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- 発行年月:2005.11
- 出版社: 講談社
- ISBN:4-06-372480-8
紙の本
スピナス (モーニングKC)
著者 清水 みよこ,楠木 あると
スピナス (モーニングKC)
スピナス
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紙の本
恐くなくて癒されるけれど、これも一種の心霊治療?
2006/02/10 16:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
心霊や超能力といった超自然科学分野と、最先端医療に従事する看護師。一見相反するような二つが、見事に結びついた。霊能力を持ち、それを医療に活かそうとするから“スピリチュアルナース”(=スピナス)とは、よく名付けたものだ。
かいがいしく働き回る看護師は“天使”にたとえられるが、その実情はというと、緊張が続く過酷な職場の肉体労働者である。本書ではその辺りのことについては触れておらず、実情を知る方から「ぬるい!」との声が聞こえてくるかもしれない。だが、実際の医療からは一歩引いた部分を描いたのが、この『スピナス』である。主人公・卯月麗香がどのように霊能力を駆使するのか、そこを楽しんで貰いたい。
呪い、恨み、妬み、未練……心霊という単語からは、ネガティブなイメージを思い起こしがちだ。本書でもそれらがテーマになっているものもあるが、暗くジメジメ、もしくはねっとりドロドロといった雰囲気はない。主人公がごく自然に霊能力を信じ、ごく自然にその力を行使するからだ。不思議な力は、時には患者だけではなく、同僚看護師や医師をも助ける。ごく当たり前のように。この“普段と変わらない普通”な感じがイイのだ。
強い信念を持つ主人公の言葉は、ごく自然なのだが重くもある。それは、「よくなって欲しい。成仏して欲しい」との想いが、言葉から感じ取れるからだ。心から人(霊も)を癒そうとしている想いだからこそ、我々は心を動かされるのだろう。
一応は、本書一冊だけで完結している。だが、彼女の癒しがこれだけで終わってしまうのは、とてもとても勿体ない。霊となっても彼女を助けてくれる姉と過ごした日々や、救命救急の医師との恋の行方も気になるところ。ぜひ、続編を発表してもらいたい。