紙の本
緻密に編まれた物語
2005/01/25 22:14
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投稿者:有沢 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本はデイルマーク王国史という4部作のうちの1作目です。表題から想像されるような重々しさはなく、訳文もひじょうに平易で読みやすいです。主人公はモリルという夢見がちなところのある少年です。年の頃はだいたい小学校高学年あたりですね。彼の一家は音楽を演奏し、歌を歌って派手な馬車で旅公演を続ける一座で、今は政治情勢の厳しい南部から北部に向かって公演を続けながら旅をしています。去年そうしたように、です。そうして、今年もまた去年そうしたように南部への客人を途中で拾うことになっていました。
今年の客人は、姉と同じ年頃の少年、キアランでした。無愛想で口が悪く、偉そうな、ちょっとむかつく奴です。今年はあまり楽しい道中にならなさそうでしたが、まだそれは彼にとっては日常のうちでした。しかし、この客人を乗せたことで、北部へ着くのを待たず、モリルとその家族は大変な運命の変転に見舞われることになるのです。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズというと、どうしてもびっくり箱のような驚きの展開のイメージが強かったのですが、今回の作品にはそういう印象はありません。視点も主人公から離れることはなく、緻密に編まれた物語は着実に展開していきます。まだ1作目なので確たることは言えないのですが、4作目を読み終わったときにあらわれてくるかもしれない、壮大な物語に期待してみたいと思います。
紙の本
馬車に乗ってどこまでも
2004/10/10 07:31
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投稿者:うみひこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
馬車に乗って、クィダーを奏で、歌いながら旅をする。どこかの町にたどり着いたら、陽気に口上を述べ立てて観客をかき集め、物語を語ったり古い民謡を歌ってみせる。盛り上がったところで、旅の途中で作ったバラードを聞いてもらう。すすり泣きと共に帽子が小銭でいっぱいになったら、一家全員で<愉快なホーランド人>を大声で歌い、観客も巻き込んで全員で合唱してお開きにする。明日も旅をするだろう。明日も明後日も馬車の上、眠るのはいつも星空の下。そんな生活がしてみたい。
主人公のモレルはまさしくそんな吟遊詩人の一家に生まれた。王を失い伯爵たちがてんでに北部と南部に別れて争っているデイルマークの国では、いろいろな町を行き来できるのは、行商人や彼らのような詩人たちだけだ。だが、彼らが今いる南部の国では、厳しい言論統制が敷かれ、自由に歌も歌えない。うっかりすると謀反の先導者としてとらえられてしまうのだ。大きな体、大きな声、優れた歌い手で物語の名手である陽気な父と寡黙な母、詩作りの兄と姉と共に旅する日々に変化が訪れたのは、一人の少年キアランを客として馬車に乗せた日からだった。ある日、父が見知らぬ男達に殺されてしまう。その途端、母がまるで人が変わったようになって、昔の許嫁のいる町へと戻って行ってしまう。馬車に乗ってこっそり町を抜け出た子供達に、思いがけない真実が明らかになってくる。父の本当の仕事、魔法で略奪された花嫁だった母、キアランの正体。そして、南部の伯爵の追っ手を逃れ北部へ辿り着こうとする彼らの旅の途中で、クィダーの調べからは魔法が、古代の叙事詩からはキアランとモレル自身の真実の姿が立ち現れ、物語が動き始める。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズは、手強い作家でもある。彼女が作り上げるファンタジー世界は、そこに馴染むまでがなかなか大変で、あらゆるファンタジー経験やSF的感覚が必要とされることが多い。だが、今回は初期の作品のせいか、物語はゆっくりと読者を巻き込んでいってくれる。おまけに巻末には親切な用語解説付きで、読者は安心して旅を続けることができるだろう。
魔法のクィダーを抱え、モレルはこの後また旅に出るようだ。旅の行程は全四巻。胸一杯の詩と共に馬車に乗るご用意を。
紙の本
内容紹介
2004/10/08 14:29
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投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
町から町へと旅する吟遊詩人クレネン一家が、見知らぬ少年キアランを馬車に乗せたときから、過酷な運命が始まる。父を殺され、兄ダグナーは囚われの身に。モリルは父の素顔を知るとともに、遺された弦楽器クィダーに秘められた魔力を見出す。だが、姉ブリッドとキアランを連れ旅を続ける彼に、さらなる危機が……。現代ファンタジイを代表するジョーンズが描く、壮大なる冒険と奇跡の物語。《デイルマーク王国史》四部作、ここに開幕。
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待っていました、ジョーンズの新刊。デイルマーク王国史、四部作の第一冊目。あと3冊も続くかと思うと続きが楽しみだ。物語はクィダー(リュートのような楽器)を奏で歌を披露しながら旅を続ける「詩人の一座」お調子ものの父クレネン、もの静かな母レニーナ、長男ダグナー、長女ブレッド、次男モリル(主人公)は最後の王アドンが倒れて以来領地を治める伯爵達の内乱の続く南部から北部へ向かって馬車を進めていた。途中北へ向かう少年キアランを馬車に乗せ、順調だと思われた旅の道のりが一変、父の殺害、母の再婚、兄の投獄、キアランの正体とは?モリルに託されたクィダーの真価とは?運命のうねりに飲み込まれながら、逞しくも戦うモリルとブリッド。二人の運命やいかに?!
