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商品説明
限界を超えてでも、私は愛にたどり着きたい−。アン、ドゥ、トロワ、キャトル、そしてサンク。少年少女たちは過去の凶悪事件の加害者たちを探し出し、「目には目を、歯には歯を」のハンムラビ法典に則って、罰を加えていく…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
野島 伸司
- 略歴
- 〈野島伸司〉1963年新潟県生まれ。中央大学中退後、渡米。帰国後シナリオライターとなり「101回目のプロポーズ」「高校教師」「未成年」など高視聴率ドラマを手掛けている。
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紙の本
なんていうかなあ、テレビ人特有の上手さは感じるんだけれど、同時に薄っぺらさ、ワイドショーの内容のなさ、二時間ドラマの陳腐さを感じるんですね
2006/08/24 20:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《罪を犯しながら、それに相応しい償いをしないうちに出所し、社会を大手であるく元犯罪者たち。彼らに被害者と同じ苦しみを与えようと、五人の若者が立ち上がった》サスペンス。
アンをリーダーとする五人の若者たちが狙うのは、罪を犯しながら、軽い刑期で早々に社会復帰し、昔のことは無かったかのような顔をしている元犯罪者たちです。すぐにカッとして暴力を振るうドゥ、かれの恋人で美女のトロワ、パソコンをいじるのが好きでハッキングが得意のキャトル、小柄な少年サンクは、ハンムラビ法典の「目には目を」を合い言葉に、今日も犯罪者を狩り続けます。
最初に血祭りにあげられたのは古沢貴です。古沢は、暴行殺人犯を行い、刑を終えて出所した今でも暴力で物事を解決できると思っています。次は、岡村エリナです。夫に保険金をかけて殺し、再婚しては同じことをくりかえす女。そして新井邦雄。女性を陵辱殺害しながら、未成年であるため罪を問われなかった男です。最後が医療ミスで患者を殺してしまった医師マサハル。
ところが、間違って町工場の社長を襲ったことから、仲間の間には亀裂が生じます。ドゥの暴走は留まるところを知らず、トロワは更に彼を煽ろうとする。怪我をした町工場主を父親のように慕う盲目の少女ララの登場は、アンの瞳の奥にある青い輝きに密かに思いを寄せるトロワの心に、嫉妬の火を灯すのです。
一連の事件を同一犯の犯行とみなす、顔の火傷を隠そうとしない刑事柳井。半身不随となった、外科医で車椅子生活を送るマサハル。かれのフィアンセで精神科医の保科カオルなどの思惑が絡んで、事件は意外な方向に進んでいきます。
第一章 サンク、第二章 ララのテーマの二部構成ですが、話が、章によって大きく変わります。ただし、全体の印象は、衝撃というよりは、流行のものを取り入れましたという感じで、薄っぺら。特に後半のまとめかたには疑問を抱いてしまいます。宮部みゆきや小杉建治たちほどに、犯罪者と被害者の家族の苦悩への思い入れが感じられないのです
これは野島に社会や法というもののあり方に対する主張が無いせいではないのでしょうか。それは作者の経歴を見ると分かる気がします。TVの脚本を書いてきた人は、今は亡き野沢尚にも共通するのですが、テンポと話題の取り入れ方が上手く、映像にしやすい話を作ります。その一方で、人間の苦悩を掘り下げるという点で、不満を抱かせることが多いのです。この作品も、それを超えてはいない、といえるでしょう。
紙の本
不思議な体験
2002/12/20 19:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真愛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初の野島伸司氏の書き下ろし小説ということで、こちらもかなり心を入れて読ませて頂きました。でも読んでいくうちに、不思議な感覚を覚えるなんて初めてでした。
この物語は、2章に分かれています。1章目は、5人の少年が被害者遺族に代わり、加害者にハンムラビ法「目には目を。歯には歯を」に法り制裁を加えていく。それは秩序でリーダーであるアン、行動が全てのドゥ、自己愛に満ちたトロワ、物事を利己的に分析する冷静なキャトル、そして幼く無垢なサンクによって行なわれていく。
しかし私は読んでいくうちに妙な感覚を味わいました。それは「ウ゛ィジョンが浮かんでこない」というものでした。不思議な感覚を抱えつつ読んでいくと、やがて統一された1人の犯行とわかってくる。それは多重人格でも分裂病でもない、人が持つ感情の表れでした。そんな中で彼(等)は盲目の少女ララに出会います。
2章はそんな純粋な心を持つララと、サンクを残し、他の感情を殺して表れた主格キャトル、そして警察で彼の精神科医としてあたったカオルとの話です。カオルは実は自分の夫が彼の被害にあった被害者でした。そしてある復讐を企てていたのです。しかし自分のした事でキャトルが消え無垢なサンクが残ると知り、後悔をする。そして話は元のページに繋がる様にへと。
猟奇殺人、という帯コメントに反し、そのラストは野島氏独特の「愛」の世界に満ち、暖かで切ないモノになっています。2章でのキャトルとララ(後に…)の手紙は正に切ない、儚い「愛」の言葉の交わし合いあいで、その後、キャトルが辿り着いたところは「愛の場所」と感じさせるものです。また、所々に出てくる野島氏の言葉は逃せません。
ドラマでは間接的な分、書き下ろしではストレートに伝わり、野島氏の言いたい事がよくわかると思います。野島ファンにとっては必読です。