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商品説明
暴力団組長の子供ばかりを狙った猟奇殺人が発生。警視庁の上層部は内部犯行説を疑い、極秘に犯人を葬ろうとした。この不条理な捜査に駆り出されたのは、かつて未成年の容疑者を射殺して警察を追われた元刑事の西野だった…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
大沢 在昌
- 略歴
- 〈大沢在昌〉1956年名古屋生まれ。慶応大学法学部中退。「感傷の街角」で小説推理新人賞、「新宿鮫」で吉川英治文学新人賞、「新宿鮫無間人形」で第110回直木賞を受賞。
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紙の本
新宿だったら、おまかせ
2002/10/01 16:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:杏実 - この投稿者のレビュー一覧を見る
暴力団組長の子弟ばかり狙った殺人事件が、たて続けにおこった。
警察を追われ、世捨て人のようになっていた元刑事が猟犬となって事件を追う。
警察、暴力団、そして第三の組織の存在が……。
新宿を舞台としながらも、『新宿鮫』とは異なる魅力を放つ作品である。
紙の本
暴力団組長の子供に対する連続殺人。それを追うように仕向けられた元刑事は。
2002/09/29 23:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
千葉で漁師のまねごとをして生きている男。17歳の犯人を射殺したために刑事を西野である。そこへやってくる警察庁の三十代半ばに見える女性キャリア時岡。暴力団の組長の暴力団とは無縁の暮らしをしている子供ばかり3人が連続的に,咽頭部に携帯電話が差し込まれる,という形で,殺されているという。通常では得られない情報がなければ犯行は実行できない。警察の内部関係者に近い存在が怪しい。時岡の依頼は,犯人を探してほしいだけでなく,犯人を殺してほしい,というもの。異常な事件に異常な依頼。当然簡単には引き受けないもののその日のうちに新宿へ行き,かって可愛がっていたやはり暴力団組長の娘が大丈夫なことを確認したものの,翌日,その娘が4人目の犠牲者に。そして,この娘のために,と自分を納得させて,『狩り』へと西岡は突き進んでいく。殺人が殺人を呼ぶ泥仕合は止まらない。
舞台の中心が新宿であることもあり,前作は著者自身による二番煎じと批判もあったようだが,ここまで違っていれば,主人公が刑事を辞めていることもあり,二番煎じの感はない。
刑事でもない人間が捜査を進めていく。しかも昔の人脈から次々と核心に迫っていく。偶然も多い。しかし面白い。前の事件への整理が自分自身でもついておらず,なぜこのようなことをしているのかの葛藤がある。中国人から指摘されるように,「自分が間違っていなかったと信じたい」からというのは当たっているのだろう。
周りの人間たちもなかなか似た者どうし。新宿署4課の佐江,警視庁捜査1課の新井,暴力団組長のボディガード原,皆癖のある人物で,西野とも表面上は争うが,どこか西野と通じるものをもっているため,結局は協力し合っていく。
それにしてもこれだけの大ガカリの事件。犯人の目的が中国人の組織化といったような,あるいはもっと大きなものでなければ,釣り合いがとれなくなってきているが,いったい,どのような真相を用意しているというのか。
紙の本
犯人と殺人動機には大不満だが読み出したらノン・ストップ!
