紙の本
著者コメント
2003/12/31 18:16
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投稿者:浅暮三文 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうも、アサグレです。BK1をごひいきの皆様、ちょいと最新作の宣伝をさせていただきます。
12/15都内配本を皮切りに徳間書店から「10センチの空」というハードカバーを発売いたします。薄くて表紙も可愛らしい本で、定価も1200円とお手頃。ちょっとしたプレゼントには最適ですよ。
今回は描写・トラウマ・葛藤がびっしりと語られる分厚いステーキみたいな小説ではなく、さらさらっと読めてしまう、名付けてお茶漬け青春ファンタジー小説ですから胃袋が疲れている年末、コタツに寝ころんで、通勤の行き帰りで、手軽に読めます。
主人公は学生生活に区切りを付けて社会へはばたく時期を迎えた大学四年生の川原敏也くん。彼はごく普通の生活をする、ごく普通の男の子でしたが、たったひとつ違うところは彼が空を飛べることでした。ただし10センチだけ。
さて、敏也がどうして10センチだけ飛べるのか。彼の幼少期になにがあったのか。そして敏也はこれから進むべき道、人生における大切な選択、なにを仕事にするべきかに答が出るのか。それは読んでのお楽しみ。
全国の大人になりきれない少年少女の皆様、また子供の心がどこかに残っている中年男女の皆様。年末年始の心の健康診断に、ぜひ、この一冊を。頭痛、肩こり、胸焼け、胃痛。この頃、なにかがちょっと重いなと感じている方によく効きます。
紙の本
とくにどこが凄いってわけじゃあないんだ、とくに前半は何となくもったりして。でもね、なぜ10センチじゃないの?ってあたりからね、納得しちゃうわけ
2004/03/13 20:05
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅暮は1959年、兵庫県生まれ。『ダブ(エ)ストン街道』で第8回メフィスト賞、2003年には『石の中の蜘蛛』で、日本推理作家協会賞も受賞している。初めて読む作家で、何でこの本をえらんだのかなあ?と自分でも不思議に思って机の上の積読コーナーを見ていたら『針』という早川から出ている小説があって、そこにも浅暮三文の名前があった。これってシンクロニシティ?
爽やかな色合いの、浮遊感のあるイラストは永田智子、ちょっと児童書を思わせるブックデザインは岩郷重力+WONDER WORKZ。浮遊感というのが、まっさか重力+WONDERとの駄洒落ではあるまいなと思わせるところが憎い!というか、多分、だれもそんな馬鹿なことは考えないだろう。うーむ、勇み足。
エピグラフが「今は亡き親友のOへ」というのが、何故か胸をうつ。
序章は、時間を遡って、原始時代の翼竜を狩る光景、ガリレオが望遠鏡を覗く場面、そして「あれがパリの火だ」と飛行士が言う「リンドバーグまで」。第一章は、大学最後の夏を過ごす川原敏也の、無気力な就職活動から始まる。敏也は経済学部に在籍する大学4年生、実家は岡山で酒屋をやっている。身長168センチ、60キロ。天が彼に与えたたった一つの才能は「重い帽子」。第二章は、新人のDJ夏野めぐみは恋多き女。男に厳しいせいか、恋は簡単に終わるが、すぐ立ち直る。そんな彼女が番組で読むのは、バードマンという21歳の大学生からの投書。ジョージ・ハリスンの音楽がバードマンにショックを「フリー・アズ・ア・バード」。
第三章は、記憶を徐々に取り戻した青年が故郷に帰って「20センチの空」。第四章は、重かった頭がすっきりと「軽い帽子」。
文章は無色透明。とはいえ、例えば星新一のようなニュートラルな感じはない。すらすら読むことができるけれど、夢枕獏の文みたいにリズムで読ませるわけでもない。で、ちょっと気になるのが登場人物の名前。季節の夏と、DJの苗字の夏野がカブッたり、主人公の川原と同級性の名前が川村、というのはちょっと無神経ではないだろうか。
とはいうものの、それ以外は、文句のつけようがない。無論、感動というのともちょっと違う。上手い、と拍手をしたいわけでもない。でも、いいじゃん、そんな感じである。もし一方に片山恭二『世界の中心で愛だけを叫ぶ』があって、反対側にこの本があったとして、どっちが重いと聞かれたら、私はためらいなく、この10センチに手を伸ばす。
大げさな感動、これ見よがしなケレンではなく、小技、いや時には下手だな、なんで時間を飛ばすんだよとか、伏線張ってないじゃんとか思わせながら、でも、これってありだよね、いけてるよね、と言わせるものがある。それがはっきりしてくるのは、タイトルの『10センチの空』が、突然、三章で「20センチの空」になって、思わず「わたしって記憶喪失?」と表紙を見直すあたりからである。
そこから、予定調和的な結末までの迷いのないこと。『世界中愛』を『ハリポツ』に喩えれば、この本は、さしづめ『ライラの冒険』だろう。奥の深さが違うのである。ま、『指輪』の高みにまでは達していないけれど。
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図書館で借りてきました。アメリカの図書館にも
日本語のセクションがあるんだよ。そしてタイトルに
惹かれて取り出したのは「10センチの空」。
厚さもないし、文字も大きくて、すぐ読めた。
大人になることは、どういうことなのか、
子供のころの自分は大人になるとどうなるのか...
