紙の本
ニート以前の若者の働くことが語られているが、今でも有効な話だと思う
2006/09/12 09:27
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
若者が従来の就労形態になじまないという話は、未だにそこかしこで聞くように思う。一時は「ニート」として働けない若者として注目されていたようにも思うが、きっと問題の根はもっと深いところにあるのではないかと思う。
単に、若者に職がないのは団塊の世代がのさばっているからとか、景気が良くなれば求職は増えるはずとか、乱暴な論議も出来なくはない。しかし、2007年問題が生じても、景気が良くなっても、きっと若者が働くことについての問題はなくなりはしないのではないか。
それを社会学などの観点から論じることも可能だろう。上記のような論も、そのような観点の暴論と言えなくはない。
個人的には、もっと若者一人ひとりの内面の問題に注目したい。そんな時の手がかりになるのがこの本だ。
既に刊行から2年半経過し、情報などにやや古くなっているところはあるが、若者が働かないことについての内面はきっと変わっていない。
著者が大学で就職指導担当をした経験や普段の学生の風景を一方に置き、就職情報誌なども俯瞰しつつ若者の内面に迫ろうとしている。そこから見えてくるのは、働くことだけでなく生きること全般にわたって地に足のついていない若者の姿だ。働くということは最も地に足をつけてでないと行えないことなのだろうが、そこのギャップが激しいことがわかる。
もっとも、かつては著者自身がそのように変化しつつある若者の代表だったような気がするのだが、いつのまにか大人になって若者を傍から見て色々と論じるようになってしまったのだなあ。
紙の本
従来の議論から踏み出した考えと具体的な解決策が魅力的な一冊
2004/07/06 00:04
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投稿者:ヴィア・ノヴァ - この投稿者のレビュー一覧を見る
就職も進学もせず、進路を決めかねている「無業」の若者の問題は、深刻に語られている。かなり身近で、かつ実際にその様な状態を経験した人によるものを含め多くの書物やメディアで論じられてきた問題であり、著名な精神科医である著者ならではの新しい視点があるのかどうか興味を持って読んでみた。結論を言うと、従来の一般的な考えから踏み出した興味深い記述が多く見られた。
著者は、本務先の芸術系大学で就職委員を務めており、多くの適切な事例とわかりやすい言葉で議論を展開し、自然と理解・納得させられる部分が多い。こういった類の書物が陥りがちな独善的な態度や現実からのズレ、ニヒリスティックで悲観的な視点からうまく逃れている。取材対象の若者と適度な距離を保ち、冷静に問題の全体像を把握している。だからといって、決して若者を見放さず、自らの経験も踏まえ適度の温かさを持っているのも好感が持てる。
無業の若者がなぜこんなにも多いのかという問いへの著者の答えは敢えてここには書かないでおくが、従来の「雇用・社会環境が悪いから…」は問題の一面を述べているに過ぎず、それ以外の問題も含めて考えるべきと著者は考えてるようだ。若者の不可解な行動の謎の多くが初めて理解でき、個人的にはかなり妥当な考えであり、賛成できる部分が多い。また、どうすれば就職がこわく無くなるのか、かなり具体的に思い切った考えが押し付けがましくなく述べられているのも素晴らしい。
就職適齢期やその前の当人、その周囲の人はもちろん、様々な悩みを抱えている現代人にとって、良い意味で生き方のバイブルに成り得る、十分に存在価値のある良書だと思った。
蛇足かもしれないが、注文をつけるとすれば、引用や参考文献を巻末等にわかりやすくまとめて書いてほしかった。
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有名心理学者であり、帝塚山大学の就職担当教授も務める香山リカ先生による、現在の就職環境における(主に学生側の)問題点を解説した本。心理学者としての視点、そして日々就職活動の現場にいるものの視点から、この問題の根本を考察している。
バカの壁、にも書いてあったが、人間は豊かになったらどうしても労働に対する意欲は低下する。(江戸時代の爛熟期の町人はほとんど定職についていなかった。)最近の学生を見ていても、「生活の為に労働する」という意識は非常に低下していて、やりたいこと探し、自己実現の手段みたいな面ばかりがクローズアップされているような気がする。ただ、そういったものは、本来仕事を続けて行くためのモチベーションの為に大切なものであって、それだけで仕事を考えるのであれば、「趣味・サークル選び」と大差はない。
実際問題として、新卒の時点で多くの仕事の選択肢があるわけじゃないし、就職先に100%の満足度をもっている人も少ないだろう。でも、みんなその環境の中で働きながら、能力を伸ばしていったり、もっと新しい「自分・仕事」の可能性を発見できるのだ。それを放棄してフリータになってしまったら、いつまで経っても道は見えてこないだろう。
そういった意味でも、就職はゴールではなくスタートなのだと思う。だから、まず自分が続けられること、力を付けられる、成長できるような職場を選ぶ視点こそが必要なのではないだろうか。
しかし香山リカってボクが小学校の頃(ファミ通に連載してた)から全然変わんないなー
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社会に出てみて1年。1年前に読みたかった本だけど、当時読んでたらやっぱり落ち込んでたかも。就活学生の心理ってかなり特殊な状態になってると思いますよ。