2003/01/21 15:32
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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は久々の大沢節で一気に読んだ。ヤクザの親分の息子や娘が何者かに惨殺、口に本人の携帯電話がぶち込まれる事件が三件、続いて起こる。被害者は三人ともヤクザとは無縁、一般市民だった。この長篇の主人公は西野(西と呼ばせることもある)と言い、17歳の殺人鬼を射殺したことで、警察を辞めさせられた男である。彼はなぜ少年を殺したのか。未成年ゆえに逮捕しても罪は不問、「今度はバレねえように殺るぜ」との言葉を聞き、次なる犠牲者を思って殺したのだ。ところが自責の念にもかられていた。こうした心情、いかにも日本人的ウェットなフィーリングでハードボイルドらしくない! 西野は数年前から千葉に引っ込み、漁師の真似事をして暮らしていた。そこへ元同僚新井警部補と、美女のキャリア、時岡警視正(警察庁刑事局捜査第一課)が来訪、連続殺人犯逮捕に協力して欲しいと頼まれる。理由はいろいろあるが、一つにはこれらの殺人が連続かつ同一犯と分かれば、ヤクザの組員及び親分らは「カタギを殺るのは日本のヤクザではない」と考え、新宿に住む「中国人マフィア狩り」をするに違いない。となれば一般市民も巻き込まれる。それだけは阻止したいと言うのだ。そして新井が帰ったこの日、西岡は時岡と唐突に寝る。描写的には不自然ではないが、後の彼女との展開を読むと作者のご都合主義的設定であり、後半になればなるほど、時岡の魅力も薄れていく。彼女は重要な副主人公ゆえ、これはちょっとマズイい。結局時岡に惚れた西野は、協力することに。
西岡は三年ぶりに東京に出て、以前から付き合いのあったソープ嬢サチ(工藤幸、21歳。相談に乗っていただけで、寝てはいない)を訪ねる。サチもヤクザの親分の娘だったからだ。その帰路西岡は、新宿警察のデカ佐江と再会、ヤクザのボディガード原とも出会う。原は空手三段、ボクシングでも日本四位になった男だった。この後西岡、佐江、原の三人はそれぞれ立場こそ違え、結果的に協力し合う仲になる……。
犯人及びその動機については大不満だが、「物語」はノンストップ、読み出したら止まらない。
紙の本
大掛かりなお膳立てを構えた作品にしては「事件の真相」がいかにも貧弱
2003/02/07 15:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふと映画「スター・ウォーズ」シリーズの印象のことを思い浮かべた。あれをはじめてみたときは冒頭まず、大画面を縦断する巨大戦艦の質量感に圧倒された。そして空想科学小説の想像の世界でしか描けなかった星間戦闘を実にリアルに映像化した超重量級激突の連続に舌を巻きながら、一貫した勧善懲悪のストーリーを理屈抜きに楽しんだものだ。最近の作品は映像技術のいっそうの進歩もありこの激戦シーンはますます迫力を加えている。ただ、ラブロマンスや親子の愛憎、正義のヒーローに内在する暗い野心などの人間性表現にも力点を移したかのようであり、そこがむしろうんざりとするのだ。
著者のヒット作・「新宿鮫シリーズ」は組織のルールにこだわらず悪と戦う一匹狼の刑事の乾いたバイオレンスが魅力だったが、直木賞を受賞した『屍蘭』あたりから鮫島の行動が変わって、お行儀のよい刑事に変身したようである。
『砂の狩人』は新しいヒーローが登場するやはり警察小説である。組織暴力団組長の子供たちが次々に殺害される。中国人の犯行と見た彼らは犯人を抹殺すべく中国人狩りを開始する。新宿を舞台とする中国人マフィアと組織暴力団との凄惨な抗争。初期新宿鮫の胸のすくバイオレンス、待望の復活かと嬉しくなった。プロットのひねりも効いている。警察内部に犯人と密接にかかわる存在をいぶかった警視庁の女性エリート警視正は、警察組織防衛のために事件の真相を闇に葬ろうと、いわくつきの元刑事・主人公に犯人のあぶりだしと暗殺を依頼するのである。この依頼を拒否する主人公を女の武器で篭絡するというお決まりの大サービスまでついている。当局内部のキャリア対ノンキャリア、一般警察対公安の陰湿な確執を尻目に捜査陣の裏をかき、暴力団と手を組み、連続殺人鬼を追いつめる主人公の死闘、意表をつく行動にはストーリーテラーとしての著者の面目躍如たるものがあって、ここは楽しめました。
しかし、これだけ大掛かりなお膳立てを構えた作品にしては「事件の真相」がいかにも貧弱で竜頭蛇尾の感をまぬがれない。