大学生になって、就職活動をしなくちゃいけなくて、
何か人は社会の流れには逆らえなくて。
でも、きっと、ずっと大切なのは子供のころの自分。
いつまでもずっと一緒にいるもんなのだと。
空を飛ぶための呪文、
「大人になっても僕は空を飛ぶことを忘れません。
そして大人になっても僕は空を飛ぶ仲間のことを忘れません…。」
これはそのことなのかな、って思った。
日常生活は社会に流されて、
大切なものをちょっと見失ってしまうかもしれない。
そういう時に読んでほしい本。
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人は空を飛ぶ能力を元々持っているが、その能力を人に譲っていくから飛べなくなるという考え方が優しくて好きだ。
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若い女性が書いた本かと思ったら,1959年生まれのおっさんで,前に読んだ本があった〜進路を決めかねている21の大学生は,地上から10cm浮く特技を思い出す。ある時,ラジオを聞いているとタイムスリップして,いつ飛べるようになったかを思い出した。試行錯誤の結果,飛ぶきっかけを作ってくれた死んでしまった友人と交わした約束を思い出し,社会に出るきっかけを得る〜 小学校2年生の子どもがそんな立派なしゃべり方はしないぞ! というのが,この手の本を読んで感じること。でもそれは,自分の体験から来ている観念かも知れない。こどもの頃,坂の上から飛び出して悠々と空を飛ぶ夢を何度か見た。深層心理では・・・という話は止めるとして,夢遊病に憧れる気持ちはわかる。この設定は飛ぶ能力は他人にも与えられるが,飛べる高さは半分になってしまうこと。2003年当時,ラジオ番組に自分の悩みを長文の手紙で書く人種というのは残存してのだろうか? 今も残っている? 前に読んだ本は『似非エルサレム記』
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10センチだけ飛べるんです。
夢があって 伝えるのもがあって
とてもいい本でした。
夢を忘れた大人に読んで欲しい本でした。
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大人になった敏也が、少年のままの春日くんに再び出会えたとき、やっと約束を果たすことができた。
爽やかで、ちょっと淋しい気持ちになる青春ファンタジー。
10センチ浮かんだまま、ずっと飛んでいけるなんて楽しそう。
本当に飛びたいと思っている人しか叶わない魔法なのだ。もう春日くんはいないけど、約束のこと怒っていなかったし、夢を分かち合える友達ができたことを誇りに思っていたことがわかってよかった。
自分にもどこかに忘れてきた純粋な気持ちってあるのだとしたら思い出してみたい。
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彼は10センチだけ空が飛べる。ラジオを通じて思い出す曖昧な過去。過去は変えられないから未来を変えていく。少し切なくて温かい話。
2009/9/11
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10センチだけ空を飛べる大学生。
なぜ10センチだけ空を飛べるようになったのか。
なぜ10センチだけしか飛べないのか。
それを思い出そうと、記憶をずっとたどっていくお話。
10センチしか飛べない理由がとても素敵なの。
が、、、最後の数行がいらんかった~!
