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紙の本
亀鳴くと
2005/03/29 22:46
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投稿者:黒木太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
俳句は窮屈な文芸である。五七五の十七文字で表現すること、季語といわれる語句を 必要とすることなど作句には決められた規則がある。もちろん山種火の作品のように不定型のものや季語をいれない無季のものはあるが、俳句が俳句として成立するにはやはり一定の規則が必要だろう。そういった縛りの中で日常生活のあらゆる場面を自由自在に表現しうる喜びが俳句の妙味といえる。つまり窮屈であればこそ、俳句は文芸として今に至るまで多くの支持を得てきたといえる。
ただ残念ながら俳句はわびやさびだけの「閑寂趣味」と捉えられる傾向があるのも事実で、「花鳥風月」だけを愛でる「老人の文芸」と誤解している人も多いのではないだろうか。本書はエロティシズム俳句の開拓者である日野草城(俳人・1901〜1956)の俳句(草城自身は「官能俳句」と呼んだらしい 。私はこの呼び方の方が好きだが)を中心に俳句がどのように日常生活でのエロティシズムを描いてきたかを多くの作品を紹介しながら論じたものである。本書を読めば俳句がわび、さびの世界観だけを表現しうるものではなく、実に瑞々しい官能の世界をも描ける文芸だということが理解してもらえるにちがいない。
本書で著者のいうエロティシズム俳句とは「性の営みそのものを詠むというよりも、性の営みへの憧憬を詠」(4頁)んだもので、本書で紹介されている多くの作品も直截的ではない。そのことを著者は「あえかなるエロティシズム」と呼んで、自身の嗜好とまでいう。もちろんもっと直截的な表現を好む読者もいるだろうから、このあたりは個人的な嗜好にまかせるしかない。本書では即物的に性を詠んだ川柳における「破礼句」(ばれく)や短歌でのエロス的な表現も紹介されているから、読者が自身で気付かないエロティシズムの嗜好を掘りあてる一助になるかもしれない。
そのようなエロティシズム俳句の紹介に留まらず、季語や切字の使い方など俳句上達のための方法が丁寧に書かれているのも本書の特長で「俳句の読み方入門」としても役立つようになっている。特に切字については「俳句の面白さを演出する」ものと著者が書いているように、紹介されている俳句すべてに「切字」「切れ」が明記され、その作用が句に与える影響がわかりやすく解説されている。切字というのは使い方や読み方が頗る難しい俳句だけの独特な用法だが、本書はそれ一点をとっても出色の入門書と評価していい。
本書に誘発されて、戯れに官能俳句を作ってみた。
亀鳴くと 言ひて恋人 背の熱し (太郎)
紙の本
エロも色々
2018/07/26 16:45
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投稿者:ももたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
エロであっても、俳句である。
断じて、川柳ではない。
ただただ卑猥な事柄を脳裏に浮かぶままに、575の17文字に詠んだものではない。
といっても、そもそも俳句と川柳とは季語の有無はあっても、なかなか区別がつきにくい。
近年は特に、俳句が現代化して、侘も寂も薄れてきた。
真に気品溢れるエロティシズムの俳句を鑑賞してみたいものだ。