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商品説明
1956年発行の「記憶と現在」から2001年発行の「世紀の変り目にしゃがみこんで」まで、詩人大岡信の全作品を集成。単行詩集、アンソロジー、共著などすべてを網羅。詳細な年譜と著作目録つき。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
記憶と現在 | 28−129 | |
---|---|---|
水底吹笛 | 130−183 | |
転調するラヴ・ソング | 184−241 |
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紙の本
「こほろぎがばかに多い都会の荒地を」。
2008/09/12 23:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「菜の花忌」といえば、司馬遼太郎の命日(2月12日)をいいますね。
ここ数年、わたしはコオロギが鳴く頃になると思い浮かべる詩があります。
それは詩人田村隆一をうたった追悼詩。
毎年、身近でコオロギがわずらわしいほど鳴く頃になると、
自然と、思い浮かぶ追悼詩なのです。
こう毎年思い浮かぶならば、いっそ今日から、
田村隆一の追悼日を「こほろぎ忌」と、私は命名いたします。
こういうのは、早い者勝ちですからね。
田村隆一が亡くなったのは1998年8月26日。
そういえば、今年我が家にコオロギが訪れたのは8月10日でした。
毎回、まずゴキブリかと間違えます。クモでもない。
なあんだ、コオロギか。という気持ちで訪問を受けいれる。というわけです。
おっと。話がそれました。
追悼詩は大岡信。題は「こほろぎ降る中で 追悼 田村隆一」。
この詩がいいのは、いちいち田村隆一の詩を思い出さなくてもよいことです。
まあ、そんなことはいいですね。
では、最初と、それから肝心な箇所とをピックアップして引用。
田村さん 隆一さん
あんなに熾(さか)んだつた猿滑りの花の
鮮かなくれなゐも 薄れてしまつた
蝉時雨に包まれてあんたが死んだ1998年も
たちまち秋に沈んでゆく
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
田村さん 隆一さん あんたが
好き嫌ひともはつきり語つた二十世紀も了る
こほろぎがばかに多い都会の荒地を
寝巻の上へインバネス羽織つただけのすつてんてん
あんたはゆつくり 哄笑しながら歩み去る
・・・・・・・
注:大岡詩集「捧げるうた 50篇」(花神社)の最後に掲載されておりました。この本、ちょっと手に入らないようなので、ここではおおぎょうですが全詩集から。