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- カテゴリ:小学生 中学生
- 発行年月:2004.7
- 出版社: あすなろ書房
- サイズ:22cm/281p
- 利用対象:小学生 中学生
- ISBN:4-7515-2136-5
紙の本
パーラ 上 沈黙の町
著者 ラルフ・イーザウ (著),酒寄 進一 (訳),佐竹 美保 (絵)
語り部ガスパーレを襲った奇妙な「ことばの病」。詩人の町シレンチアはじわじわと病に蝕まれていく。ガスパーレを助けるため、ひとり果敢に謎に立ち向かうパーラを待ち受けていたのは...
パーラ 上 沈黙の町
紙の本 |
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商品説明
語り部ガスパーレを襲った奇妙な「ことばの病」。詩人の町シレンチアはじわじわと病に蝕まれていく。ガスパーレを助けるため、ひとり果敢に謎に立ち向かうパーラを待ち受けていたのは…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ラルフ・イーザウ
- 略歴
- 〈ラルフ・イーザウ〉1956年ベルリン生まれ。独特の作風がミヒャエル・エンデの目にとまり、作家デビュー。著書に「ネシャン・サーガ」「暁の円卓」など。
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紙の本
言葉の大切さと使い方
2005/03/15 12:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:霞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人の話を聞くということがどれほど大切なことかと言うことを、ラルフ・イーザウはこの物語を通して読む人たちに伝えている。良く人の話を全く聞かず、自分の意見ばかり押し通そうとする人がいる。そういう人から発せられる言葉には何の力もなければ魅力も魔法もない。自分の思い込みだけで話す言葉というものはないに等しい。言葉の魔力というものは人の言葉にじっくり耳を傾けてこそ込められる力。その事に気付いていない人たちは哀れとしか言いようがない。
この物語は特に子供たちに読んで頂きたい。子供は良く人の話をよく聞くということをあまりしない。年齢的にも仕方のないことなのかも知れない。しかし、人の言葉を聞くということは大切なこと。その事を多くの子供たちに知って貰い、人の話を聞き、自分の口から発せられる言葉に魔力を込めて貰う為にも、この物語を読んで欲しいと思う。そうすれば大人になった時に、素晴らしい人になるだろうから。
また、人の話を聞くということを忘れてしまった大人たちにもこの物語を読んで頂きたい。人の話を聞かず、自分の意見ばかり押し通そうとする大人ほどタチの悪い人はいないから。人の話にじっくり耳を傾ける人は素晴らしい人だと思う。聞き上手になれとは言わない。ただ単に、人の意見にも耳を傾けることの出来る人になって欲しいと思うだけ。
紙の本
言葉をとても大事にする人々の町シレンチアには詩人や語り部がいて大切にされていた。その町に異変が起きる。
2004/08/16 18:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エーミール - この投稿者のレビュー一覧を見る
シレンチアの町に住むパーラという少女の不思議な冒険の物語です。冒険といってもそれは言葉の謎解きの冒険といったらいいでしょうか。各章の始めに、詩が載っています。それはソネットという形式の詩で、これが物語の重要な要素になっています。
シレンチアの町の人々は言葉をとても大事にする人達で、詩人や語り部が大事にされている町でした。その町に住むパーラという少女は、語り部の老人ノンノ・ガスパーレととても仲良しです。ところがある日、そのノンノ・ガスパーレが失語症になってしまいます。顔が真っ赤にはれているから病気かもしれません。うつるかもしれないとパーラもいっしょに隔離されます。それからだんだんシレンチアの町で失語症になる人が増えてきます。この町に舞い戻ってきた金持ちで、山の上の古い城を再建しようとしている実業家ジットがなにかやっているせいだというふうにいわれだしますが、はっきりわかりません。そのうち、ジットが町の人に仕事を持ってくるようになって、シレンチアの人達の生活を変えていきます。言葉がだんだん大事にされなくなって、話し合いがまともにできなくなっていきます。パーラは、ジットに会って話をしようと城に向かいます。
読んで行くうちに、エンデ作『モモ』みたいだなと思いました。モモは時間どろぼうと対決するのですが、パーラは言葉どろぼうと対決するのです。
