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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.4
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/283,2p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-10-459702-3
紙の本
銀行にだまされるな! 三大メガバンクの内幕
著者 須田 慎一郎 (著)
「三菱UFJ」の誕生が決まり、銀行の最終戦争は「三井住友」「みずほ」の3グループによる競争に絞られ、各メガバンクは新たなビジネスを展開。変貌する銀行業界の実態をレポート。...
銀行にだまされるな! 三大メガバンクの内幕
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商品説明
「三菱UFJ」の誕生が決まり、銀行の最終戦争は「三井住友」「みずほ」の3グループによる競争に絞られ、各メガバンクは新たなビジネスを展開。変貌する銀行業界の実態をレポート。あなたが知っておくべきことはこれだ!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
須田 慎一郎
- 略歴
- 〈須田慎一郎〉1961年東京都生まれ。日本大学経済学部卒業。経済専門誌記者を経てフリージャーナリストになる。著書に「銀行大激突」など。
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紙の本
「竹中平蔵にだまされるな!」
2010/09/10 22:52
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
書名は『銀行にだまされるな!』となっているが、必ずしも内容を表していない。副題「三大メガバンクの内幕」の方が適当であろう。さらに、評者には「竹中平蔵にだまされるな!」の方が適切であるように思える。 2000年9月のみずほHDの発足に始まった金融再編成も、2006年1月1日に三菱UFJが発足して三大メガバンク体制が成立してほぼ大勢は決したかという感がある。そして、いわゆる小泉・竹中構造改革における成果については金融機関の不良債権処理が挙げられるようである?が、まず、その具体的効果が疑問である上に、本書でも描かれているような、竹中金融庁がUFJ、みずほFGを追い込んだ執拗さなどについては、評者はおぞましさを感じるほかない。
2002年10月末に金融庁は「金融再生プログラム」を発表するが、その数日前に大手金融機関トップと竹中金融相が意見交換会を行った。その場で、みずほの前田社長が竹中氏に反論したところ、竹中氏が激昂し、「あなたは小泉首相の政策に反対するのか。それならそれで首相に伝えておくっ」と前田氏を一喝したという(p.207)。担当大臣とは言え、大企業のトップに対して反論を許さず「一喝」するとは、いったい何様のつもりなのだろうか。しかも、発言の内容が低劣すぎる。 “Too big to fail”という考え方をとらない、というような発言も、金融行政の最高責任者としては無責任きわまるものであったと評者は考えるが、子どもが大人に「言いつける」というような口ぶりには情けなささえ感じる。
さらに、竹中金融相は2004年4月27日に「大口与信管理体制検査」の実施を発表した。これは「特別検査の対象となった大口の問題融資先の経営再建計画が妥当かどうか取引銀行側からチェックするもので、金融庁が問題ありと判断した銀行のみに実施されるもの」であった。「要するにこの検査をどこの銀行に行うかは金融庁の胸ひとつであり、もし検査が実施されれば大口問題融資先の経営について箸の上げ下ろしまで指示できる」ものであった(p.68)。あるメガバンク役員による「役所が一民間企業の経営権に属するところまで全面的に主導権を握ってコントロールしてしまうのは、いくら何でもおかしい」という批判は当然であろう。
改革主義者たちは、規制緩和をとなえ、市場主義をとなえながら、金融機関に対して、(彼らが非難してきた)裁量的行政よりもはるかに悪質度が高いと思える恣意的・強権的行政権の行使を主張したのである。
現在の日本経済停滞感は小泉政権が始めた構造改革を後退させたからだなどと唱える人がいる。また、小泉政権時代は経済が好調だったなどという偽網的主張を行う人もいる。例えば、辛坊治郎他著『日本経済の真実』(幻冬舎) は「小泉・竹中改革が、日本沈没を食い止めていた」としてそのp.162では、2001年以降のGDP成長率がプラスであるとするグラフを挙げている。しかしながら、名目GDPで言えば、(00年度)503兆円、(01年度) 493兆円、(02年度)489兆円、(03年度)493兆円、(04年度)498兆円、(05年度)503兆円、(06年度) 506兆円、であるから、00年度から05年度の間ではまったくの“往って来い”でしかない。
野口旭氏は、『エコノミストたちの歪んだ水晶玉』(東洋経済、2006年3月刊)で次のように述べる。このとおりではないだろうか。
>この景気回復は、外需および内需という総需要の拡大の結果である。その需要拡大に対しては、「構造改革」や「不良債権処理」はほとんど何の役割も果たしていない。構造改革は、現実にはまだ何も行われていない。そもそもそれは、需要の拡大ではなく、供給能力の拡大を目的とするものである。また、銀行貸出は増えていないから、不良債権の減少を景気回復の原因と考えることはできない。結局、日本経済が回復したのは単純に需要が伸びたからと考えるしかないのである(p.75)。
小泉首相による「構造改革」については、さらに厳密な評価・検証が必要であろう。その内の金融行政について考察するにあたって、本書は貴重な一資料となり得ると評者は考える。