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「いき」の構造 (講談社学術文庫)
粋とは何か――日本文化を読み解く独創的哲学を懇切な注・解説でやさしく読む「粋」とは何か? 横縞より縦縞が、赤・黄色より茶・鼠色が「いき」なのはなぜか? 著者はヨーロッパの...
「いき」の構造 (講談社学術文庫)
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商品説明
粋とは何か――
日本文化を読み解く独創的哲学を懇切な注・解説でやさしく読む
「粋」とは何か? 横縞より縦縞が、赤・黄色より茶・鼠色が「いき」なのはなぜか? 著者はヨーロッパの哲学を下敷きに、歌舞伎、清元、浮世絵、文様等々の芸術各ジャンルを横断し、この美意識に潜む「異性への媚態」「江戸文化の意気地」「諦めと恬淡」を解読していく。生きた現実を哲学的に解明した名著に、豊富な注・解説を施して読む全注釈版。
生きた哲学は現実を理解し得るものでなくてはならぬ。我々は「いき」という現象のあることを知っている。しからばこの現象はいかなる構造をもっているか。「いき」とは畢竟わが民族に独自な「生き」かたの一つではあるまいか。現実をありのままに把握することが、また、味得さるべき体験を論理的に言表することが、この書の追う課題である。――(本書より)
【商品解説】
目次
- 序
- 1.序 説
- 2.「いき」の内包的構造
- 3.「いき」の外延的構造
- 4.「いき」の自然的表現
- 5.「いき」の芸術的表現
- 6.結 論
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紙の本
日本語の破壊者、岩波書店
2005/04/11 09:28
13人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生のとき、「粋(いき)」について考えたことがある。そこで手に
とったのが本書だが、五分で読むのを諦めた。書いてあることが
ちんぷんかんぷんだからなのだ。例えば、こんな具合である。
うすもののモティーフはしばしば浮世絵にも見られる。そうしてこの
場合、「いき」の質料因と形相因との関係が、うすものの透かしによる
異性への通路開放と、うすものの覆いによる通路開放として表現されて
いる。
平たくいえば、うすもの(シースルー)のエロを描いた文章で、うすい
シースルーで肌を覆っているので透けて見せることで異性を誘惑しつつ
シースルーで肌を覆っているので異性をすんでのところで拒否している
という程度のことをかいている。質料とはマテリアル(素材)の訳語、
形相とはフォーム(形)のことで大したことはない。これだけのことで
あることを理解するのにわたくしは25年かかった。更に引用すると
いきな姿としては、湯上り姿もある。裸体を回想として近接の過去に
もち、あっさりとした浴衣を無造作に着ているところに、媚態とその
形相因とが表現をまっとうしている。
裸体を近接としての過去に持ちとは、つい最近まで裸だったという
程度の意味なのだが、それが九鬼流になるとこういう表現になって
しまうのである。これでは通読は困難である。
こんな私を救済し、本書を再び手に取ることを助けてくれたのは
山本夏彦さんである。山本さんの「最後の人」は九鬼周造の
「いきの構造」にはじまり「いきの構造」で終わっている。そして
山本さんは「いきの構造」の中に書いてあることはなかなか面白い
が、これを読めなくしているのは中味でなく書き方で、これはこの
書き方を日本の知識人に広めた岩波書店が悪いせいだと喝破された。
私はこの指摘を読んで長年の胸のつかえが氷解する思いであった。
それまで読めない本なんてあるわけがないと思っていた私は、この
「いきの構造」を読んでほとんどノイローゼになりそうになったから
である。あれから25年たち、再びこの本を山本さんのガイドに従って
読んでみると、実はこの本はお笑いの本としても読めることが分かる
のである。簡単な事実をどうしてこんな難解で力みかえった表現を
したがったのか、当時の日本人の真剣な面持ちが自然と笑いを誘うので
ある。
九鬼周造は男爵の子供で8年もパリで暮らしながら、西洋人に迎合
せず、日本人の目で西洋人を観察し続けた稀有な人であることが
似たような経験をもった山本さんの目にとまったのだと山本さんは
告白している。今の日本より遙かに貧しかった大正、昭和の日本人は
ヨーロッパに旅行して自信あふれる西洋人と会合して苦悩し懊悩
したのである。その苦闘の末に生まれたの本のひとつが、この「いき
の構造」である。こうした苦悩や懊悩をこれからの日本人は二度と
感じることはないであろう。
紙の本
「粋」という日本人の美意識を深く考察した興味深い一冊です!
2020/03/13 10:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「粋(いき)」とは何かということをテーマに、日本人の美意識について深く考察した興味深い一冊です。同書では、「粋」ということを内包的構造、外延的構造、自然的表現、芸術的表現という4つの視点から検討し、その過程で、ヨーロッパの哲学・思想を下敷きにして、歌舞伎、清元、浮世絵、文様などの芸術における各ジャンルを横断しながら、「粋」という私たち日本人がもつ美意識に潜む「異性への媚態」、「江戸文化の意気地」、「諦めと恬淡」といった心情を見事に解読したとっても興味をそそられる書となっています。日本人である私たちが絶対に読んだ方がよい一冊と言えるのではないでしょうか。