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商品説明
『ミステリーズ!』から生まれた珠玉の犯人当てミステリを単行本化。泡坂妻夫、西澤保彦、法月綸太郎ら7人の人気作家からの挑戦に、あなたは解答を出せますか?【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
蚊取湖殺人事件 | 泡坂妻夫 著 | 5-40 |
---|---|---|
お弁当ぐるぐる | 西澤保彦 著 | 41-73 |
大きな森の小さな密室 | 小林泰三 著 | 75-100 |
著者紹介
泡坂 妻夫
- 略歴
- 〈泡坂妻夫〉1933年東京都生まれ。「蔭桔梗」で直木賞を受賞。
〈西澤保彦〉1960年高知県生まれ。「解体諸因」でデビュー。
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紙の本
昔からよくあるパターン、解決篇をわざわざ本の後に集めて、これが本格さ、っていうヒトリヨガリが玉に瑕。でも作品は傑作ばかりです
2005/11/11 19:57
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネットなどのデータでは、泡坂妻夫著となっているので、彼の手になる編著かな、とも思えるのですが、実際に本を手にしますと、そういった一切の説明がありません。実際には、ここに納められた作品が選ばれた背景があるのでしょうから、せめて出版社側なり編集者なりの一文があるのが正しいのではないでしょうか。
ついでに、イチャモンをつけておくと、装幀/SONICBANG CO.、 装画・扉画/中村 隆とあるデザイン関係の注に一言。装画・扉画とあって、扉画については分ります。各話の扉に画がついていますから。問題は装画。カバーは真っ黒ですよね、黒一色、べた。で、この何が装画?無論、本を装うのはカバーだけではなく、扉も意味するから、ここで言う装画=扉画のことである、といいたいのかもしれませんが、変ですよね。
ついでに、本の構成についても文句。昔から、本格推理小説の短篇集には、そうすれば読者は解決篇を読む前にじっくり考えるだろう、と判断して問題篇と解決篇を分離したものがあります。発想は分りますが、なにも巻末に解決篇をまとめる意味がどこまであるか。本編のあとに一枚、解決篇と書いた頁をいれて、そこで一呼吸置かせることで十分ではないか、そう思うのですね。
わざわざ、問題篇を楽しく読み終えた、その感興を、その間に200頁もの紙を挟んでぶち切る必要があるのか、私はいちいち後ろのほうをひっくり返し、他の作品の解決篇を読んじゃったら面白くないから、とわざわざ目次にもどって、該当頁さがす、その間に頭にあった推理などは半分以上はぶっ飛んでしまう、それに苛つくわけです。
要するに、この本の出版を担当した人間は、本格推理短篇集にたいする通り一遍の知識で、これをつくり、本当の読者のニーズを掴んではいないのではないか、私はそう思うわけです。以上が、私の苦情篇でした。
さあ、これからが、賞賛篇です。私は、泡坂以外の作品には少しも期待していなかったんですが、これが大間違い。どの作品も良く出来ています。一般的に、本格推理短篇は、本格味が強くなればなるほど、単純なパズルになってしまいます。ところが、どの作品も小説としても読めるんです。それが偉い。
もう、偏見を承知で書きますが、霞流一については「所詮、大きなトリックをユーモアで誤魔化して読ませちゃうんだろうな」なんて思っていたわけです。でも、全く違います。もしこれが、他の人が書いたといっても納得できる、ガチガチの本格。ま、設定自身はウソっぽいところはあるんですよ、タイトルが「左手でバーベキュー」ですから。でも違う。
カバー折り返しに、各編の上手な案内があるので書いておきますと
泡坂妻夫「蚊取湖殺人事件」は、氷上で見つかった死体の首には、包帯が巻きつけられていた・・・。西澤保彦「お弁当ぐるぐる」は、白昼に失職中の夫が殺された。彼の弁当を食べたのは誰か・・・。小林泰三「大きな森の小さな密室」は、高利貸の男は誰に殺されたか。密室に入れたのは果たして・・・。
麻耶雄嵩「ヘリオスの神像」は、荒らされた部屋、壊された神像。何者が被害者を殺害できたか・・・。法月綸太郎「ゼウスの息子たち」は、客室で殺害された恐喝者。残されたダイイングメッセージは・・・。芦辺拓「読者よ欺かれておくれ」は、ペンシオンでの殺人。その夜現れた鉄火面を被った女性は・・・。霞流一「左手でバーベキュー」は、高原の別荘で殺された男性、消えたガラス細工との関連は・・・。
甲乙つけがたい出来ですが、個人的に好きなのは麻耶「ヘリオスの神像」と法月「ゼウスの息子たち」でしょうか。次が泡坂「蚊取湖殺人事件」と西澤「お弁当ぐるぐる」。いい出来ではありますけれど、少しづつ差がつくのはいたし方ありません。でも総体的な水準は、もうご立派としかいいようがありません。これで前半で取り上げた疵がなければ・・・