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評価内訳
2014/12/18 21:00
投稿元:
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発禁処分となって、出版が封印されている大江健三郎の『セヴンティーン第二部 政治少年死す』と深沢七郎『風流夢譚』が掲載誌をそのまま複写して無断転載されていることで有名な本誌ですが、それ以外は、ただの三文ゴシップ誌でした。 マリリン・モンローやシド・ヴィシャスの記事は、まだ面白かったですが、発行者側の意見表明の場みたいな感じで、得るもの0で読んでいてひたすら苦痛でした。その意見表明もなんか低レベルで。 なお『政治少年死す』も『風流夢譚』も今はネットに無断転載されているので、普通に読めます。 掲載誌をそのままコピーしているので、ネットで読めるご時世になったとはいえ、当時の空気感を感じることができるのが、本誌の唯一の読む価値だと思いました。実際、初めて読むのがこの体裁で良かったです。 『政治少年死す』の作品自体はとても面白かったです。初期大江のハードコアスタイルが突き抜けてる青春小説でした。政治的な過激さはありつつも、いわゆる戦争に間に合わなかった戦後派の、大江的に言えば遅れてきた青年、アイデンティティをめぐるお話だったのだと思います。実在の事件をモデルにしている分、実在の事件の真犯人の行動を神格化、英雄化している側の人たちからみたら、彼がただのアイデンティティを探し求める普通の思春期の少年として、怪物の正体を矮小化して描いたのが、刺激になったかもしれません。とはいえ、右も左も、大江特有のスラップスティックで性的なオチを常につけています。(南原征四郎とのやりとりのオチ等)濃密な描写、練られた無駄のない構成、小説としては完璧5つ星で、第一部の『セヴンティーン』と合わせてこその完全版だと思いました。 深沢七郎の『風流夢譚』も、またいわくのついた作品ですが、中身そのものは寓話的なおとぎ話みたいな、それこそふざけて書いたネット小説みたいな感じでした。ムックには、この作品の掲載を薦めた三島と深沢の関係(三島の『憂国』掲載の経緯等)も書いてあり(三島研究としては有名な研究書からの引用なので、そこはちゃんと調べて書いているんだなぁ、と感心)、その解説はそれなりの副読記事になっていました。 冊子そのものとしての読む価値は★1つですし、お金払って読むほどのものではないと思います。『政治少年死す』のクオリティと差し引きで、かろうじて★3つの評価にしました。
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