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商品説明
海上に建てられた私設天文台で催された流星観測会、そこで何者かに計画された連続殺人。事実のその向こうに浮んだ「真実」は、いったい何を物語るのか? 奇想と衝撃の本格ミステリー大作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
谺 健二
- 略歴
- 〈谺健二〉1960年神戸生まれ。大阪デザイナー学院卒。97年「未明の悪夢」で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。著書に「殉霊」「恋霊館事件」「赫い月照」がある。
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紙の本
狙いはいいと思う。でも設定に無理がある。ネタバレには絶対にしないけれど、その建築知識の欠如ぶりを、我が夫ぎみが衝く!うーむ、ホントか?
2004/04/23 21:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリー・リーグの一冊で、もしかするとシリーズ中、もっとも分厚い本かもしれない。装幀スタジオ・ギブ(川島進)、装画は柴田昌一。
「海上に建てられた私設天文台“星林館”。流星群の鑑賞会がひらかれた夜、死が相次いで降り注いできた。隕石に撃たれて焼死した男、顔を赤く染め上げて墜死する老人、磔にされた男……。この異様な死は何を意味するのか。あらゆる謎が解き明かされたとき、すべての事実が反転する奇想と衝撃の本格ミステリー大作!」
地球から500万光年のかなたにある惑星バ・スウ、そこで生まれたイレム・ロウは蟹に似た生物であるというジュヴナイルSF風の説明に始まるプロローグの「遠い星の物語」は、これがミステリ叢書なの? もしかしてアシモフやホーガンばりの、ガチガチのハードSF本格推理だったりして。
しかし、話は一転して茅春の妹がレイプされた上で殺される話になる。さらに、それは周蔵という老人が自殺した妻を思う場面になり、さらに佳織、洵、茅春という同じ高校の天文同好会の17歳三人仲間の会話に移る。そして第一章「星からの来訪者が始まる。
舞台は現代の神戸。そこにテレポートしたイレムは21歳の斗波飛鳥と名乗ることになる。そして彼が出会ったのが自動証明写真撮影ボックスでの殺人事件だった。そして第二章「迷宮の出逢い」、イレムはここでカリン、青葉佳織に出逢い、拒食症だった上条恭子のことを知る。
そしてこの小説の主舞台である私設天文台“星林館”について知ることになる。造ったのは清家道俊、息子は6年前、1995年の震災で母を失った清家涼、17歳。だから現在は2001年ということになる。他に事故で怪我をし寝たきりのケフェウス、72歳の伊牟田周蔵、その孫の栞、52歳の画家古賀勝一、証明写真事件の関係者らしい宇野保則、七夕茅春、草間比呂子天文台の曽根館長、医師の山路敬吾、鷹野博雪などがいる。
でだ、本日はこの小説の設定に文句があると騒いでいる我が夫君の意見を書く(ま、いつも家族の合作風なところ一杯だけれど)。まず、121頁に出ている星林館3階平面図が不親切。建物の外壁線がはっきりせず、全てが室内の間仕切りに見える。本当ならば、柱・扉を記入し外壁線を太くし、屋上は、そこに細い目地を入れ、屋上という文字を入れるのが正しいという。
夫は、それが直接、事件に関係するからいけない、その頁に描写される建物の様子と図面が対応していないのも酷い、詐欺だペテンだとのたまう。例えば螺旋階段と書いてあるけれど、その姿はおろか気配も感じられないというのだ。
さらに、“星林館”の外に通じる扉が停電で開かなくなるのが大嘘らしい。この小説は震災後の神戸が舞台で、当然、建築基準法や消防法の規制にかかっている。で、電気錠が掛かる扉は認められるけれど、避難経路については審査が厳しくて、基本的には停電時には鍵が開くように設計されていなければ、建築の使用許可が下りないという。当然だよね、読んでいて私だってそう思う。
まして、私設とはいえ第三者が入る施設では、消防の指導も厳しくて、非常電源を確保させられたりと大変らしい。で、この小説でも現に放送設備が使われ、閉じ込められている人々が何不自由なく暮らしているということは、照明や空調がいきている、つまり自家用の発電設備があるか停電ではない。停電でも非常扉は開くけれど、停電になっていない。どっちにせよ扉は開く。
ともかく、この建物はあの阪神淡路大震災を受けて計画されている。とすれば、地震時の停電で人が閉じ込められ、しかもそこにいる人たちの吸う空気が動かないような設計を設計者がするはずも無いし、施主である清家道俊が認めるわけが無い、しかも現実に電気が通っている。それなのに外部に通じる扉だけが停電で開かない??? うーむ、結婚して15年、初めて夫を見直した。
紙の本
殺人事件の謎を解くのは、宇宙人!?
2004/03/13 16:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
惑星バ・スウの知的生命体であるイレム・ロウは探査のため地球に降り立った。殺人現場に居合わせてしまったイレムは事件の謎を解こうとするが…。
もはやコウベ作家と呼ばれてもおかしくないくらい、またも作品の舞台は神戸。そしてやはり大震災が影を落としているのであった。
探偵役はとぼけた宇宙人イレムであり、外界から隔絶された館で有り得ぬ状況(逆密室? 開かれた密室?)での連続殺人が起こるという、本格好きにはワクワクする設定の本書。イレムの説明調の言葉遣いが可笑しかったりうっとうしかったりして少々とっつきにくい気がしたが、邪悪にして純粋なとあるキャラクターと単純素朴なイレムに惹かれて一気に読了した。
この作品の欠点というほどではないが、本作の一部を読むと巨匠S.S.の「異×の××」(ひょっとしてリスペクト?)が頭をよぎったりしてしまう。そして読んでいて〈おかしいな、これはないだろう〉と思ったことがラストで明らかにされるのだが、そこまでの道中違和感がくすぶりつづけてしまい、スッキリとはしないのだった。
それでも、常識から少しずれたイレムが新鮮な感動を読者に与えてくれる。やや観念的にすぎるきらいがあるとはいえ真相のサプライズも充分。いつも私にはラストでやりきれない気分になることが多かった谺作品だが、本作はキャラクターの魅力もあり好きになれた。