紙の本
情報小説+アクション小説
2005/09/17 15:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヤクザを父親に持つ建設コンサルタント二宮と、真正のヤクザ桑原のコンビが、詐欺師を追って二度の北鮮行きを敢行する前半は、冒険小説としてよりもむしろ一種の情報小説として出色の出来映え。たとえば北朝鮮の人民は三つの階層に分類されていて、それは平壌に住める「トマト階層」(皮も身も赤い)と山間奥地や僻地に住む「ぶどう階層」(皮も実も赤くない)、それからこのどちらにも属さない「りんご階層」(皮は赤いが中身は白い)の三つだとか、平壌にも日本のヤクザに似た人種がいるとか、雑学的知識も織り交ぜながら、「パーマデブ」が支配する異様な国の実態をリアルに描いている。後半は、関西を舞台にヤクザや詐欺師、実業家に政治家、悪徳警官が入り乱れてのアクションもので、それはそれでスピーディで心地よい読み物なのだが、でもやっぱり前半との間に微妙なミスマッチがある。でも、たっぷり二冊分読んだと思えば、それはほとんど気にならない。
投稿元:
レビューを見る
疫病神のコンビが、詐欺師を追って北朝鮮に潜入。国境を越えての追跡と友情。
うむ、おもしろい。文庫で800ページを超えるも、だれることなく読ませる。
投稿元:
レビューを見る
桑原と二宮にはまっちゃいそうです。今回は北朝鮮ネタですが、綿密な取材の後が良くわかり、北朝鮮問題という視点からも楽しめます。桑原のトランクの鍵を開けるために二宮が「試しに893に合わせてみたが、開かない。」なんて茶目っ気ある件もうまい。ラストの李さんとの再会はシンプルでありながらも感動した。
投稿元:
レビューを見る
期待していたほどではなかったので、★がちょっと厳しめかもw
長々と書いているわりには、既知のことが多く、目新しさを感じなかったせいかもしれない。
残念。
投稿元:
レビューを見る
建設コンサルタントと暴力団幹部の「厄病神コンビ」が詐欺師を追って北朝鮮に密入国します。
すごく分厚い本なんだけど、あっとゆー間に読んじゃいました。
なかなか面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
最後の最後で、思わず二宮と一緒に感涙しそうでした・・・
くそぅ、泣かせるぜジャイアン! さすがだぜジャイアン!!
タイトル通り、北朝鮮のお話。
と、言っても国境争いが主本ではなく、二宮は紹介した顧客を騙した男を見つけるため。
桑原は、二蝶会の幹部を騙した男を見つけるため。
その騙した男が同一人物だったために――なんと一緒に北へ!!
そんなオープニングからの始まりですが、オープニングから二人の仲の悪さは際立って。一緒に行くことになった日系三世の通訳の人が「どうしてそんなに仲が悪いのか」と問うほど悪い。
しかしお互い相手が悪いと引かないもんだから――
疫病神は健在だ。
この本で、北朝鮮という国の特殊さに改めてショックを受けた。
かなり取材も出来ている話なんだろう、とも思う。
この情報社会の現代で、こんなに徹底した軍事国家はありえない――ありえてることが、おかしい。
鎖国中の日本のようだ・・・
しかしながら、日本は鎖国で他国からの情報を一切取り入れようとしていなかったし、侍という身分は「武士は食わねど高楊枝」などという言葉も出来たくらいプライドもあった。
北朝鮮は世界の情報も入ってくる状況だというのに、それを知りえるのが一部の上層部――というのがおかしい。
何百年と続いた国ではなく、高々4、50年の国なのに。
誰の目にも、かの国は滅びの道を進んでいるようにしか思えないのだが、当の本人たちはそれを理解しているのだろうか・・・とちょっと気にしてみたり。
さてさてそんなこともさておき。
北朝鮮に逃げた男を見つけるため、北に入りしかし日本との常識との違いにいま一歩で逃してしまう二宮と桑原。
一度日本に帰り、さらに奥地に向かった男を捕まえるため選んだ手段は――
密☆入☆国☆
中国から川を渡って入っちゃうというのだ・・・無謀だ。
しかし無謀なことをしてしまうのがジャイアン桑原なのだ。
そして入国は成功し、目当ての男を見つけてみると、真の黒幕はなんと日本にいると知り――
舞台は日本に戻るわけですが。
その帰り道。
密入国したのだから、密出国せねば帰れません。
出国するのも川を渡ったのですが、茂みには北の兵隊が銃をもって潜んでいて、二宮桑原、案内人としてついてきてもらったおじーちゃんの三人は必死で川を渡ります。
二宮が命からがら渡りきり、気がつくと中国の小さな村のひとつに保護されて、桑原とおじーちゃんがもう生きていないと思い込む。
この辺が・・・薄情だと思うよ、二宮。
いや、ジャイアンだから仕方ないけどね。二宮なりに必死に探したんだろうけどね。
中国に残してきた通訳の人と一緒に先に日本に帰り、二宮は桑原のために(!)ひとりで黒幕を追い始める。
―――が、掴まっちゃうんだな。また。
絶対絶命、と覚悟したところで・・・誰もが思ったはずだ!
助けてジャイア――ン! と!
桑原はやはり、死んでいなかったのだ!
