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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.12
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/349p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-208462-6
紙の本
シティ・オブ・ボーンズ (Hayakawa novels)
犬がくわえてきた骨。それは、虐待された少年の変わり果てた姿だった。ハリウッド署のボッシュは、この事件を解くべく、少年の家族を調べはじめる。が、そこにはさらなる悲劇が待って...
シティ・オブ・ボーンズ (Hayakawa novels)
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商品説明
犬がくわえてきた骨。それは、虐待された少年の変わり果てた姿だった。ハリウッド署のボッシュは、この事件を解くべく、少年の家族を調べはじめる。が、そこにはさらなる悲劇が待っていた…。ボッシュ・シリーズ第8弾。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マイクル・コナリー
- 略歴
- 〈コナリー〉1956年生まれ。フロリダ大学卒業。ロサンジェルス・タイムズ記者を経て、92年「ナイトホークス」でMWA賞優秀新人賞を受賞しデビュー。著書に「ボッシュ」シリーズがある。
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紙の本
警察官のロマンスっていうのは、嫌いじゃあないんですが、もて過ぎるヒーローっていうのも何だかねえ・・・
2006/08/23 21:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《ハリウッドの丘陵の奥深く、開業医の飼い犬が咥えてきたのは、人骨だった》警察小説。
ハリウッドの丘陵の奥深く、ローレル・キャニオンで、開業医ドクター・ポール・ギヨーの飼い犬が咥えてきた骨は、人間のものでした。事件を担当するのは、ロサンジェルス市警ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュ。彼がドクター・ギヨーに質問をしている時、そばで軽率な発言をした警官がいました。それがジュリア・ブレイシャー。元弁護士で、ポリス・アカデミーを出たばかりの30代の新人。殺人課の仕事にあこがれる婦人警官です。
検査から、骨は20年近く前に死んだ12歳くらいの少年のものと判明します。彼の頭蓋骨に残る傷跡は事故の可能性もありますが、ボッシュだけは児童に対する暴行があったのでは、と疑い始める
ます。そして彼の目は過去に事件を起こしたことがある、現場付近に住む小児性愛者ニコラス・トレントに向けられるのですが。
ボッシュの捜査方法を嫌うロサンジェルス市警副本部長アーヴィング。パートナーであるジェリー・エドガーをそっちのけのボッシュの単独捜査。警察の極秘情報のリーク。マスコミとの対立。マグライトをきっかけに始まるロマンス。ジャズを巡る会話、ベトナムのトンネルでの出来事。警察内部の特に上司との恋愛を禁じる規則、警察内部の噂。様々のエピソードが絡み合います。
でも、これほどの事件なのに緊迫するというよりは、どこか弛緩した雰囲気があるのは何故でしょう。古い事件を掘り返すということが、原因かもしれません。起こるべき犯罪を防ぎきれないキレの悪さもあるし、それに対するボッシュの怒りや苦悩が大きくないということもあります。特に、付随した事件は、ボッシュにとって、もっと大切なはずなのに曖昧に終わっているのです。そのせいか、結末の衝撃が伝わってきません。
ボッシュ・シリーズ第8弾。記念すべき第1作『ナイトホークス』は、我が家の書棚のどこかに死蔵されているはずなのですもが、なぜか今も積読状態。だから読み終わって、ボッシュのもてもてぶりに驚いたのですが、訳者あとがきによれば、過去の作品でも様々な女性と恋愛をしているといいます。これでお終いかと思ったシリーズですが、続編Lost Lightも出ているので安心してほしいもの。
何を言っているのか分らないって?それは、読んでもらえば分ります。
紙の本
ボッシュよ、何処へ
2003/06/16 11:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代最高(私見)のハードボイルド・シリーズ数えて八作目。派手さはないが、死後二十年を経て発見された少年を巡って、深く静かにボッシュの捜査が描かれる。見逃せないのが、『堕天使は地獄へ飛ぶ』で姿を表した一皮剥けたハリー・ボッシュ。痛々しいまでにパートナーに気を使い、事件関係者に気を使う。この優しさがボッシュの本質をあらわしている。セリフの端々ににじみ出る人生への深い洞察と哀感と愛情に満ちた視線は、あのボッシュから発せられればこそ、その深みもまた違った形で迫ってくるのだ。
シティ・オブ・ボーンズ…。骨の街、骨の上に建つ街。たとえば、エディンバラの一匹狼ジョン・リーバス警部の周囲には、現世に未練を残したまま逝ってしまった者たちの亡霊が群がる。リーバスは彼らの無念を背負って生きてゆく。リーバスとボッシュはほぼ同年代のはずだ。思いは同じか。数千年の間、変わらぬ人間の性(さが)と積み重ねられた骨の上に建つ街、天使の街ロサンゼルス。シティ・オブ・ボーンズ。味わい深い小説だった。
コナリーといえば、二転三転するケレン味たっぷりのストーリィが大きな特徴だ。解説で訳者がどのように否定しようともそれは間違いない。二転三転したのち、ラストに待ち構える大ドンデン返し。ミステリ・サスペンス小説としては王道なのだろう。その意味では、コナリーは平均点の高い作家であり、多少のあざとさはテクニックでカバーしてしまうソツの無さも兼ね備えていた。最近作はちょっとウデが落ちたような気もするが、派手な舞台装置とナイフのようなボッシュの内面によって薄紙をかけるように読者を翻弄していた。
ニュー・ボッシュお披露目となった『堕天使は地獄へ飛ぶ』にも沸点すれすれのボッシュの叫びがあった。しかし、この作品は違う。地味な田舎町を舞台にボッシュは静かに捜査を続ける。出会う人々に優しい視線を投げかけ、人々に自らを投影し、苦悩する。諦観とは違うかもしれない。しかし、ボッシュは確かにある境地に達した。う〜ん、諦めたわけではないな。対極の立場を認めた上で、自分はどこにいるべきなのか自問している。結果として、この作品も大きなターニングポイントになった。自分はどこにいるのか、どこにいるべきなのか。透徹した目で己と向き合うボッシュの姿が感動的だ。
お約束の内務監査と恋愛が、どこか「儀式」めいていて今ひとつしっくりこないのが居心地悪い程度。ハリー・ボッシュと聞いただけで、気もそぞろになる大ファンなので先が気になって仕方がない。というか、ボッシュ・シリーズの場合は毎回がそうなのだが。