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前向き励ましファンタジーといったところ。いろいろ考えさせられる作品だなあ。進路に悩む人にお薦め、と言ってもいいんだろうか。
たった「10センチ」宙に浮くことを「空を飛べる」と言ってしまっていいのか? 何の役にも立たないじゃない? というのが一般的な感想だろうなあ。実際、そういう能力欲しいかって聞かれても、(まあ面白そうではあるけどね)「別に要らない」と言ってしまいそうな気もする。
だけど読み終わってみたら、こんな能力欲しくなった。どうして「10センチ」なのか、その理由が良いんだよなあ。この物語、「10センチ」だからこそ意味があるんだね。
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え~なんかこの青年いいのかしら?
なんて読み始めました
でもよかった!です
ラストも
ラジオから流れる曲もディスクジョッキーもいいな
ふわっとゆったり浮かんでるような そんな気持ちで本を閉じました
小さな薄い本ですが
2010年文庫化されています
三省堂中学2年の国語教科書に載ったことで教えてもらいました
≪ 大人への 道にいつしか 忘れ物 ≫
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川原敏也はパッとしない大学の経済学部に通う4年生。就職活動の正念場であるはずの夏になっても自分の将来に目標がもてずダラダラと過ごしている。
なにをしていいのかわからない。人より特に優れている所もない。成績は良いわけではないが悪いわけでもない。平凡すぎるほど平凡で何の取り柄もない。
いや、実は一つだけ人と変わっている特殊な点がある。それは10センチだけ空を飛べること―ある事をきっかけに10センチの空から人生を見つめなおすことになる敏也。なぜ敏也は空を飛べるのか、その理由を探る旅は過去を再度発見し、未来を捉えることだった。
就職活動中という、揺れ動く人生の岐路である時期を生きる主人公を通して、作者は何かを信じる気持や人を想う大切さといった、純粋だけど忘れがちな事を描きだしていく。正直、大学4年生の夏の時期になっても進路を決められないというのは人生としては非常にヤバイ状況だろう。しかしどうしても自分のやりたい事が見つけられず、やりたい事がわからないうちは就職活動に身が入らない敏也。20年以上人生を生きてきても、いやだからこそ、簡単には将来のことなど決められないのだ。そんな宙ぶらりんな敏也はまさに違う意味で「浮いている」が、作者はそんな心情を物語のテーマと重ねているようだ。
地面に足をつけて生きるしかない人類にとって、空を飛ぶというのは究極の夢だろう。それは単に移動の便利さというだけでなく、かつてない自由を求めるという意味での夢である。
機械の力を借りるでもなく空を飛ぶなんて無理に決まっている。そう言われ続けても諦めずに信じる事は夢をかなえる大きな力となる。
物語は主人公の就職活動&自己探しという非常にプライベートな範囲で進行していくが、このように空を飛ぶという人類共通の夢を扱っているだけあって全地球的な大きな視点も時折挟み込まれ、単に個人の物語に納まらせない。
この物語がユニークなのは、主人公が空を飛べるといってもそれが10センチだけであるというところ。なぜ10センチしか飛べないのか。それは物語のテーマに大きく関わっていく。
かつて悔いを残した思い出を、年月を経て再び違う視線から見つめなおした時、言いようのない感情に胸を引き裂かれるだろう。
浅暮三文といえば実験的な小説や奇抜な発想に基づく奇想天外な物語が特色だが、この小説では意外なほどストレートで普遍的なメッセージを語りかける。読み終えると、一人として悪い奴が出てこなかったことに気づくし、誰もが人に対して優しい気持になるだろう。
そんなに長くないので読みやすい。プレゼントにも最適だろう。温かくてちょっと不思議な青春ファンタジー。三省堂から刊行されている中学の国語教科書『現代の国語2』にも採用された。
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主人公の「頭に重い帽子が乗っている」という感覚がなんとなくわかりました。国語の教科書にも載っていて読みやすかったです。
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ホームページ名にもあるくらいに、空を飛ぶのは私の永遠の夢です。
だから10センチとはいえ、飛べるってうらやましい。
話としては…それほど盛り上がるところもなく、
現実味もなく、ファンタジーにもなりきれてなく、
トリックも曖昧で、作りが甘くて…ちょっと中途半端。むーん。
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2017/09/19読了
青春小説としてはイマイチ。
ラズオと空を少しだけ飛ぶ能力。
自分の進路よりも、謎の能力に向き合うこと。
物語としてはなんだか地味に長くて、どうも入ってこなかった・・・