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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.7
- 出版社: ミリオン出版
- サイズ:19cm/253p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8130-1081-4
紙の本
殺人現場を歩く
かつて・ここで・人が・殺された−見慣れた日常の風景が変容する18の事件・18の現場。テキストと現場写真を融合させ、読者を可能な限り殺人事件が起こった現場へと誘う。目の前の...
殺人現場を歩く
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商品説明
かつて・ここで・人が・殺された−見慣れた日常の風景が変容する18の事件・18の現場。テキストと現場写真を融合させ、読者を可能な限り殺人事件が起こった現場へと誘う。目の前の「リアル」な風景。事件のリアルな姿。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
写真が語る千の言葉
2005/09/22 15:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村静英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主役は殺人現場。
関係する人々の事は、あまり語られていない。
被害者の過去と夢見たであろう未来も、加害者が人を殺すに到った心の闇も、何も解かれてはいない。
あるのは、明かされた事実のみの文章と、現場の写真。
痛ましい事件の裏で、加害者の父親が自殺したこと等は、一切排除されている。
それだけに、解明されない謎は大きく膨れて、想像をかきたてる。
どんなに世間を騒がせた出来事も、一世紀に近い人の生の中では、瞬きの一つになってしまうのだろうか。
子供の頃、近所の老人が自宅で孤独死をした。
老人の家から異臭がして、死体の彼は発見されたのだ。
その後、家は壊され、お坊さんがお経をあげて立ち去った。
その場所は駐車場になり、今に到る。
孤独な老人が誰にも気付かれずに死んだという、珍しくもないが衝撃的な思い出。
けれど、印象に残っているのは、経をよんでいたお坊さんの姿で、駐車場となったそこも、何事も無かったように時間は過ぎた。
悲惨な殺人現場でも末路は同じだ。
第三者にとって、他所事でしかない事件は、時という名の風にさらさらと崩されていく砂山でしかない。
けれどここに突き付けられた、事実をまっすぐに綴っただけの文章と写真。
無機的で心が無いと感じたのは、少しの間の錯覚だった。
刹那を切り取った物言わぬ写真の中で、殺人現場に縛られた人達の、言葉にならない想いが悲鳴のように溢れている。
風に舞う一粒一粒の砂の無念さが、見えてくる。