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フリーターもしくはニートが増えている昨今の社会、若者についての精神科医からみた所見。香山りかについては、いつもの有名人偏見から、どうせ良いこと言ってないだろう、と思っていたが、どっこいそんなことなかった。なるほどそうだな、ってとこ満載。私=若者の甘えにとても甘い諸見聞=経済悪化による雇用が少ないために、若者が職にありつきにくいという問題点、も最もながら、しかし、それ以上の問題点はあるのだと香山りかは指摘している。つまり、若者が自分自身に否定的であり、またかつ特権性を持っていると考えている点、また、仕事に生きがいを持たなければいけないというその考え方。そんなん無理じゃい!とりあえず就職しろよ。ってなことです。自分について確かでない、自分の未来について確かでない、そんな若者は、つまりは、思考停止状態で、連続性を認められないのです。えぇ、私もそのひとりです。
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さすが精神科医。
机上の理論を振りかざし、フリーターやニートについて語る大学教授などよりも説得力がある。
この本は当面手元に置いておきたい。
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フリーター、ニート、早期離職、といった現代の若者の問題に対し、
悲観したり批判したりする世間一般の評価が多い中で、
この本は精神分析の観点からそれに待った!をかける。
最近の若者問題における論調は、「中高年の既得権益にしがみつき、就職率の低下、雇用の悪化」といった、
社会や大人に責任を求める声も強くなっている。
たしかにそれも要因のひとつである。
しかし、さらにもう1つの要因として、
「目に見えない力」によって「就職するぞ」という意欲が欠けてしまっている若者が増えていることを著者は指摘。
「目に見えない力」として具体的に挙げているのは、
就職とは関係のない、先行きが見えない不安、自分自身への“不安”、自己肯定間の低さ、
他人に対する“恐怖”があまりにも強いといった若者の“心の問題”。
そこに雇用情勢をはじめとする経済的状況の悪化や社会の階層化といった、
外的な要因が複雑に絡み合っているのだと著者は述べている。
「自己実現」「自分探し」「夢探し」といった言葉が溢れる昨今、
トータルで「私らしい人生」であればそれでいいのではないか。
「自己実現」=「仕事」と考えるのはもちろん大切なことだし否定はしないけど、
追い求めすぎるのは過大幻想だよ?
という著者の意見に共感した一冊。
考えすぎず、とりあえずやってみよう!
ダメだったら軌道修正すればいいじゃないか!
長い人生の中で“働く”っていうのはその一部に過ぎないんだぜ。
少々楽観的かもしれないけど、悲観しすぎるのもどうかと思うよ?
という感じかなぁ。
卒論の終章のヒント、定例会の発表で行った「ライフデザイン」という考え方のヒントになった一冊です。
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一理ある。とても頷ける。だがざっくりかきすぎていて、とても主観的な印象を受ける。まあ一意見としていただきましょう。
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どんな立場に立っても、はっきりものが言える作家がすき。わかりやすくて就活やる前に読んでおいてよかったと思える。。
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精神科医でコメンテーターなどもしている香山さんが大学生と接して分析した本。
格差社会やら実力主義がよくないという議論だけではなく、若者に働く意志がない、働くことを放棄している傾向があることを大学の教員をして香山さんは感じている。それはなぜなのかということを精神科医としての視点から考察している。
『自分には何でもできない』と思う一方で、自分にしかできない仕事をひたすら待ち続ける若者。
自分が何をしたいか分からないから就活はしないという若者
『オンリーワン症候群』『自分って何症候群』
など、同じ年の人が本当にこんなことを考えているのか?と疑いたくなるような人が現に増えているらしい。
実際、売り手市場と言われる就職事情ではあるが、実際には高校、大学を終えた人の4人に1人は無業を選んでいるらしい。
こんな子供を育てた大人(親)や社会が悪いというのは簡単であるが、こんなことだけを議論しても意味がない。新たな視点が出て少し戸惑ってしまった。
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就職せずに進学を決めたわたしが読んだせいか、
ものすごく胸にささることが多く、途中で何度も読んでいられなくなる。
とりあえず、図星、というところか。
今度は就職するときにきちんと読んでみたい。
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仕事だけで人生が決まるわけではない、仕事など人生というサイコロの一面に過ぎない、などという気楽さが、この問題を解決するのだろう。
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香山さんの本はこれが初めてだったが、とても興味深く感じられた。大学教員という肩書からすれば、こういう論拠になるのだろうと思った。
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「就職がこわい」-ちょうど今の私たちの心境です。それで、この本を選びました。今、いよいよ就職の準備をしている学生たちー誰でも不安の毎日だと思います。自分が就職はできるのか?就職してもうまく仕事ができるのか?同僚たちとうまくいけるのかなど問題で就職しようしない若者が多いです。これは個人の問題ではなく社会問題でもあると思います。若者が働こうしないと個人の将来や日本の未来にも影響を及ぼすからです。就職準備をしているみなさんにぜひお勧めの本です。
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筆者が就職委員になったときの事例を用いて,若い人たちの就職事情を描いた本です。
自分自身も就職というものを意識していないといけない年になってきているので,この本を通じて考えさせられるものがありました。
たとえば,何のために仕事をするのかなど。