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紙の本
大日本帝国の生存戦略 同盟外交の欲望と打算 (講談社選書メチエ)
著者 黒野 耐 (著)
覇権国に抗して帝国存亡を賭けた外交戦略であった日英同盟はなぜ結ばれ、いかに有用だったのか。戦勝の結果、なぜ日本は欺瞞に満ちた三国同盟を結び破滅したのか。大日本帝国の外交史...
大日本帝国の生存戦略 同盟外交の欲望と打算 (講談社選書メチエ)
大日本帝国の生存戦略 同盟外交の欲望と打算
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商品説明
覇権国に抗して帝国存亡を賭けた外交戦略であった日英同盟はなぜ結ばれ、いかに有用だったのか。戦勝の結果、なぜ日本は欺瞞に満ちた三国同盟を結び破滅したのか。大日本帝国の外交史をダイナミックに描き切る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
黒野 耐
- 略歴
- 〈黒野耐〉1944年愛知県生まれ。防衛大学校機械工学科卒業。陸上自衛隊に入隊し、陸将補で退官。現在、武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部講師。著書に「日本を滅ぼした国防方針」など。
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紙の本
同盟を保持するということ
2006/10/31 19:04
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、名著である。本書は、大日本帝國の生存戦略の根幹は日英同盟にあったと見ている。そして、破滅に追い込んだ同盟こそ日ソとの諸条約および日独伊三国同盟であったと。
日本は、武士がちょんまげして闊歩していた1867年からほんの35年でロシアという当時世界最強の国を屠ってしまった。特に、海戦ではほぼ全てのロシア船を日本海に撃沈してしまい、日本はなんと1つの船も沈まなかった。英国はトラファルガーとネルソンこそ至高の海戦というが、日本海海戦と東郷平八郎の20分の1程度のものであったろう。
しかし、その勝利も、イギリスの支援がなければどうなっていたか分からない。日本はかつて日清戦争で清に勝ったにもかかわらず、結局三国干渉でほぼ何の果実も得ることが出来なかった。この原因は同盟国が無く、孤立していたからである。また、英国も当時極東ロシアへの警戒とインドの動静から日本が必要だった。そこで日英同盟が1902年に誕生した。
本書にはないが、英国はポーツマス条約においても秘密電文まで流してくれ、結局日本は樺太を得ることが出来た。その後の世界情勢でも、日英同盟の威力は抜群で、日本を相手にすれば英国までという防守同盟を日本は多いに活用した。
しかし、清での利権争いに端を発し、日本は米国と衝突した。だが、英国は強大な米国との争いは一切しないといち早く決した。つまり英国は日本より米国を選ぶというメッセージだった。そうして風前だった日英同盟破壊を決定付けたのが、欧州派兵問題であった。日本は英国に恩賞をせびり、しかも艦船を送っただけで、陸兵は送らなかった。英国はこの時ドイツに滅ぼされるところまでくるくらい本当に困っていたのに、このザマだ。同盟破棄もやむなし。それでも英国は日英米の三国同盟を模索していた。
日本はこの時何としても日英同盟を保持していれば、つまり陸兵を少しでも送り、米国と中国利権を分ければ、太平洋戦争も日中戦争も有り得なかった。全ては同盟国への背信から始まったわけである。同じ事が、イラク戦争でも起きてしまったというのだから、政権中枢の無教養と国民の歴史と自分の未来への無関心には愕然とする。日米同盟が崩壊すれば21世紀の日本に未来は無い。要するに、9条がある限り、米国が戦争すれば付いていく以外ない。いかなくてもいいが、その時は日米同盟はお終い。結局9条があるから日米同盟は永遠に続けなければならないという決定的矛盾構造を内包している。
本書では、同盟とはともに肩を並べて戦うことがいかに大切か教える。特に、米国民(ブッシュではない)は孤独のイラク戦争になりかけた時に、かつての敵日本が駆けつけてくれたことに大変感謝している。民主主義国では、いくらブッシュがOKといっても国民がNOといえば終わりだが、日本は米国民の心を繋ぎとめることに成功した。なにしろ、彼らは日本は9条が自らは戦わない日本のために米国青年の血を流すという片務条約を形だけでも結んでいる国民なのである。小泉総理が名宰相であった最大の証拠はこの迷い無きイラク派兵であった。
さて、同盟の未来に目を転ずるに、日米は米国を日本が経済で支える構造がある以上、絶対に日本を見捨てる事は出来ない。特に、米国はこれからもイラン・シリア・そして中国と戦い続ける。中国が万が一ドル売り(例えば、反米の上海協力機構がドル決済からの脱却を謳い始めたり)に走れば米の「戦略的」貿易赤字が一気に爆弾と化し、米国の経済は破綻する。それは絶対に許さな以上、米国はかつての対日本のように中国バブルを潰しに掛かる(成功するかは分からない)。次の同盟ポイントはそこである。
同盟とはなんなのか?本書は歴史からそれを語ってくれる。9条を抱える日本にとって日米同盟が命綱である以上、本書は国民全てにとって身近な問題と言えるだろう。
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日英同盟の成立から崩壊まで
2020/12/30 11:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
大日本帝国の安全保障政策で大切だった日英同盟が締結されてから空洞化して消滅するまでの経緯が語られている。日英同盟を維持する努力をしなかったせいで日本は国際的に孤立して日独伊三国同盟という意味のない同盟を結ぶことになり破滅してしまった歴史を踏まえて今日の日米同盟にどう向き合うかを考えさせられた