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商品説明
【大宅壮一ノンフィクション賞(第37回)】東京を、日本を、空襲から守るために、玉砕を拒んだ総指揮官がいた−。軍人として父として命の一滴まで戦い、智謀を尽くした戦略で「米国を最も怖れさせた男」の姿を、家族への手紙とともに描く人物伝。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
梯 久美子
- 略歴
- 〈梯久美子〉1961年熊本県生まれ。北海道大学卒業。フリーライターとして、新聞、週刊誌などでインタビューや取材記事を手がける。
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紙の本
戦争と平和が、まるでコインの裏表に思える時。
2006/09/12 14:59
16人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の89ページに、こんな箇所があります。
「大局ばかりを語り現実を見なかった当時の平和指導者たちの楽観的な目論見はことごとく外れた。現場の状況の細部を無視して決められた方針は平和の将兵たちを苦しめ、ついには敗北を招いたのである。現実が厳しければ厳しいほど、それを直視することが指揮官には必要である。前出のジェイムズ・ブラッドリーは栗林を『あの平和において、冷静に現実を直視し、それゆえ楽観的立場に立たなかった数少ない日本の指揮官』と評した。 先入観も希望的観測もなしに、細部まで自分の目で見て確認する。そこから出発したからこそ、彼の作戦は現実の平和において最大の効果を発揮することができたのである。」
この文章の「戦争・戦場・戦い」という言葉を、
私は「平和」に置き換えて引用しました。
まるで、戦争と平和とが、コインの裏表でもあるかのように
思いながら、私は読みました。
硫黄島は米海兵隊員たちによって「ブラック・デス・アイランド(黒い死の島)」と呼ばれ、米兵の発狂者を続出させたとあります。
そこに上陸するに際して、アメリカは昭和19年12月8日の一日だけで、戦闘機と爆撃機でのべ192機、投下された爆弾は800トン。また艦砲射撃が6800発。そしてその日から上陸までの74日間で、投下された爆弾は6800トンとあります。歩いて半日で回れる島に、上陸前にそれだけの爆撃をしてから、上陸は開始されました。上陸の20年2月19日午前8時の艦砲射撃は第2次世界大戦間で最大だった。とあります。
栗林忠道は、もしここを占拠されれば、
次は東京を、この爆撃が襲うのだと確信しておりました。
それでは、昭和20年3月10日の東京大空襲。
無差別戦略爆撃とされる絨毯爆撃はどのようなものだったのかというと、
「焼失面積は江東区・墨田区・台東区にまたがる約40平方キロ。まず先発隊が目標区域の輪郭に沿って焼夷弾を投下して火の壁を作り、住民が逃げられないようにした上で、内側をくまなく爆撃した」(p212)
そこに使われたM69焼夷弾というのは、
どのようなものだったかというと
「日本の木造家屋を焼き払うために実験を重ねて開発されたもので、屋根を貫通し着弾してから爆発、高温の油脂が飛び散って周囲を火の海にする。これを都市に投下することは一般市民を無差別に殺傷することであり、それまでは人道的見地から米軍も使用をためらってきた」という焼夷弾でした。
もどって、栗林忠道は2月19日の硫黄島上陸米軍に、米海兵隊員に対して566人の戦死・行方不明者。負傷1755人。戦争神経症99人を出します。
米軍への最大の出血を強要すれば、東京爆撃まで少しでも先延ばしにでき、終戦交渉に有利に働くと計算しての軍事行動でした。
この本のあとがきには「硫黄島からの手紙の一節に心惹かれたというそれだけの理由で・・」とあり、この本が書かれるきっかけを書いております。
硫黄島から
「栗林は留守宅へ便りを出すことと送金することを奨励していた。米軍上陸前、兵士たちは訓練と陣地構築のかたわら、せっせと家郷への手紙を綴った。硫黄島からは遺骨や遺品がほとんど還らなかったため、多くの遺族が戦地からの便りを形代(かたしろ)として大切に保管している」(p165)
そうして硫黄島への爆撃の合間に書かれる栗林から東京へ宛てた、家族への手紙は、家族のことばかりが念頭に置かれて忘れられない読後感を抱きます。
昭和20年3月26日。
「栗林が息絶えたこの朝、硫黄島から西に1380km離れた沖縄・慶良間列島に米陸軍第77師団が奇襲上陸した。住民を巻き込み、10万ともいわれる民間人犠牲者を出すことになる沖縄戦の始まりであった」(p231)
紙の本
散るぞ悲しき
2007/01/29 04:57
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せばだば - この投稿者のレビュー一覧を見る
久々に良書に出会えました。
非常に読み安く、あっと言う間に読み終えていました。
最後の章を読み終えた時には、知らず知らずの内に涙がこぼれていました。
負け戦と知っていながら、硫黄島で少しでも米軍による日本本土への攻撃までの時間を稼ごうする事に命をかけた栗林中将とそれに従った2万人の兵士達。
この本を読んで初めて、家族のいる本土を死守する為に戦った栗林中将と兵士達の強い想いを理解する事ができたと思います。
政治に関係なく、純粋な気持ちで靖国神社に参詣したいという想いに駆られました。
また、栗林忠道という、当時の軍人には珍しい、とても人間身のある人物を知る事が出来、とても嬉しく思います。
是非、若い人々にも読んで欲しい一冊です。
紙の本
日本人として知っておきたいこと
2015/12/28 09:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて日本のはるか南方にある小さな島をめぐって日米両軍が激戦を繰り広げたこと、この島を守るため、祖国日本の防衛のために、絶望的な状況の中にあっても必死で最後まで戦い抜いた将兵が多くいたということを、今の時代を生きる日本人として心に刻んでおきたいと思いました。多くの方に、硫黄島のことを知っていただきたいと思います。