紙の本
新しい波
2005/01/02 15:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者についても、物語のあらすじについても、予備知識ゼロで読み始めて、すぐに度肝を抜かれた。
沖縄が舞台であることと、「ぼくのキャノン」というタイトルから反戦小説だと思い込んでいた。
いや、反戦小説であることには間違いないのだろうが、これほどファンタジックにユーモラスに、このジャンルが書けてしまうものなのかと素直に驚いた。
小学生の雄太と博志と美奈の住んでいる村は、変わっている。
高台には「キャノン様」と崇められるカノン砲があり、村の自治は三人の祖父母によって牛耳られ、何よりこの村はやたらと羽振りがいい。
雄太たちは村の持つ秘密を探ろうとする…。
正直言って、あらすじを説明するのが困難な類の小説だ。
いい意味でハチャメチャなのだ。
口をきわめて説明したところで、この村の摩訶不思議さは伝わらないだろう。寿隊や紫織のキャラもまた然り。
この小説のすごいところは、良きにつけ悪しきにつけ、過去と現在の因果関係の重みを感じさせつつ、最後には、現在の希望が未来につながることを約束する清々しいラストシーンを用意している点だ。
「歴史を忘れないことと怒り続けることは同じじゃない」
沖縄から発せられたこの言葉は、ずしりと胸に響く。
戦争を知らない私たちの世代の、新しい反戦小説だ。
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沖縄のとある村に配置されたままの一台のカノン砲…帝国陸軍九六式一五センチカノン砲…戦中の日本を象徴するこの遺物は、今ではキャノン様として村中に崇められているという、不思議な存在だ。キャノン様に見守られながら、村の再開発話と、やたらと豊かな村の財政の謎を主人公たち少年3人が解明しようとする。
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彼の作品を読んでから沖縄に遊びに行くと、景色が幾重にも深く見えて来ます。
沖縄戦という重いテーマを下敷きにして、これほど色彩の豊かな世界を見せてくれる作品は他にはない。
やっぱり、知らないことは罪だと思う。だって、知ることはできるんだよ!
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キャノンさま……。
読み始めの頃はまさかそんなキャノン様が……。
と……ちょっと意外のような展開でした。
いや、むしろ物語としては王道なのかもしれないけど。
しかし切ない物語ですね。いろんな意味で。
生々しい叫びが聞こえるようです。
土地の精霊の語り部池上永一が、作家池上永一になるために、
最後の気力を振り絞って土地の物語を語っているような気になりました。
まあ、作品としては面白かったです。
よくできたお話です。泣けます。
十分に人に薦めるに足る物語です。
作家池上永一としての代表作にしていいでしょうね。
面白かったですよ。
未読の方は是非一度読んでみてください。
(20040714)
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現時点での池上氏MY BEST。キレた女の人を書かせるとうまいね。そこが現実味がないと批評されたりもしてるけど。
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砲台(キャノン様)に見守られ、キャノン様の巫女であるオバァの采配でどこよりも豊かな生活をする村。
しかし村には誰にも知られてはならない秘密があった…
オバァ達によって慎重に守られてきた秘密が暴かれ、村は崩壊の危機に陥る。
すごく切ない戦いをする話。
自分の暮らす町をまもる、崩壊した故郷をたてなおす、そんな悲しい戦いは誰もしたくない。
それはそうと、主人公の子供たちの遊びぶりにノスタルジーを覚え、笑い、村の行く末をドキドキ心配し、大人たちとのかかわりに涙して、大して長くも無い本なのに忙しいこと。いろんな要素が凝縮されてワッと迫ってくる、熱帯の森のような密度の濃さ。
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戦争で蹂躙されながらも著しい発展を遂げた村。
村を愛し健やかに育つ3人の子供達。隠された村の秘密とそびえ立つキャノン砲。
池上氏の書く色鮮やかな沖縄はとても魅力がある。
が、殺人が無視され過ぎな気もする…w
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●沖縄のとある村に、太平洋戦争時に旧帝国軍が設置したキャノン。村民は、そのキャノンをご神体として崇めた最強の自治体を作り上げ、その強力無比な団結を以って日々の繁栄を謳歌していた。しかし9.11以後、村は未曾有の危機に直面する・・・! ●てなわけで、相変わらず美女の頭がおかしいです。どうだよ紫織様。まあ、『レキオス』の変態天才超絶美女科学者よりは普通だと思うけど。弱点あるから。歳は取ってもモテモテ街道な樹王オジイもすげえ。なーぜー。しかしいちばんは,「コトブキvvvvv」 ・・・
あー、よくこんなもんが文藝春秋に連載されてたな・・・(呆然)
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現実逃避したくて、『シャングリ・ラ』の池上さんをチョイス。巫女や祝詞など和の神を主とするところは他の池上作品と共通するが、ただ舞台が現代の沖縄の村だったからか、求めていたほどの大河感はなかった。どちらかというと「ポケットの中の戦争」って感じ。その辺はちょっち不完全燃焼。
池上さん得意の「ぶっとびキャラ設定」は健在。紫織様萌え。
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「我らは村を守るために命を捧げると決めた。たとえ時代が変わっても、我らの思いは変わらない。たとえ歳月が我らを衰えさせても、決して思いは枯れない。たとえ命果てても、我らは永遠に村を守り続ける——。」
最高だった!!!!!!!!!!
