イギリスの情報外交
著者 小谷賢
老練なイギリス外交の背後には、常にインテリジェンス活動があった。古くは16世紀のエリザベス王朝の時代からイギリスは秘密情報活動を続けており、映画「007」で有名なMI6は...
イギリスの情報外交
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商品説明
老練なイギリス外交の背後には、常にインテリジェンス活動があった。古くは16世紀のエリザベス王朝の時代からイギリスは秘密情報活動を続けており、映画「007」で有名なMI6は20世紀初頭に活動を開始し世界中に名を馳せた。そしてチャーチル首相は毎日のように届けられる暗号解読情報を「私の金の卵」と呼び重宝したのだ。本書は、近年公開された20世紀前半のイギリス情報関連史料をもとに、1940年代のイギリスが、対日極東政策を推し進めるにあたって、インテリジェンスをいかに活用し、外交成果に結実させたのかを明らかにする。1941年2月のイギリスでは、日本南進による「日英戦争」の可能性が大々的に報じられ、日英関係は一触即発の状況まで追い込まれる。そのときイギリスは、いかに日本の南進を抑止し、また極東問題に距離をおくアメリカを引き込むことに成功したのか?
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史実から情報の重要性を喚起する!
2005/01/04 21:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱田英毅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外交に長けている国はどこか?というと、ほとんどの人はイギリスとタイを想起するだろう。それに比べて日本は…。おそらく著者も、このような慨嘆にも似た考えを共にしているのだろう。本書のタイトルは『イギリスの情報外交』となっているが、純然たるイギリス外交史の本ではない。むしろ、イギリス外交の名を借りた、日本外交の失敗の研究である。1940〜41年の日英外交を検討することで、イギリス外交の巧さは「情報力」にあることを実証し、対して日本外交には「情報」意識の足らなかったことを指摘する。それは見る人によっては、現在の日本外交に対する警世の書のようにも映る。
イギリス外交の本質が「情報収集力」と「情報活用力」にあったことを簡潔に鮮やかに実証していく本書であるが、情報の使い方によっては外交的に大失敗を引き起こすという事例についても、いくつかあげている。たとえば「1942年2月極東危機」である。1942年2月をもって、日本軍がイギリスに対して戦争を始めるという情報で、当時イギリスでは確信的に報じられていた。しかしこれは、極東の情報収集が偏ってしまった結果起こった、イギリスの幻想に過ぎなかったのである。情報は重要であるが、情報を過信するな、と本書は教えてくれる。