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商品説明
「作文が書けない」と思っている(思いこんでいる)たくさんの子どもたちに、作文が書けるようになる、文章力が上達するちょっとしたコツとネタを伝授。作文指導をする教師や、かつて小学生だった大人でも参考になる本。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ひげうさぎ
- 略歴
- 〈ひげうさぎ〉1961年神奈川県生まれ。横浜国立大学大学院教育学研究科修士課程修了。私立小学校教頭。ウェブサイト「おふぃすひげうさぎ」を運営。
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紙の本
ほんのちょっとのコツで文章が変化する。
2010/11/27 19:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、作文のコツ、ネタ、アイディアに理論的部分を加えてまとめられている本である。
個人サイト「おふぃすひげうさぎ」に連載した「ひげうさぎ文章教室」を下じきに、
学級通信に書いた記事をくわえて全体を再構成し、あらためて書きなおしたものとのこと。
著者は、公立小学校の担任時代に20年にわたり日記・作文指導を実践してきた方。
(現在は、私立小学校の校長(本書の執筆時は教頭)。)
子どもの頃から書くのが好きで、大得意だったかというと実はそうではなく、
小学生の頃は作文が苦手だったそうだ。
「ぼくと同じように「書けない」と思っている(思いこんでいる)子どもたちをなんとか書けるようにしてやりたい」
という思いから、「そのためにはどうしたらよいか、たくさん考え、たくさん勉強し」続けた。
そうしたところ、自分で文章を書くときも子どもたちに書いてもらうときも効果の上がるコツや
思わず書いてみたくなる作文のネタやアイディアがわかってきたという。
本書は、基礎編、リクツ編、応用編、発展編から構成されている。
基礎編、応用編、発展編は、実際に文章を書こうと思う人向けで、
小学校高学年が理解できるように心がけて書かれている。
リクツ編は、作文指導を行う人など、
「書けるようになりたいと思っている子どもをささえる人」に向けて書かれている。
本書の内容は、「長年にわたる日記・作文の指導からとりだした文章作法」である。
書くのが苦手な子はそれなりの文章が書けるようになり、
ある程度のものが書けていた子もさらにみがきがかけられるようになった。
目標とするのは「達意の文章」である。
「名文ではなく、伝えたい内容が過不足なく正確に読者にとどく文章が書けるようになること」を目指している。
基礎編には、「これだけで文章が劇的に変化するという、もっとも大切なポイントを三つ」書いている。
最初に書かれている「作文が書けるようになるためにいちばん大切なこと」は、
著者が「この本で言いたいことをひとことであらわせと言われたら、たったこれだけです」と
書いてしまうようなことである。
小学生の作文が、これだけで、確かにぐっと変化しているのが面白い。
さらに、日記では使ってはいけないことばが3つ登場する。
意識しないと多用してしまうことば達だが、
日記ではあたりまえのことだから省いていいのである。
これは、ブログで日記を書くときにも使えることである。
あたりまえの言葉を使わず、違う言葉を使おうとするとあれこれ考えるようになり、発想が広がる。
日記以外の文章でも、それは言えることだろう。
ほかに2種類の言葉も使ってはいけない言葉として登場する。
最初の1種類については、ほかの文章本でも読んだことがあり、意識していることだった。
これを完全に使わないのは難しいのだが、書いた文章の中に入れるのではなく、
読者にそう思わせようという気持ちで書いている。
ここに書かれていたもう一つのポイントは、「よく考えて書きなさい」ではなくて、
「よく~しなさい。~を書いてごらん」と言ったら、書けるというヒントでもあった。
ブログやツイッターをするようなってから、毎日が変わったという人も多いだろう。
これは、この点にあるのではないだろうか。
描写するには、身のまわりのある部分を切りとらなければなりません。
そのある部分を切りとる作業こそ、「考える」ことにほかならないのです。
描写するには、対象をよく見なければなりません。
五感すべてを使い、身のまわりの事象を注意ぶかく感じとろうとする努力が必要です。
意識してそうしているうちに、ふだん見すごしていたことに目がむき、「気づき」がうまれます。
「書くこと」が見えてくるのです。
するとこんどは、見つかったことを文章にしようと一生懸命に考えます。
考えて書こうとすればするほど、また対象をよく観察するようになります。
(p.28)
リクツ編では、作文が大切である理由と作文を書く効用をまとめている。
「なんのためにかくのか」について5項目、「文章上達の要因」について3項目ある。
書くことは、直接の体験や読書や会話などと結びついている。
著者は、子どもたちの毎日の日記にこんなことを書いてほしいと願っている。
その日のできごとを順にたどった「日記」=日々の記録を書くのではなく、
「心からいいな」と思うことを見つける、
見つからなければなんでもいいから「心からいいな」という気持ちになってみる…
(p.72)
応用編では、作文技術を20項目取り上げている。
発展編では、コツを使って文章を書いてみたくなるネタやアイディアを15項目で紹介している。
印象的だったのは、「さかあがり記念日」。
あなたは鉄棒でさかあがりができますか。
もしもできないのなら、それはすてきな日記が書けるチャンスです。
さかあがりができるようになりたくて、なんどもなんども練習して、
まめがつぶれ、落ちたりあちこちぶつけたりして苦労しているうちに、
あるときクルッとからだが一回転、できた、まわれた!
まるで奇跡のような瞬間です。
できない子だけが、練習をつづけた子だけが味わうことができる、すてきな記念日です。
一生わすれられない日になるはずです。
できない期間が長かった人ほど、できたときのうれしさは格別なものになるはずです。
そんな記念日のことが書けるのは、一生に一度だけ。
この日をのがしては、感動もうすれてしまいます。
なにがあっても書いてみましょう。
(p.140)
うーん、惜しい! 書いときゃよかった。
水泳で横の向こう岸(12.5m)まで渡れたときとか、組み体操で崩れなかった本番とか
エピソードは山ほどあるんだけどなぁ。
書評は続いているから、よしとしておくか・・・。
できないことをただのマイナスにとらえない精神は、日記を書いても書かなくても大切なことだ。
書くことは、考えること。
書くことは、思いを伝えること。
本書を読み、「どんな文章も読まれることを求めている」という
他の方からいただいた言葉を思い出し、何のために書くのか、書きたいのかを考えた。
技術本であると同時に書くことの本質について考えさせてくれた1冊だった。