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この人の語る絵のお話は、やわらかくてとても読みやすいのがいいところ。癖なくすっと入ってくる。
この人のこの手の本は何冊か持っているけど、これが一番好き。子どもの頃、ふすまに紙を貼ってもらって存分に描いた体験とか、こんなに有名な画家なのに、同時代や若い人の展示を見ると嫉妬で疲れてしまうとか、ものすごく共感。そしてほっとする。
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美術館に行って絵や彫刻を見るのが好きなので手に取った一冊。絵を描く人が見ると同じ絵でもかなり見方が変わる。それは絵を描くことがどういうことかを知っているのと、その画家がどんな時代に生活をしながらその絵を描いたかを知ってるからじゃないかと気付かされた。本の中でたくさんの画家についてまるで目の前で語っているかのような語り口で書かれていて興味が湧いた。印象派やナイーヴ派の説明もわかりやすかった。なんといっても花を1、2本買ってきて描いてみようと思わせちゃうところがいい。とにかく彼の絵が見たい!!
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画家であり絵本作家である安野さんが、ブリューゲルやゴッホらのエピソード、さらにはご自身の体験を交えて記した、絵画の楽しみ方についての本です。
基本的な鑑賞のポイントや描き方についての簡単な解説だけでなく、画家としての半生、美や芸術というものへの考え方などは、とても興味深かったです。
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(2003.11.30読了)(拝借)
副題「見る楽しみ、描く喜び」
気持ちのいい自然の風景、気持ちのいい街角、などを描く安野さんの絵についてのあれこれを述べた本です。絵を見るのが好きな人、絵を描くのが好きな人、安野さんが好きな人、いろんな人が読んで楽しめる本です。
木を描くときは、葉のついていないときに描きなさいといっています。葉が茂っている時は木がどうなっているのか分からない。枝のつき方や全体が分からない。葉の落ちた冬や早春なら枝振りが見える。葉のない状態の木に葉っぱをつける事はできるけど、葉の生い茂った状態の木から三木と枝だけの木を描くことができない。人体のヌードも同じこと。
ブリューゲルの絵を元に絵の描き方を説明しています。狩人の帰還などの風景画を描いていますが、今のオランダの人なので、山の風景など知らないはずなのですが・・・
3章では、ゴッホについてあれこれ述べています。ゴッホの描いた絵と、その場所の写真を較べると、ゴッホの絵のほうが強烈です。何故なのでしょうか?ゴッホの感性なのでしょうか?
6章では、絵を始める人のためにあれこれアドバイス? が書いてあります。ある人の描いた絵が好きだからといってその人の使った画材を探して使ったとしてもその人のような絵を描けるわけではない。というのが結論です。
7章には、安野さんがどのような風に絵描きになってしまったかが書いてあります。
著者 安野 光雅
1926年 島根県津和野町生まれ
宇部工業学校卒業
山口県徳山市で小学校教員
1949年 上京
1968年 「ふしぎなえ」で絵本作家としてデビュー
1975年 「ABCの本」「きりがみ桃太郎」で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞
1977年 「あいうえおの本」でBIB金のりんご賞を受賞
国際アンデルセン賞、ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞、紫綬褒章など多数受賞
●関連図書
「わが友・石頭計算機」安野 光雅著、ダイヤモンド社、1973.06.01
(「BOOK」データベースより)amazon
いい絵とは何だろうか。名画はどのように生まれ、画家たちはどう生きたのか。プロとアマ、油絵と水彩画、写実と抽象、そして美術的価値と価格などにもふれつつ絵画の豊かな世界へと案内。ブリューゲル、ゴッホらの興味深い逸話や自らの経験を語るとともに、これから絵を描いてみようとする人への具体的な手ほどきも行なう。
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良い意味で素人の目線、素朴な客観性と謙虚さの表れた文体でほっとします。なんだこれだけの画家が言うんだからいいんだな別に。って思わせてくれます。著者はただの画家がではなく本当に広範な知識の持ち主。絵を志す、または楽しむ人には一度読んでみる価値あり。
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[ 内容 ]
いい絵とは何だろうか。
名画はどのように生まれ、画家たちはどう生きたのか。
プロとアマ、油絵と水彩画、写実と抽象、そして美術的価値と価格などにもふれつつ絵画の豊かな世界へと案内。
ブリューゲル、ゴッホらの興味深い逸話や自らの経験を語るとともに、これから絵を描いてみようとする人への具体的な手ほどきも行なう。
[ 目次 ]
1 絵を見る―心を動かされる満ち足りた時間
2 絵を描く―ブリューゲルの作品を手がかりに
3 絵に生きる―ゴッホの場合、印象派の時代
4 絵を素直に―ナイーヴ派、アマチュアリズムの誇り
5 絵が分からない―抽象絵画を見る眼
6 絵を始める人のために―テクニックは重要な問題ではない
7 絵のある人生
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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「私、絵とか分からないから…」という方にもぜひオススメしたい本でした。美術史を追いながら、素人にも本当に分かりやすく飽きない構成で語られている一冊。
一番印象的だったのは、絵の見方です。どれが良い絵なのか?なんて美術的価値を判断するのは、本当は絵を見ただけでは不可能であると。たとえば皆が通り過ぎる絵でも、「チンパンジーが描いた」という事実が明かされれば注目に値する絵となる可能性がありますよね。
そんな中で世間的評価や美術的価値を離れて、自分にとっての良い絵を見つける方法は、美術館などを歩きまわりながら「この中で、1つだけ1万円で売ってあげる」と言われたらどれが欲しいか、と考えてみること。それが、自分にとっての良い絵なんじゃないか、というお話には「うんうん」とうなずきました。恋愛と一緒で、好みは皆それぞれ違っていい。今度、そんなことを妄想しながら歩いてみるのも楽しいなと思います。
