甘い香りの幸せデザート 南仏・バスク地方のシンプルな暮らし

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投稿者：mikimaru　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

フランスではあってもスペインに近く、地理的にも歴史的にも長く独自の文化を築いてきたバスク地方。夫や新しい家族とともにその地に暮らすようになった著者が、現地の風景や人々の日常とともに、目にも甘美なデザートを紹介する。

酪農王国フランスにあり、太陽の恵みを受けたスペインの果物も容易に手にはいり、チョコレート発祥の地でもあるバスク地方バイヨンヌは、大げさではない素朴な美味しさに恵まれた地だ。

近所の農家や地元の店を通じて非殺菌の生乳（自分で煮て殺菌するもの）が売られ、馴染むまではたいへんでもマルシェでは新鮮な農産物が手にはいり、水車のついた粉挽き屋では粉の味の生きたガトーバスクが売られる。そんな文章を読んでいると、行ってみたくなってしまう。慣れない土地に実際に暮らすのはたいへんだろうが、いい場所なのだろうと思わせてくれる。

フロマージュブランのクリームを作り、フランボワーズと合わせて盛りつける。バナナなど季節のくだものを、サバイヨンソースのグラタンにする。りんごをクランブルにして温かいうちに食べる——バスクの息づかいが聞こえてきそうな、魅力的な写真がずらりとならぶ。

作りおきのデパ地下製品とはまた違う、食事の最後として味わう楽しくも気軽なデザート。文章と写真が全体の３分の２ほどで、レシピを知りたい人は後ろのほうを見る仕組みになっているため、まずは写真などを見て楽しむことも可能。