ジョーンズの初期の作品なだけあって、物語の軽さがなく大きなどんでん返しも(今の所)ないのだが、それが良い。中世の香り漂うデイルマーク王国の雰囲気作りに一役買っているのではないでしょうか。ダークホルムよりも9年目の魔法のほうが好きかも!という人、おすすめです。
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一つの国の興亡を描く壮大な大河ドラマ第一巻。
これは、偉大な詩人の血を引くモリルの物語。
一冊一冊がまったく違う話で大変楽しめる。
文庫で安いし、超お勧めである。(最終巻以外は)
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シリーズ1作目。丁寧に描かれたファンタジー。詩と楽器の持つ不思議な力の織り成す物語。兄弟げんかにリアリティあり(笑)
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なんというか、古風な香りのただようファンタジーでした。大仰な仕掛けはなく、あちこちに小技が効いている感があります。壮大な物語ではなく、詩人の家族がぶつかった事件です。背後には、いろいろあるみたいですが、基本は事件。だからこそ、楽しめます。しかし、一番謎なのは主人公ではなく、お母さんに思えてしょうがありませんでした。
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架空の国デイルマークの物語。
全部で4部作らしく、4巻はまだ読んでないけれど1~3巻は全部4巻のための伏線と考えてもよさそうです。
いつもながら、登場人物がとってもリアルで、欠点も長所も持ち合わせている普通の子供達。ただ違うのは家が詩人一家っていうことだけです。
災難続きで、大人のずるさ、汚さにも負けずたくましく生きる子供達の姿が見ていて応援したくなります。
今後彼らがどう成長していくのかが非常に楽しみです。。
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デイルマーク王国史4部作の一冊目。1975年の作品、2004年刊。
中世風のファンタジーで、重厚な設定。
デイルマークは王亡き後、伯爵が各領地の実権を持つ封建時代。
町を家族で旅して回る一座の少年モリルは11歳。
父親は詩人(うたびと)クレネンとして知られ、陽気で押し出しがいい。母親レニーナは元は南部の貴族の出だが、愚痴一つ言わない物静かな色白の女性。
暮らしは貧しいが、ピンクと金に塗った派手な馬車を賢い馬オロブに牽かせ、歌の才能のあるまじめな兄ダグナーと気の強い姉ブリッド、まだ不確かだが才能の片鱗を見せる赤毛のモリルは仲良く暮らしていました。
ところが、身分が高いらしい少年キアランを北へ届けるために馬車に乗せてから、父が殺され、兄は投獄され、南部と敵対する北部を巡る政治に深く関わっていたことを知らされます。
母の故郷から子供たちだけで脱出しますが〜
父に譲られた楽器クィダーの不思議な力をモリルは使いこなすことが出来るのか…?
スリリングでストレートな展開で、登場人物は生き生きしているけど、後の作品ほどはっちゃけてないのが読みやすい。
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(「BOOK」データベースより)
町から町へと旅する吟遊詩人クレネンの一家が、見知らぬ少年を馬車に乗せたときから、過酷な運命が始まった。父の死。囚われた兄。末っ子のモリルは父の素顔を知るとともに、遺された弦楽器クィダーに秘められた、魔法の力を見出す。だが、さらなる危機が…。現代ファンタジイを代表するジョーンズが描く、壮大なる冒険と奇跡の物語。
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図書館の本
内容(「BOOK」データベースより)
町から町へと旅する吟遊詩人クレネンの一家が、見知らぬ少年を馬車に乗せたときから、過酷な運命が始まった。父の死。囚われた兄。末っ子のモリルは父の素顔を知るとともに、遺された弦楽器クィダーに秘められた、魔法の力を見出す。だが、さらなる危機が…。現代ファンタジイを代表するジョーンズが描く、壮大なる冒険と奇跡の物語。「デイルマーク王国史」四部作、ここに開幕。
歴史ファンタジーで、ダイアナ・ウィン・ジョーンズってどこかで聞いた覚えがあって、いちばん薄い本を手にしてみたらデイルマーク王国史の初刊で弦楽器クィダーが物語の鍵をにぎるみたいで、興味があって借りてきた。
面白くてあっというまに読めました。
児童向け?というかハリー・ポッターと同じカテゴリのようで日本語も読みやすくなっていたので昨日今日で読了。
楽器と子供と馬と吟遊詩人。
このアイテムだけで惹かれるわたしは子供でしょうか?
いきなり父が殺され、父の素顔が告げられ、母の別の顔を見て、兄がとらわれ、あまり賢くない姉と、素性をかくす少年と、そして魔法の楽器が手元に残ったときのモリルの大冒険。
音楽と心が一致すると魔法が起こる、そんな物語でした。
Cart And Cwidder by Diana Wynne Jones
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すごくおもしろかった。
最初は名前が覚えられなくて読みづらかったけど
読みすすめばすすむほどとても引き込まれていく
とにかく登場人物がいい。
クレネン一家は詩人でクィダーで詩と物語をつむいで旅をしている。
王の亡き後領主たちが納める南北の溝が深まりその争いに巻き込まれていく。
モリスが馬のオロブが殺されたときにクィダーの力でソーリアン伯爵を殺してしまい、その罪と向き合い一人旅立っていく終わりにも惹かれた。
とても続きが読みたくなる作品。
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デイルマーク王国史四部作の一作目。
かなり衝撃的なストーリー展開なのだけど、登場人物の性格のせいで中和されて泣ける、とか感情が揺り動かされるようなお話ではないです。
でもおもしろい。
巻末に用語集が出てるのですが、そこで登場人物の行動の謎が明かされたりするので最後に読むのがよいです。
続きも読みたい!
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言葉が力を持つという言霊思想に共感。初期作ということもあり、ストーリーのキレは物足りないが、残り三作の展開が楽しみ。
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馬車に乗って旅をする詩人一家の物語。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズにはめずらしく?少年が主人公。
表紙絵はもっとド派手な絵柄でよかったかも・・・
なんか地味ですよねぇ・・ピンクの馬車を描いて欲しかった!