その窮地に二宮を助けてくれて、驚いている二宮に、桑原は何でもないように自分が生きて帰ってきたこ���を語る。
「北は賄賂がものを言う国なので、一度は掴まったが金を渡してどうにか中国に帰り、中国は北京でやはり遊ばねばいかんだろう、と心ゆくまで遊び、日本に帰りひとッ風呂浴びてすっきりして疲れをとって二宮を探して見つけて助けた――」
という桑原。
さすがジャイアンでした・・・
裏切らないそんな貴方がダイスキだ!
もう一度二人で捜索を始めたが、その中身がはっきりするにつれ、二蝶会の親が出てきそうなほど大きなものだと解かる。
親が出てくるまえにシノギを全て自分のものにしたい桑原だったが――
最後の最後は、すっきりしないまま全てを持っていかれるのだった。
とりあえず最初の損と、二宮の働き分などは確保したものの。
やっぱり満足するものでなく。
疫病神の名前は二人から外されることはなかった今回――
さて、次回はどんなことが起こるのやら。
楽しみで仕方ない。
投稿元:
レビューを見る
疫病神コンビの第二弾。
相変わらず桑原が面白いw
めちゃくちゃやるくせに
最後は締めてくれます。
投稿元:
レビューを見る
「疫病神」の続編。今度は北朝鮮と関西を舞台に、桑原・二宮コンビが暴れまわります。
今回は、事件としてはシンプルですが、舞台が北朝鮮と関西の二つで、盛り上がりが2回あるため非常に中身が濃い。
とくに2人が北朝鮮に潜入するくだりがものすごい。よくここまで北朝鮮内部を調べ上げたと感心しました。
今は、ニュースショーの潜入取材などで、北朝鮮の悲惨さを目にすることもありますが、これが出版されたころではかなり衝撃的だったのではないかと思います。
桑原・二宮コンビの掛け合いはますます磨きがかかり、緊迫した場面でクスリとさせられる落差がたまりません。
私はこれを文庫版で読んだのですが、解説が今は亡き藤原伊織で、珍しくエッセイ風の文章は秀逸。
ぜひ、解説まで読んで欲しいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
私の中の北朝鮮ブームの中で買ったまんま、
何回かの挫折を経てずーっと積んでいた本。
「厄病神」という本の続編だということを知り、
そちらから読みました。
背景がわかると、頭が整理されて読みやすいということもあって、ちゃんと順番に読んでよかったと思います。
登場人物がなにせ多いし、
「本家の枝」とかっていうのが整理しにくいし、
桑原、っていいキャラクターなんだけど、そのことを知らないと、
最初のほうの傍若無人な感じを受け入れられない。
それでこの本は、面白かったー!!
まずはとにかく舞台に北朝鮮を選んだってことがすべてで、
驚くし、顔の見える人として、北朝鮮の人が出てくるのがいい。
解説でイオリン(あぁイオリン…。)が描いているけれど、
「国境のこっちでは豚肉を食べて、あっちでは豚のえさを食べて…」っていうような、あの桑原のセリフは、私にも、くるものがあった。
続編もあるみたいだから読みたい。
投稿元:
レビューを見る
ヤクザを騙した詐欺師を追いかけて,騙されたヤクザと違法スレスレのグレーゾーンの仕事をしているカタギが北朝鮮にまで忍び込む話。
ドキドキスリル満点。
特に,中朝国境からの密入国と密出国がヤマ場かも。
投稿元:
レビューを見る
「疫病神シリーズ」2作目。直木賞候補作
複数のやくざがベテラン詐欺師に引っ掛かり、二宮と桑原のコンビは詐欺師の一人を追って2度も北朝鮮へ行くことに。
詐欺師とやくざ、政治家の複雑に絡みながら進んでいくストーリーも面白かったが、それ以上に北朝鮮の生活や管理体制の描写は素晴らしいと思わされた。
800ページ以上あり読みごたえも十分。
投稿元:
レビューを見る
疫病神シリーズの二作目だったと思いますが、北の某国を舞台にしているこの作品が一番ハラハラさせられました。
凸凹コンビ(ヤクザ?)の珍道中。
投稿元:
レビューを見る
ひたすら、面白い。いや、扱ってるテーマは軽いものじゃないんだけれど、ページをめくる手が止まらない。桑原と二宮のやりとりも相変わらず笑えるし、最後には思いがけずほろり。
投稿元:
レビューを見る
「疫病神」の続編。物語の舞台前半は北朝鮮、後半は関西。前作より暴力と酷使される肉体の描写が倍加されている。
物語は加速度的に展開されるが、終始関西弁で会話するキャラクターが緩和を生む。桂枝雀の「緊張と緩和」の理論を小説に上手く活かすと、このような作品に仕上がるという絶好の好例なのかもしれない。
「でんがな、まんがな」の関西弁ではなく、田辺聖子の男版のような、小気味よい関西弁が小説では使用されている。
黒川作品は裏社会を描いてはいるが、人の道をも描いている。筋を通して生きるダンディズムが常に貫かれていることに惹かれる。
投稿元:
レビューを見る
疫病神の続編。
建設コンサルタント二宮とヤクザ桑原の関西弁コンビが、
北朝鮮に詐欺師を追っかけて潜入。
笑い有り。アクション(暴力)。ミステリィー有り。
この国自体が一番のミステリーだしね。。
そんな訳で、疫病神読んで気に入った人には、是非おススメ!
特に、国の情景描写は細かくリアリィテー有ります。
描き方は、垣根涼介の作品に通じる物が有る気がします。