久々の5つ星★★★★★
素晴らしかったのです。
相変わらず突飛でハチャメチャで・・・
なんだけど、そこが好き。
それでも、決して物語は色褪せないのだ。
完成されている。
どこもかしこも伏線だらけなのに、
最後には綺麗にさっぱりまとまっているのだ。
その後の村がどうなっていくのか、物凄く知りたい。
しかし、想像は安易な気がする。
きっと素晴らしい村になったに違いない。
これは、凄かったなー。
ホントに。
あー、池上永一さんにどっぷり☆☆
【6/1読了・初読・市立図書館】
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2010.11.21 初読 市立図書館
池上作品は初めて。
すごく面白かった!
物語がすごく完成されてる。
読みやすくて、どんどんページが進んだ。
「我らは村を守るために命を捧げると決めた。
たとえ時代が変わっても、我らの思いは変わらない。
たとえ歳月が我らを衰えさせても、決して思いは枯れない。
たとえ命果てても、我らは永遠に村を守り続けるーーーーーー。」
後半の、子どもの頃のオジィとオバァたちが村を守ると決意したところくらいから、
もう胸が熱くなってきて、泣きそうになりながら読んだ。
すごかった。
かなり好き。
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表紙がいい!
安心の池上永一。この人、文章は上手だとは思わないし話も大筋だと比較的古典的なのに、目が離せない魅力があるんだよなあ。ハジけていて、極端で、切なくて、恰好いい。
沖縄戦がどうの~という視点でこの本を見るのは勿体ない。オバアら村の大人たちの「未来のために今」という信念が眩しい。麗華の結婚式も良かったなぁ。優しくってさ。
子供たちの選択を、「君たち今はそれでいいかもしれないけど、将来絶対悩むことになるよ、まぁ人生そんなもんよねうんうん」みたいな感覚で見てしまう自分に愕然。
関係ないけど、ドラマ版テンペストの真鶴(少女時代)がとっても合ってたなー。あの子に寧温までやってほしいなー。
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話の筋が途中まで掴みずらかった。概要が掴めてからはそれなりに楽しめた。もう少し沖縄っぽさを期待したが、自分の期待には至らなかった。
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舞台は沖縄、戦争の名残である巨大砲台を「キャノン様」とあがめる集落を、表に裏に統治する三人の老人。
トレジャーハンターやゼネコンの魔の手が迫り、暴かれた秘密は繁栄の源かそれとも崩壊の標か。
キャノンを崇める巫女として絶大な権力を有し、自警団「男衆」や、お色気部隊「寿隊」を操るマカト。
表向きは隻腕の漁師だが、凶器と化した義手で村に仇なすものを闇に葬る役目をもつ樹王。
凄腕の泥棒として盗品を闇オークションで捌いては、村の運営費を充填するチヨ。
…文章にするとだいぶブっ飛んでますね(笑)
でも読ませる力がスゴいのかあんまり違和感は感じませんでした。
ちなみに主人公は彼らの孫たち三人です。こいつらもこいつらで濃い。というか登場人物みんな濃い!
村の秘密を隠し繁栄を支えてきた旧世代の三人と、村への愛を胸に項が進むほどに成長していく次世代の三人の対比が良かったです。
いちおう?現代小説ですが(9.11とかあるし)、スケールの大きさはSF的ですね。さすが。
面白い本はいっぱいあるけど、ここまで純粋にワクワクする本は久しぶりでした!!!
あー沖縄いきたい(笑)風を受けたい(笑)
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沖縄のとある島。
WW2により残された表に見える遺産、見えずに隠されている遺産により翻弄される村人を描いたファンタジー。
壊滅した村が復興する過程がかなり強引だが気にしないことにする。
マカト、樹王、千代が守ってきた秘密が9.11により漏れだし、村は再び崩壊の危機にさらされる。
それをキャノン様と3人の孫達、雄太、博志、美奈が村を守ってゆく。