ゴッホについては結構ページがさかれており、「ゴッホの手紙」はイチオシとのことでぜひ読んでみたいと思いました。絵が絡んでくる古い映画の紹介もちらほら。「スカーレット・ストリート」は観たい一本に追加です。
写実主義が頂点に達し、写真が登場したことで印象派が生まれ、さらに抽象画へ。かつては点描で表現したものでも、現在はCGで思いどおりの絵を簡単に作れるようになっている。さてこれからどうなっていくのか…という大きな流れは非常に興味深いです。これが一つの時代を築き上げるとしたら、まだ今は起承転結の「起」の部分であると。一時代となるかどうかは、時が経たねば分からない。
写実主義を極めた人たちにとって写真の登場はどれだけのショックだったかと思います、が、CG等の登場はそれに通じるものがあるのでしょうか。CGを芸術作品ととらえたことはあまりなかったので、その点でも新鮮でした。
終わりのほうには、絵を始めてみたい人へ、こうして描いてみましょうという簡単な手引きがあります。薄い一冊の中にぎっしりと絵への愛情がつまっていて、つくづく見識の広い方だなと思いました。
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普段絵にあまり関心のない自分でも、理解しやすい内容だった。絵を様々な視点からみるきっかけになると思う。
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絵に関するつれづれ。とは言え歴史的なことや技術的なことも初心者にわかるように書かれていました。ゴッホに思い入れがあるひとって多いんだなあ。
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高名な画家、絵本作家である著者の絵を見る、絵を描く、絵に生きると
いう視点から語られている。著者の鑑賞態度などを易しく、難しく感じさせない言葉で書かれている。
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このタイトルに対して、どういう切り口で書かれているのか興味深かったけど、なるほど、自身にとっての絵の見方を、美術史の流れを通して綴っている感じだった。美術の鑑賞の仕方伝授、みたいな感じかと思っていたけど、むしろそういう考え方とは距離をおくスタンス。とにかくたくさんの作品に触れて、興味があれば自分でも手を動かしてみましょう、ってことだと思いました。
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本の内容
いいと感じる絵とは一体どのようなものなのか。
また、画家たちは絵を書きながら人生をどう歩んだのか。描かれた絵は何故、このような表現をしたのか。それらを安野氏が有名な絵画を載せながら詳しく説明しています。
注目
第一章では安野氏が子供の頃に見た絵の話やそのときに感じたこと、心に残った絵の話をしています。この章で、他人がいいと感じる絵と自分の感じたものが違うものでもいいと書かれており、安野氏は「人が、美しいものに反応する感覚は、自然から学んで育つことの他に、絵を見ることの経験によっても磨かれるのだと思います。」と話しています。絵を見ている時間は心の中が満たされ、一人で絵を見ながら自分で考える時間は大切だと思いますと話し、そういった時間が絵を見る力を磨かせるのだと書かれていました。
おすすめ
読んでいると安野氏とは違う考え方や意見が出るとは思いますが、いま、絵を描いている人もこれから描き始めようと思っている人にも興味深い話がたくさん載っています。
さらに、本には作品が生まれるまでの流れや、写真機の登場が絵にどのような影響を与えたのか、これから絵を描こうと思っている人に向けた手ほどきも行っています。
この本は、絵の見方や感じ方を改めて見直し、さらにこれから絵を描いてみたいと思う人へのきっかけになる一冊だと私は思います。 (151219 月の姫)
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安野光雅さんの優しい言葉をして、目の前で講義を受けているような気持ちになりました。
絵を志す人に向けた本のようなので、画材や絵の基礎のような読んでいて少し退屈な所もありましたが、とにかく絵が好きで好きで仕方ない安野光雅さんの、授業のような、時折告白のような、また、様々な絵を見る際の参考になる記述も沢山ありました。
推薦する書物なども記載されています。
物心ついた時からそばにあった「不思議な絵」の誕生のエピソードを知れたのもなんだか嬉しかったです。
安野光雅さんのお人柄がひしひしと伝わる1冊です。
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(2003年、刊行後すぐに買った本、語りおろし)
絵を見ることから始めて、印象派やナイーブ派、抽象画の時代をたどり、絵かきとしての自分の半生もふりかえりつつ、これから絵を描いてみようかという人への具体的な手ほどきや心構えを語る。
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絵を描く人にも、絵を見る人にも、響くところがあるのではないでしょうか。
見る視点、知る視点、描く視点、いろいろな視点を交えて書かれた本です。
安野氏の絵描きとしての思いも知れます。
優しい語り口ながら、ときに自身の率直な思いも述べてあり、とても面白い内容でした。
ところどころ、読書家なのだなと思わせるほどの博識さに驚かされます。
現代人が本を読まないせいかもしれませんが、岩波文庫の本を平気でひょいひょいあげたり、西洋画、日本画のみならず、書家や俳人の言葉まで引用されています。
一度関西圏でブリューゲルの「バベルの塔」を見たことがあります。
俯瞰的に見るとバベルの塔が主題に見えますが、塔では写真だと気付かないほど小さな人々がバベルの塔の中で暮らしている様子が細かく描かれていて、一枚の絵で複数の視点が持てることに度肝を抜かれた作品です。
最初がブリューゲルの絵の話で、どういう過程であの細かい人たちを描いていったか話されていて、とても興味深く思いました。
そのほか、ゴッホの話にも大きくページが当てられています。アンリ・ルソーの絵についても。どの話も分かりやすい。原田マハさんの本を読んでおいてよかった。
絵描きの視点だからと堅苦しくなく、本から語りかけてくる心地よさがあり、とても良い時間を持てたと思える本でした。