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商品説明
このままでは日本のソフトウェア産業は確実に衰退する。国際競争力を高め、ソフトウェア産業を発展させるためにはどうすればよいのか。生産性や質の向上を阻害している要因は何か。発想を変えて、好循環を作り出す真実を提言。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
前川 徹
- 略歴
- 〈前川徹〉1955年三重県生まれ。名古屋工業大学情報工学科卒業。富士通総研経済研究所主任研究員、早稲田大学国際情報通信研究センター客員教授など。著書に「ECビジネス・最前線」など。
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紙の本
このままでは日本のソフトウエア産業はダメになる
2006/09/04 23:40
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題に「日本の情報サービス産業界に革新をもたらす7つの真実」とある。各章でそれぞれの”真実”を述べているが、日本のソフトウエア産業の競争力の低さ(特に輸出額)の認識のもとに、著者は本書のテーマとして、「生産性や質の向上を阻害している要因がどこにあり、どうすれば、その阻害要因を取り除くことができるの」かを掲げている。資源の少ない日本では「高度な教育を受けた人材が主たる資源である」し、「創意工夫と緻密さが要求されるソフトウエア開発は、日本人に適した職業である」というもの賛成できる(というか信じたい)。
日本のソフト開発現場にも海外へのアウトソーシングの波が押し寄せており(オフショア開発)、日本の業界の空洞化も懸念されているが、はては少子高齢化で人材も減少していく、そういう背景もあって、著者のいう「ゆでガエル」状態で日本のソフト産業は衰退に向かう可能性は大きいと感じる。
一番興味深かったのはソフト開発に対する教育・訓練の効果とプログラマとしての素質に関するもの。立証するデータは少ないが、著者は「教育や訓練によって優秀でないプログラマの生産性が許容できる水準まで向上するか」という疑問に対して、教育・訓練によって「素質のあるプログラマは伸びるが」、そうでないプログラマには効果がない、「ほかに適性のある職業があるはずだ」と言っている(Chapter 5)。私にも私の職場にとってもスキルアップは大きな課題だ。そもそも十分な教育・訓練も受けられていないという状況もある。それでは教育・訓練の効果すらも測れないのだが、そういう中で日々の業務に追われ、スキルアップの機会もない、という状況では特に経験の浅い開発者には不満だろうし、将来への不安もあるであろう。適性を見極める以前に業界から足を洗ってしまいかねない。自分が成長・進歩していることが実感できないと、モチベーションは下がる。
話はそれたが、ソフト開発者としての適性を見極めるのは難しい。自分には向いていないと感じれば、自分から辞めていくし、家族がいれば生活がかかっているからといった理由で仕方なく続ける場合もあるだろう。明らかに生産性が低くても、すぐクビに出来ないのも人情だ。スター選手がたくさん居ればうまくいくかもしれないが実際はそうではない。そう考えれば如何に今ある人材で生産性を上げるかを考えなければいけない。結局、精神論になってしまうが、人間のやることだから如何にモチベーションを高くして継続していけるかだろう。今ある課題を克服しようとする努力は惜しんではならないし、学び続けていかなければいけない。
Chapter 6はパッケージソフト業界の歴史・栄枯盛衰が窺えて面白かった。