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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.1
- 出版社: 早川書房
- レーベル: ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス
- サイズ:19cm/363p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-001765-1
紙の本
最後の一壜 スタンリイ・エリン短篇集 (Hayakawa pocket mystery books)
伝説のワイン、ニュイ・サントアンがたった一本残っていた! この世で最後の一壜をめぐる、皮肉で残酷きわまりない復讐劇を描く表題作をはじめ、人間性の根源に潜む悪意を非情に描き...
最後の一壜 スタンリイ・エリン短篇集 (Hayakawa pocket mystery books)
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商品説明
伝説のワイン、ニュイ・サントアンがたった一本残っていた! この世で最後の一壜をめぐる、皮肉で残酷きわまりない復讐劇を描く表題作をはじめ、人間性の根源に潜む悪意を非情に描き出す、粒よりの15篇を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
エゼキエレ・コーエンの犯罪 | 仁賀克雄 訳 | 9-39 |
---|---|---|
拳銃よりも強い武器 | 小笠原豊樹 訳 | 41-62 |
127番地の雪どけ | 小笠原豊樹 訳 | 63-78 |
著者紹介
スタンリイ・エリン
- 略歴
- 〈エリン〉1916〜86年。ニューヨーク生まれ。48年に「特別料理」で作家デビュー。短篇の名手として知られるが、58年に「第八の地獄」でMWA賞最優秀長篇賞、81年に巨匠賞を受賞。
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紙の本
こんな面白い話ばかり詰まった本が、死後何年もたって出てくる。凄いなあ、底が知れないなあと思ったら、なんと短篇は年一作を原則としていたという、立派
2005/07/21 20:12
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
スポーツを録画で見ることに耐えられない人間がいます。たとえテレビ画面であっても、生中継がいい。小説だって、死んでしまった過去の人の作品よりは、今、私と同じ空気を吸っている同時代の人の作品を読みたい。こんなことに拘っているから、古典とどんどん縁遠くなってしまう。エリンと私の関係というのも、古典とのそれに似ています。
いつも自分にとって今の作家を追い求めている私にとって、エリンは乗り逃してしまった存在。ブラッドベリも、ダールも同じ。ただし、エリンが二人と違うところがあるとすれば、彼こそ私好みの作家であるということ。殆ど彼の作品を読んでいず、読んだものといっても代表作は一つもない。それでもエリンの名前は私にとって永遠のものなのです。
私とエリンの出会いはもしかすると未訳ではないかと思える『Luxemburg run』というペンギンのPB本。社会人になって毎年、夏休みになるとその本を書棚から取り出し、辞書を片手に読み始める。そして240頁くらいの本の50頁目で挫折する。そんなことが5年近く続き、あるとき、突然、読めました。おもしろかった。翻訳はないか、なければ自分で訳そうかと思ったくらいです。
自転車に乗れるようになるときみたいなもので、それから数年、洋書ばかり読んでいました。中学生の次女がもちかける英語の質問にすら答えることの出来ない今の私には、夢のような話です。で、『最後の一壜』。エリンが亡くなって、もう読むこともないと思っていた彼の本を新刊書の棚に見たとき、私が抱いたのは「単行本未収録という、また訳ありの駄作だったら堪らないな」という思いでした。
収録作品と発表年は以下のとおり。アメリカの警察官がローマで出会った女性の苦悩を解決しようとする「エゼキエレ・コーエンの犯罪」(1963)、賭博にのめりこんだ息子を失った老女の「拳銃よりも強い武器」(1964)、吝嗇で他人のことなど考えたこともない家主の「127番地の雪どけ」(1965)、狙った男は絶対に逃がさない、そんな「古風な女の死」(1966)、ローマで映画のプロデューサーが失踪した「12番目の彫像」(1967)、表題作「最後の一壜」(1968)、パリで掘り出し物を探すアメリカ人夫妻の「贋金づくり」(1969)、あくどい商法で成功したモンマルトルの「画商の女」(1970)、ふとした言葉が男達を「清算」(1971)、男が医者に告げる自分の夢「壁のむこう側」(1972)、なんでも規則が第一と考え「警官アヴァカディアンの不正」(1973)、植物の世話を頼まれた男は「天国の片隅で」(1975)、身の危険も考えずヒッチハイクを続ける少女の「世代の断絶」(1976)、不幸な子供たちを嘲笑うかのように資産家の母は長命で「内輪」(1977)、会社を解雇された知り合いに出会った男の「不可解な理由」(1978)。まさに案内のとおり、1974年をのぞけば年一作の形で作品が収められています。
なんとエリンは1948年から30年の間に35編しか書いていないといいます。年一作を基本に、村上春樹がそこに文章を載せることを夢見ていたというニューヨーカーやコスモポリタン、プレイボーイ(そのいくつかに村上作品は掲載されたけれど)の誘いを断り、あのクイーンのミステリ雑誌EQMMだけに文章を寄せていたと言う。上手いはずです。
ちなみに解説で仁賀はさかんに「決断の時」を褒めるので、そんな作品のっていたのかしらんと思ったら他の短篇集収録らしい。こういうあたりは正直不親切。まず、この作品集に載っているものでベストを教える。他の本に載っているなら、せめてその本のタイトルくらいは書く。これが読者への礼儀だと思うのだけれど。