ソネットという小道具をきっちりと使って緻密に構成されていて、読み終わると「お見事!」と言ってしまうくらい見事な構成です。
単に言葉どろぼうを追いかけて言葉を大切にというだけでない、もっと深いメッセージが込められているように思います。現代社会の人と人とのつながり、家族、言葉のかけかた、話し合い、本の存在、様々なことが織り込まれていながら、パーラという一人の少女の冒険ファンタジーにもなっていて、読んでいてとても楽しめます。ソネットという形式の面白さにも注意が向く人もでてくるのではないでしょうか。
上下2冊ですが、どんどんひきこまれて読みきってしまうことでしょう。
(エーミール<図書館の学校・児童書選書委員会>)
紙の本
不思議な生物が沢山でてくる。その名前もかなり面白い。でも、そこだけみれば椎名誠の小説に軍配かな。でも、イーザウ作品の中では、もっともファンタジーとして成功している気がする
2004/09/18 20:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻のサブタイトルは「沈黙の町」、下巻は「古城の秘密」、訳は酒寄進一、装画・挿絵は佐竹美保。佐竹は、同じ出版社のカイ・マイヤー『鏡のなかの迷宮』シリーズの絵も描いている。、出来としては『パーラ』のほうが断然上だろう。上巻の上から見た構図からくる不安感、或いは本がレンガを思わせる壁の間を歩いていく孤独感、どちらも秀逸だけれど、色合いがまたとてもいい。一見モノトーン風だった『鏡のなかの迷宮』とはエライ違いである。
イーザウは、冒険小説色の濃い『暁の円卓』シリーズを書いている作家で、『ネシャン・サーガ』『盗まれた記憶の博物館』も書いている。『ネシャン・サーガ』のあとがきに「エンデに見出された」とあって、かなり期待したけれど、エンデとは随分資質が違う、と思ったものである。それは『盗まれた記憶の博物館』でも同様で、まして『暁の円卓』になってしまうと、これって日本のティーンズノベルじゃん、と言いたくなるほどである。
ところが、この『パーラ』は、本当に正統的なファンタジーで、あとがきにもあるように、エンデの『モモ』に最も近く、それでいて『盗まれた記憶の博物館』を連想させる所もある。そして、キャロルの『アリス』を思わせる言葉遊びも沢山り、訳者が苦労しただろうことが良く伝わってくる。
ただし、私が奇妙な名前を読みながら、まっさきに思い浮かべたのが椎名誠なのである。訳者には申し訳ないけれど、椎名ならもっと楽しい名前をつけた、そう思うのである。どういった名前かというと「ゼブライオン」(なんだかセイブライオンズみたいだけれど)、「コトバガリ」(これはヒトリヨガリだな)、「ギャクシンニシン」(ソウゾウニンシンかな)、ラクダタカ((ガダルカタルタカだな)、「パッパラ・オウム」(パラパラか)「マメホン」(ブンコボンだぜ)、「テンネンボケ」(総天然色)、「タイヘンヨー」(上手い、座布団一枚!)、「シタナメズリ」(シタタラズ)などである。
たとえばだ、椎名誠・たむらしげる『ドス・アギラス号の冒険』と比べようではないか。南オクトパス諸島のヌル海峡に面するガブリエール島にあるという「飛び玉」、《オムの回転帆》《エブラハムの回転プリズム》《くいつきアンカー》《カシムラ単管式ラッパ銃》ドリル・バード、東ヌル海の大迷惑《竜の衝立》という隆起噴流、《エンリケ・ベラの星まねし》、舞魚、噴射イカ、ヌメバク、クネリバシ、ヨコバシリ、「ぼむぼむ」、「ぬめならし」。どうだ、参ったかである。
「語り部ガスパーレをおそった奇妙な〈ことばの病〉。
詩人の町シレンチアは、じわじわと病にむしばまれていく。
ガスパーレを助けるために、ひとり果敢に謎に立ち向かうパーラを待ち受けていたものは……。」
「近づくほどに遠ざかる謎の古城をめざし、不思議な庭園へと足をふみいれたパーラとジュゼッペ。
呪われた庭で明かされていく〈ソネットの花輪〉に託された過去、そしてパーラ出生の秘密とは?」
主人公は、パーラ、年齢は不明だが、言葉そのものが大好きな少女である。そんな彼女が暮らす、市の代名詞が「正直者」というシレンシチア市、それは小高い丘に、ごく最近まで廃墟だった城を持つ、街では人々がおしゃべりに興ずる、そんな土地である。その城を、この町出身の金持ちが買い取り、再建に乗り出した。そして、町には不思議な病気が。
その病に最初に罹ったのが、パーラがノンノ〈おじいちゃん〉と呼ぶ詩人であり旅の語り部であるガスパーレ・オラトーレである。パーラにプロポーズをして軽くいなされるのがチョイ役のパスカーレ。下巻でいい役をするのが、ガスパーレの三人の息子の末っ子であるジュゼッペ。可愛いのがトッツォである。これじゃあ何も分からない? 読みましょ。今までのイーザウ作品のベストかもしれないファンタジーを。