わずニヤッとしたくなる作品は減っているような気がします。今回の小説がそれにあたるかは読者の判定を待つしまありませんが、私はラストでほっとしたくちです。
武原健五は刑務所に入ったことのあるホームレスです。といっても盗み専門なので、血なまぐさいことには縁がありません。その彼が決まって閉店間際に訪れるのが、とある回転寿司の裏口で、目当ては店の人が好意で出しておいてくれる残飯です。そのいつもの場所に大きな男がいたのです。男は武原を無視するようにして、ある店の監視を続けます。それが領田我意との出会いでした。
我意はコロンビアで生まれて育ち、中学生の時に日本に帰国したものの学校生活が合わず、高校にも行かないで喧嘩沙汰を繰り返し、その筋の世界へと入っていった男です。しかし仲間を裏切り、3000万を持ってアメリカへ逃亡、彼の地でコカインの販売ルートにコネができ、資金をもって日本に戻り、今は港北ニュータウンで中古車ディーラーの社長に納まっています。夢は、金を溜めて引退し海外のリゾートでのんびり暮らすこと。
その彼が付き合っているのが30歳になる小川明日美、警視庁の刑事です。我意は店で働くコロンビアたちと組んでコカインを密輸し、それを裏の商売にしています。我意が起こした商売敵への襲撃事件、彼に裏切られたことを忘れない昔の仲間 長坂美樹夫との思いもかけない横浜での出会い。訳あって我意の元に転がり込んでいるコロンビア人レオン、ロバート、ゴンサロの不祥事。殺人を捜査する刑事 奥村智雄。我意に対抗する組織。これらが大きな渦となって、男たちを動かしていきます。
読んでいて、私は大藪春彦を思い出しました。我意が単なる悪として描かれない点もですが、サラリーマンには現実感の薄いような高額のお金が動き回るのも似ています。ま、コカインというかそういったビジネス自身が巨額の利益を生むのだから、少しも不自然ではないのだけれど、日々百円、千円で一喜一憂している身には、夢のような話ではあります。
それから、ただ周囲が悪いからといった日本的なお涙頂だい式の怨念ではなく、割り切って動くところも特長でしょう。むしろ気になるのは、作家があまり詳細に拘らない点です。例えば、警視庁の刑事小川明日美や奥村智雄。二人の所属も部署も、地位すら明確に描かれてはいません。こういう部分をしっかり描く作家が多い昨今、このディテールの少なさは不自然な気もします。ただ、それが大きな欠点かといえば、そうではありません、そこが面白い作品です。

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