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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2004.5
- 出版社: 双葉社
- サイズ:19cm/322p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-575-23494-X
紙の本
ドアの向こう側
著者 二階堂 黎人 (著)
渋柿探偵シリーズ第3弾。次々と舞い込む難事件を、大胆な行動力と子どもらしからぬ推理力で次々と解決していく、ハードボイルド・ミステリー。『小説推理』連載を単行本化。【「TR...
ドアの向こう側
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商品説明
渋柿探偵シリーズ第3弾。次々と舞い込む難事件を、大胆な行動力と子どもらしからぬ推理力で次々と解決していく、ハードボイルド・ミステリー。『小説推理』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
二階堂 黎人
- 略歴
- 〈二階堂黎人〉1959年東京生まれ。92年「地獄の奇術師」でデビュー。「渋柿信介シリーズ」に「私が捜した少年」「クロへの長い道」がある。
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紙の本
子供を名探偵にしなくても、こんなに面白いミステリができる、そんないい例がこれ。子供に媚を売るのは、親に自信がないんじゃないか、って思いません、灰谷さん?
2005/08/27 18:05
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、西山クニ子のカバー画がいいです。これって、CGでしょうか。線の均一な太さ(実際は、トレンチコートを着た男の線が微妙に歪んで、細くなったり太くなったりしているので手描きなんでしょうね)が、どこか柔らかくて、色合いもあるのでしょうが優しい。そしてドアの向こうに駆け抜けていくウサギの後姿。どこか、私の大好きな佐々木マキ描くところの動物風でもあります。
双葉社の装幀を色々見ていますが、ソフトカバーものでは、これが出版社始まって以来のベストではないでしょうか。ま、私が見ているのはたかだか、ここ20年くらいなものですが。ちなみにハードカバーでは、間違いなく喜国雅彦『本棚探偵の冒険』『本棚探偵の回想』ですね。
さて、ミステリとは分りますが、どんな話か見当もつかないこの本、中に4つの話が収められています。鎌倉に向かう電車の中で、若い男女の痴話喧嘩が周囲の顰蹙を買っていく、そして8歳の桃花の色香をものともしないシンちゃんの「B型の女」、白熊ゲレンデのあるペンション街への道を歩いていた子供とイヌが車に轢かれそうになった。7歳のサユリからの誘惑に打ち勝つシンちゃんの「長く冷たい冬」。
別荘に来ていた夫妻の少女が失踪した。わけありのログハウスを買おうとするゴリさんと姉の辻村歌子、そして6歳の娘トトコ、三人の幸せのためにルル子とシンちゃんが「かたい頬」、ステディのリコちゃんとの約束を破ってまでシンちゃんを動かしたのは、カオルちゃんの存在。彼女の消えたウサギを探す「ドアの向こう側」、それに漫画家・河内実加の漫画つき解説。
主人公、というか語り手は6歳の幼稚園児で未熟な探偵シンちゃんこと渋柿信介、AB型。母親はルル子B型、父親は刑事のケン一A型。6歳男の子でシンちゃん、双葉社とくればやっぱり、クレヨンしんちゃん、ですよね。下品でないところは「クレヨン」とは大きな違いですが、こちらのシンちゃんも、かなり変です。今どき大人にだってこんな性格いません。
いや、子供だから許されるかな、そのあたりは結構、クレヨンしんちゃんしてます。ま、大人をおちょくるところがなくて、独白が多いと言うのが、流石ミステリですね。ちなみに、各編のタイトルからも分るように、「B型の女」はM・Z・リューイン『A型の女』、「長く冷たい冬」はサム・リーヴズ『長く冷たい秋』、「かたい頬」は桐野夏生『柔らかな頬』、「ドアの向こう側」は、ロス・マクドナルドの『ドルの向こう側』。
それと、大人であると自分を勘違いしている子供に、理解しながら接している大人がいい。これが灰谷健次郎や今江祥智になると、それが真実であると思い込んで、周囲が子供に媚びる話になる。おなじ嘘ごとなら、子供の限界を分かっていて子供に接する大人がいる話のほうが、明らかにリアルですよね。
でも、一番の喜びは河内実加のことでした。あの漫画を描いていたんだ、と思い出しました。むかし、ベスト・ミステリにこの人の作品が選ばれていて、あまりの愛らしさに当時小学生(中学生だったかな)だった長女に、教えた覚えがあります。早速、今度も御注進に及びますと、ああ、あれね、とかなり冷静な返事。フフフ、そう落ち着いていられるのも実物を見るまでだよ、小林くん・・・とまあ明智小五郎してしまう母であります。